CHRISTMAS rui × tukushi ***
煌めく数々のオーナメント。
それには、赤や緑が多くて。
なんだか、懐かしいのと嬉しいので笑みが零れた。
「なに笑ってるの」
ツリーの前に座り込み一生懸命飾り付けをしてたあたしを、大人しくベットの上から眺めていた花沢類は、不思議そうに笑う。
「懐かしいな・・・って」
実際、クリスマスツリーなんてここ10年は出してない。
ましてや一人暮らしを始めてからは、クリスマスも何もなくて。
花沢類も、ここ2,3年はイヴも、クリスマス当日も仕事が入ってて日本にいなかったし。
なので、今日一緒に過ごせるってことだけでにやけてきちゃう。
「あ、またにやけてる」
「に、にやけてないよ」
「にやけてる以外になんていうのさ、その顔」
あたしの顔を凝視する花沢類の視線が恥ずかしくて、つん、と横を向いた。
「・・・微笑んでる、とかさ、ほかに言いようがあるでしょ?」
「・・・・・・。あー・・・、微笑んでるね・・・・・・」
今の間、絶対わざとだっ。
キッと、睨むと、ほら。やっぱり、笑ってる。
「もー、花沢類っ!!」
あたしは、サンタクロースのオーナメントを笑うことをやめようとしない花沢類に投げつけた。
「さて、と。でーきた。どう?花沢類」
最後のオーナメントを飾り終えたあたしは類の笑顔を期待して、振り返る。
けど、そこには類の寝顔。
さっきから、随分大人しいと思ってたのよね。
あたしはそっとベットに近付くと
類の額にかかる、薄茶のサラ髪をそっと後ろに梳いてほんの少し開けていた窓を閉めた。
ほんとは知ってる。
今日の為に、1ヶ月休みを取らないで仕事してたこと。
この1日の為に、がんばってくれたこと。
だから、今日だけは寝かせてあげるよ。
いつもなら、蹴っ飛ばして起こしてでも2人の時間が欲しいけど。
今日は特別。
いくらあたしが鈍感でも
花沢類の優しさが、沁み込むのがわかるもん。
類の眠るベットの傍まで来るとゆっくりと床に座り込んだ。
ベットに肘を突いて、花沢類の寝顔を見つめる。
数ヶ月前。
この部屋で初めて抱かれた夜
あたしはちょっとおかしかった。
もちろん、初めての出来事でパニックだったけど。
それ以上に、いつものあたしじゃなかった。
────大丈夫だよ。あたしは一人でも平気だから────
強がることに慣れてたあたしを、あっさりと崩した類の胸の中。
あたしの体を優しく滑る花沢類の掌は
あたしの心の一番奥。
大事な物をしまっている誰にも見せたことのない場所まで
優しく包んでくれて。
あたしの全てが、
花沢類を欲した。
『もっと一緒にいたい・・・・・・』
もっと類の腕の中にいたいよ。
もっと
もっと
もっと
チカチカと色を放つツリーは、少し子供っぽいかもしれない。
きっとこの眠りから覚めた花沢類は、また笑うんだろうな。
ビー玉のような瞳をゆっくりと細めて。
口元を優しく上げて。
あたしの大好きな、あの笑顔で・・・・・・
そのままゆっくりと流れる時間に、あたしもいつの間にか眠りに落ちていった。
体が左に傾く感覚で目が覚めた。
ゆっくりと瞼を上げると、色とりどりの光がぼやけた視界に飛び込んでくる。
再び瞼を下ろしても、暗闇のなか微かに分かる光の数々。
あれ?
あたしは、またゆっくりと瞼を上げる、けど。
瞼を閉じたときと変わらない気が・・・・・・
ぎゃぁ!!今、何時?!
すっかりと日が落ちて、真っ暗な中に煌めくツリーの電飾。
はぁ・・・・・・。
あたしも、寝ちゃったのね・・・・・・。
って、あたし何時の間に花沢類のベットに入り込んだの?!
驚いて、体を起こすと
横に、花沢類が座っていて。
「は、花沢類!ごめん、あたし寝ちゃったっ!!」
「・・・・・・。俺が先に寝てたから・・・・・・」
花沢類も起きたばっかりなの?
だるそうにそういって再びベットに横になる。
あ、いかん。
この体勢は・・・・・・
あの夜を思い出して、頬が染まる。
「あんた寝ずらそうだったから、ベットに引き上げた」
「・・・・・・」
ひきあげった、って・・・
魚じゃないんだから。
文句を言ってやろうと、花沢類を覗き込むと
「ツリー・・・・・・キレイだね」
あたしの、想像通りの笑顔をくれるから。
結局何もいえなくて。
頬を染めただけで、諦めた。
暗くてよかった、なんてことを思いながら。
「今日、一緒にクリスマスプレゼント買いに行こうと思ってたんだけど・・・」
ゆっくりとあたしに腕を回しながら類が口を開いた。
「あたしも、そう思ってたけど。こんな時間だし・・・」
口ごもるあたしの髪に触れる細い指。
「これで、我慢することにする」
ツリーから放たれてる光を受けながら微笑む類は、すごく嬉しそうに微笑んだ気がした。
それがすごく嬉しくて。
ゆっくりと、近づく類の顔に
あたしも、ゆっくりと瞼を下ろした。
甘い時間は流れるのが早くて。
もう、25日になってたりする。
花沢類の腕枕は、未だに照れくさかったり
素肌を見られるのにも、けっこう抵抗あったりするんだけど
今日は、なんだかうれしくて自分から彼の胸元に近づいたりしてみた。
花沢類の胸のなかは、暖かくて
なぜだか切なくて。
不思議と、幼い頃の家族で過ごしたクリスマスを思い起こさせた。
思わず思い出し笑いをしてるあたしを花沢類の怪訝な瞳が覗き込む。
「・・・・・・なに笑ってるの?」
「昔の、クリスマス思い出してた」
「へ〜、どんなの?」
興味を示しだした花沢類に、あたしはゆっくりと起き上がると床に散らばっている衣類の中から
キャミソールを探し出して、身に着けた。
「ほら、うち貧乏だったじゃない?だからプレゼントなんてなかったんだよね」
少し乱れてる髪を手ぐしで整えながら、一つにまとめる。
「プレゼントの代わりにパパがね、サンタクロースにお願いしなさい、って。きっとその願い事はサンタクロースが叶えてくれるって言うのよ」
あたしは、再び類の待つベットにもぐりこむ。
「今考えると、すごい親の都合だよね。だけど、あたし毎年お願いしてたの。いつかお姫様になれますように、って」
「へ〜そんなかわいい頃もあったんだ」なんて憎まれ口をきいてる花沢類の頬をつねった。
「・・・それは、大人になった今でも・・・続けてる」
「お姫様になれますように、って?」
ギロリとにらみを効かせると、花沢類の口がぴたりと閉じて思わず笑いが零れる。
「・・・・・・みんなが幸せで過ごせますように、って」
意外にも逞しい胸の中に自分から飛び込むと、花沢類の頭の下に回されていた腕をあたしの頭に下に持ってくる。
花沢類の瞳は、柔らかくツリーの光を映していて。
あたしの行動の意味を理解すると、ゆっくりと瞳の光を揺らしながら、あたしの方に体を向けてくれる。
「じゃ、俺もお願いしよー」
「なぁに、花沢類でも願い事なんてあるの?」
類の腕枕ににやけていたあたしを口ごもらせる一言。
「牧野が俺のこと、類って呼んでくれますように」
ゲホゲホっ。
これまたこっぱずかしい願い事だわ。
あんたの今年の、願い事は?花沢類にそう囁かれて・・・
うんと考えて。
うーんと考えて。
こっそりと耳打ち。
「これから・・・類の口唇につく色は・・・あたしから移る色だけでありますように・・・・・・」
叶うといいなぁ、じゃなくて叶えてくれるよね?類?
むっくりと起き出した類は、あたしのバックをごそごそと何かを探してる。
「類?何か探してるの?」
声を掛けてみたけど、返事はなくて。
しょうがなく、あたしは類の広い背中なんかを見てた。
そのうち、嬉しそうにベットに戻ってきた類の手には
あたしの口紅。
・・・なに?
カチ、っと蓋を開けると
あたしの顎を押さえて、ゆっくりとソレを滑らす。
「・・・願い事、だろ?」
そう言いながら、優しいキスをくれた。
何度も、何度も触れ合う口唇に甘さを感じながらゆっくりと瞳を開けると
そこには、あたしの色が移っている類の口唇。
あはは。
もう、願い事叶っちゃった?
でも、これは続けてくれないと意味がないんだからねっ。
さっきの行為ですっかりと色なんて落ちてしまったけど
今度は、類からあたしに移る色でもいいよね?
なんてことを思いながら
あたしからキスなんてしてみたり、した。
merry xmas!!
2003.12 by momota
→text →nijitop
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