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0. Prologue
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初夏の風が心地よく吹き抜ける六月

木漏れ日を全身に受けながら、満面の笑みを浮かべる来賓と

心から笑うことのできない私












やがて、重々しい教会の扉がゆっくりと開く






少し恥ずかしそうに、しかし幸せそうに微笑む二人が姿を現すと

祝福の拍手とライスシャワーが一斉に宙を舞った








おめでとう




そう思う気持ちに偽りはない

心の底から幸福になって欲しいと思う


でも

胸の中で濁った何かが

私を押しつぶそうと膨らみだす





この感情をなんと呼ぶのかはわからない

この感情を押さえつける術もわからない





『何か』が膨らんで私を圧迫する

苦しくて苦しくて

必死で助けを求めた





強く閉じた目をゆっくり開くと

そこには見慣れた天井が広がっていた―――――




























Air第6楽章T〜Eyes〜