小さなぬくもり rui × tukushi ***
花沢類の前で上手く笑えなくなったのは、いつからだったろう。
「・・・はよ」
だるそうに俯き加減で歩く花沢類は、大学生になっても相変わらずで。
こんな真冬の早朝。
花沢類に出会う確立はほんの数%だったのですっかりと油断してた。
「花沢類おはよ・・・・・・」
「・・・・・・」
「な、なに?」
むりやり作ってみた笑顔。
そんなにじっくりと見つめられると、ただでさえ不自然であろう顔がますます・・・
もう、どうすりゃいいのッ。
「・・・なんでそんな変なカオしてんの?」
きゃーーーーーーー。
今さら両手で隠してみるけど。
遅いってもんで。
花沢類に変な顔と言われたのもそうだけど。
かわいく思われたくて。
すこしでもいいところを見せたくて。
それプラス、
自分の気持ち、ちゃんと上手に伝えたいのに伝えられないもどかしさ。
花沢類に対してだけ溢れる感情。
甘い痛み。
胸の奥の切なさ。
いろいろなものが混ざって、なんだか涙が溢れた。
「・・・・・・なんで泣くの」
俯いて小さな水滴をポタポタ落とすあたしの頭を抱えると、ゆっくりと背中を撫でてくれる花沢類。
そんなことしないでよーーー。
ますます涙が止まらなくなる。
「は、花沢類がッ・・・うっく・・・変な顔とか・・・言うから・・・・・・」
全部花沢類の所為にして、ここは少し泣かせてもらおう。
不意に出会ってしまったことへのクールダウンにもなる。
ゴシゴシ頬を擦る。
その間、花沢類の手は背中からあたしの頭に移動してて。
「あー・・・それは、牧野のカオが変って言ったわけじゃなくて。なんでそんなに困った顔してんのか、ってこと」
俺に話しかけられるのいや?と聞きながら、またゆっくりとあたしを包み込む花沢類の胸。
(そんなことあるわけないじゃない)
花沢類と一緒に感じる空気や空は、いつもと全然違って見えて。
花沢類のいる風景は、なによりも愛しい。
花沢類の傍は・・・・・・ドキドキするけどとても居心地がいい場所なんだよ。
そう伝えたいのに。
ちゃんと伝えたいのに。
出てきた言葉は
「は・・・花沢類の傍は・・・すごくドキドキするのよっ!!」
だったりする。
あぁ、でもこれって半分告白のようなものなのだろうか。
あたしは自分の微妙な告白から、顔をあげることができないでいた。
俯いたまま、ずずずーっと鼻をすすると、花沢類が自分のひんやりと冷えている掌であたしの頬をはさんだ。
そして、袖口で未だ濡れてるあたしの頬を拭いてくれた。
「そんなの俺もだよ」
まるで当たり前のように口にする類に、こちらが面食らった。
「・・・・・・ハイ?」
あぁやっぱりあたし、間抜け面してると思う。
「俺も、牧野の傍にくるとドキドキする」
にっこりと微笑むと、あたしの頬に張り付いた髪を人差し指で梳いてくれる。
「でも傍にいたくて・・・・・・しょうがない」
ゆっくりと視線を落とされて。
視線が絡んだ瞬間、顔が熱くなるのがわかる。
こうゆう時は、どうすればいいのか恋愛経験の少ないあたしはパニックで。
ゆっくりと近づく花沢類の顔をずっと凝視してた。
柔らかいものが、口唇に押し当てられても、ずっと。
「・・・・・・あんた、キスするときはいつもそうなの?」
たしかNYの時も、でっかい瞳開けたままだったよね、そう言って笑う類をやっぱりあたしは瞳を見開いて見つめていて。
頬にある類の冷たい掌とは逆に、ほんわりと暖かい口唇は体全部を暖めてくれるようで。
この先もずっと、見つめていたいって
思った。
うまく笑えなくても。
上手に自分の気持ちが伝えられなくても。
キス一つで、暖かくなれる。
そんな関係でいたいって思ったの。
そして
花沢類の前で笑えなくなった日。
それはきっと、恋に落ちた日からなんだ、なんてこっそり思った。
おしまい
■■■■■アトガキ■■■■■
えーと。えーと。
微妙な位置にある2人のこと書いてみました。
やっぱりうちのつくしは乙女過ぎる。・・・むむむ。作者にないものを求めてしまうのかしら?(謎)
ということで←?
もうすぐサイトも1周年を迎えようとしています。
ここまで持ったのも(オイ!)遊びに来てくれる皆さんがお尻を叩いてくれるおかげです。
どうもありがとう。
これからもどうぞよろしくです。
近いうちにあと1つ・・・UPできるかなー?(汗)
2004、7,29 momota
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→text →nijitop
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