願いごと
作:mieちゃん
「おまえ、神様っていると思うか?」
こんな司らしくない質問を受けたのは、久しぶりにベットを共にした夜。
「なに?あんたが神様なんて、らしくないじゃない」
「あぁ?」
「だって司は、俺が神様!って感じじゃない?」
苦笑しながらシーツを体にまとわりつかせ、ベットから立ち上がったあたしを再びベットに引き戻す腕。
「何か・・・・・・願い事を叶えてくれるって言われたら」
肩に司の顎の感触。
胸の下で交差する腕に力がこもる。
「おまえは、何を願う・・・?」
再び始まる司の優しい愛撫に、翻弄しがちの意識の中で昔を思う。
司が、危なかった時───
そう、あれは滋さんちの島からの帰り。
刺された司が逝ってしまいそうになった時。
心の底から願った。
「神様、どうか司を連れて行かないで」
「んっ・・・」
司の舌が背中を這うゾクリとした感覚に、今に呼び戻される意識。
「・・・なに考えてるんだよ。さっきの質問に答えろよ」
そういってあたしの中で動く指は意地悪に快感を呼んでくる。
「答えろ・・・って・・・、こんなんじゃ答えられないわよッ」
「・・・じゃぁ、終わったら答えろよ」
再びシーツの波に飲まれると、司があたしの中に入ってきた。
司の切なげな表情に、たまらなくなって司の背中に回した腕に力を込める。
それに応えるように、司はあたしを抱き起こす。
「やッ……」
司があたしの中に入ったまま抱き起こされたせいで体の奥に司を感じる。
司に抱かれるたびに、快感を覚える体。
司が動くたびに、体から汗がじっとりと出る感覚。
このまま、ここで死んでしまうのもいいかもしれない・・・・・・
と何度も思った。
いつもと違い、体の奥までくる感覚にあたしはあっさりと意識を手放した。
気づくと、横でしっとりと額に汗を浮かべながら、眠りに落ちそうな司。
あたしが身動きしたことでうっすらと瞳を開けた。
腰元にまとわりつく腕が、やさしく背中に回る。
眠りに落ちそうな意識の中で、囁くのは・・・・・・
願い事・・・・・・?
「・・・俺は、おまえと死ぬまで毎日…一緒に眠りたい」
再びゆっくりと瞼を閉じると、数分後には柔らかな寝息が聞こえ出した。
司の胸に顔を埋める。
あたしの願い事……
あたしはこうして司に抱いてもらえるだけで充分だ。
抱いてもうことが願い事だとすると
あたしは・・・
神様に願い事をする前に感謝しなければならない。
女の子に生まれて
よかった────と。
おしまい