無意識にシーツに顔を埋めあいつの香りを探す
左側にあるはずのやわらかい肌を捜して、手がシーツの波を彷徨う



そんなことをしていた自分に気づいたのはいつの頃からだろう……

「はっ、馬鹿くせー……」

そういいながらも、誰もいない左側に視線を送る

今まではベットの真ん中で寝ていたのに、あいつと体を重ねるようになってから
一人分ずれて眠るようになった癖


一人では広すぎるベットで天井を見上げる
何回もあいつを抱いたけど、それでもいつか消えて失くしてしまうんじゃないかって考える

「気はつえーくせによ…、すぐに泣くんだよな」
誰もいない部屋に、響く自分の声

真っ暗で、血生臭い世界から俺を救ってくれたあいつの笑顔

『道明寺!』









           









早く、逢いたい……











































いつものように左側を彷徨う手
柔らかいものに触れて、俺は右の瞼をゆっくりと開く

あぁ、そうだ……
とたんに嬉しくなって、そのまま柔らかいものを自分の胸に抱き寄せる
まだ頬が赤い
肌もしっとりと汗ばんでいる

その意味に気づいて、苦笑すると黒いしなやかなあいつの髪に指を絡める

「……起きたの?」
瞼は閉じたまま問いかけられた

「なんだ、起きてたのか?」
俺の言葉が終るのを待って、ゆっくりとあいつの瞼が開く

「うん。司と逢うの久しぶりだからなんかもったいなくて」
そう言って微笑んだあいつの顔が愛しすぎて、たまらなくなる

「おまえ、そーゆーこと言うと……わかってるんだろうな?」

そういってあいつの首筋に唇を寄せる

ビクッっとあいつの体が震えたのが俺の肌に伝わる

「ちょ、ちょっと!!待って!ねえ!!」

「……待たねー……」


体をなぞる指が、あいつの鼓動を伝える
体をなぞる唇が、あいつの熱を伝える











吐息に熱がこもる
あいつの声が俺を昂らせる───


















































「いつかおまえが消えて、おまえを…失っちまう気がする……」
そう呟いた俺の顔を、ゆっくりと起き上がったあいつが見つめる


起き上がったあいつの顔は月光で青白く見えて───
ますます、さっきの言葉が真実味を帯びてくる
あいつの細い指が、汗で額に張り付いたクセの強い俺の髪をかき上げる


「大丈夫。あたしはいつでもあんたの傍にいる」
そう言って、俺の胸に顔を埋める

「消えたりなんかしない」
瞳に月光を落としたまま、俺を見つめる

あいつの言葉が、じわじわと沁みてきて
俺の不安をくだらないものだったと、消し去ってくれる

俺は顔を傾けあいつの顔に近づける

……俺からのキスは、あいつの手のひらで遮られた
「もうダメ。あんたキスだけじゃ済まなくなる」
真っ赤な顔で拒絶するあいつがかわいくて、思わずもっといじめたくなる

「いーじゃん、別に。キスだけで済ませなくたって。時間はたっぷりあるぜ」
クククッと肩を震わせて笑いをこらえてる俺をみてますますあいつの顔が赤くなる

「あ、あ、あたしの体が持たないのよッ!!」
あいつの大声が青白い部屋に響く

「ったく、相変わらずでけー声だな」




おまえがいてくれるだけで、この部屋が彩り
おまえがいてくれるだけで、こんなに暖かくなる


「おまえが笑っててくれるなら、俺は世界一幸せなんだぜ」
そう呟いた言葉
聞こえたか?


左手であいつを抱き寄せると、照れくさそうに腕を絡めてくる

緩やかに訪れた眠気に俺たちは2人で、身を委ねた……




暖かい世界へ……





                          









Fin








このお話はmieちゃんからHP1周年の時にいただいたお話です。
こっそり読んでくださいって言われていましたが。。。
独り占めはもったいない!!
他の方にもこっそり(笑)読んでもらいたくって今回挿絵をつけてUPしちゃいました。
挿絵描いてて・・・またまた**(/▽/)**恥ずかしくなりました。
色がつくとちょっとえっちなんだもん。
                         
sweetberry♪







作:mieちゃん