SKY GARDEN
ももさま for you rui × tukushi 「言って」 「いや」 「なんで?」 「なんでも」 もう、数十分こんな感じだ。 さすがにお互いうんざりしてきてるのだけど…。 どちらも後には引けない。 目の前に座る類をキッと睨む。 「…どっちにしろ、こんな真昼間から…そんなこと言えるほど、あたしは慣れてない!」 「そんなこと」ってところは、意図的に声を小さくした。 だって、それすらも言うのが恥ずかしいのに…。 肝心の「そんなこと」を聞きたい類は、あたしに負けじとキツイ視線を送る。 「だって、俺まだ一度も牧野から聞いてないんだけど」 ぐっと言葉に詰まる。確かに。 あたしは類に、まだ自分の思いをはっきりと告げたことがない。 これでも、一応態度ではあらわしてるつもりなんだけど。 「言葉にはしてないけど…態度で表してる」 しゅるしゅると尖ったオーラを薄めながら、正座をしていた足を崩した。 類のベットは、丁度よい堅さなので足が痺れるようなことはないけど。 こう、面と向かってベットの上で正座をしてる二人を想像したら…なんだかバカらしくなったからだ。 「それでも、俺はちゃんと言葉で言って欲しいんですケド」 寂しそうに、しっとりとした瞳があたしを捕らえる。 類のやつ〜!今度は上目遣いときたか! あたしは慌ててギュっと、瞼を下ろした。 あぶないあぶない。このまま類に流されてしまう。 ホントは、ちょっと言ってしまっても…いいかな?って思ってる。 ちゃんと言葉にしたほうが、安心する。 それはあたしだってそうだし、普段あまり会う時間の取れないあたしたちみたいなカップルには とっても大事な言葉だと思う。 けれど、大事な言葉だからこそ・・・ こんな流れで言いたくないんだよ。 おまけに、「ハイそうですか、では…」って言えるわけでもない。 愛してる、なんて。 さらりと言える? あぁ、西門さんや美作さんなら言えるかも。 むしろもっとこう、濃厚な愛してるを使用してる気がする…… 能天気な二人の顔が思い浮かび、慌てて首を振る。 あたしの怪しい言動を、じっと見ていた類はわざとらしくため息をつくとそのまま後ろに倒れこんだ。 ギシリとベットがなる。 類の振動が、ベットを通じてあたしに伝わった。 「……じゃぁ、さ…。俺の質問に答えて。それならいい?」 腕で頭を支えるべくほんの少し体を起こした類。 妙に明るく言い放つのは、決して諦めたからではないと思う。 また、新たな作戦を思いついたらしい。 ほんとうに、この人は頭の回転が速い。 オマケに自分が望んだことは必ずやり遂げないと気がすまないらしい。 何度かそう感じたことがあったけども。 今日は、イヤと言うほど実感する。 「俺と、牧野の弟…どっちが好き?」 「は?」 この人は何を言ってるのだろう。 質問の意図がわからず、なにも答えずにいるとまったく同じ質問を問われる。 「俺と牧野の弟。どっちが好き?」 「そ、そんなの…。進は進で、かわいい弟だし。どっちが大事かなんて…」 しどろもどろしていたあたしを遮るように、類がぴしゃりと言った。 「大事なのは、どっちも大事でしょ。そんなのは分かってる。俺が聞いてるのはそうじゃないよ、恋愛感情の好きか、ってこと」 あたしにとっては、大事も好きも同じ意味のことなのだけども。 類には、違うらしい。 しょうがなく、「類」と答える。 「じゃ、次は…俺と総二郎。どっちが好き?」 「はい?!」 この人は、何を考えているの? 思わず裏返ってしまった声を正すべく、コホンと軽く咳払いをしてみる。 「る、類……」 類が望むであろう答え。 もちろん、本当の答えもそうなのだけど。 戸惑いを隠せないで、自信なさ気に答えたのが類には気に食わないらしい。 いきなり腕を引かれると、口唇に普段より熱の篭ったキスをされた。 「……んっ!!」 呼吸が苦しくなって、やっと解放される。 「…あんたがそうやって、きつめに瞼を閉じてるの…結構そそるね」 柔らかそうな舌を、口唇の上でゆっくりと滑らしながら、意地悪がたっぷりと含まれた類の言葉。 反論しようにも、上手い言葉が見つからない。 「俺とあきらでは?」 まだ続いてることに、あたしは心臓が高鳴った。 この人…何をする気? 不安と期待が入り混じった、不思議な感情。 思わず後ずさると、その分類もゆっくりと起き上がる。 「も、もちろん類に決まってるでしょ!」 なるべく自然に答えたつもり。 けど、やっぱり…。 とん、と肩を押されたと思ったら類の部屋の真っ白な天井が視界に入る。 体の下に、慣れ親しんだベット。 いつの間にか、顔の横に類の腕。 さらさらとあたしの真上で揺れてる類のサラ髪。 「俺って、決まってる…?」 グリーンの瞳が徐々に近づいてくる。 吸い込まれるような、淡いグリーン。 見つめながら。見つめられながら。 繋がった線は途切れることを許されず、徐々に距離を縮める。 「ん…決まってる…よ?」 数分前の、熱いキスを思い出し 胸の奥が切なく軋む。 自分の鼓動で、体が揺れている気すらしてくる。 そのまま類を受け入れようと瞼を下ろすと、ゆっくりとわき腹を上るひんやりと冷たい類の指先。 胸元までくると、ゆっくりと下着をずらされる。 きつめに溢れた胸が、ちょうど襟ぐりが大きく開いていたカットソーから零れた。 ゆっくりと口に含まれる、胸の先端。 柔らかい刺激に、思わず体が仰け反った。 優しくだけれども、執拗に続く胸元の刺激に堪えていた声が零れそうになる。 「ん…っ」 甘さを含んだ声が自分でも恥ずかしい。 思わず、きゅっと足を交差させた。 けど、それもゆっくりと類の指によって解される。 太腿を彷徨っていた類の掌が、少しづつ上昇してショーツの形を縁取るように指先を動かした。 びくりと体が震える。 触って。 触らないで。 正反対の感情は自分でも、もてあまし気味だ。 けれど、そんなことにはお構いナシの類はショーツの上から、ぐいと体の中心を押した。 じわり、とショーツに溢れるものが自分でも分かるくらいだ。 それでもやまない胸の愛撫に、あたしはおかしくなりそうだ。 いつの間にか、ショーツは脱がされていて。 遠慮のかけらもない刺激に、額に汗が浮かんだ。 「る、類…ちょ、っと…まって……」 あまりにも激しい行為に、あたしは上半身を起こそうと肘を立てるけども あたしの体の中に埋まってる類の指が、擦るように動いて力が入らない。 何度も出し入れされる類の指は、淫靡な音までも伴っていて。 類の舌先までも、そこに辿りつく為に下降し始める。 わざと焦らすようにゆっくりと這っている舌に、脚が細かく震えた。 類の舌が目的の場所にたどり着いた頃には、あたしはもうフラフラで。 ベットから降りて膝をついてる類は、あたしの太腿を抱えるとゆっくりと舌先を間に埋める。 「…!……っやぁっ!!!」 下から上へとゆっくりと這うように滑る舌に、あたしは耐え切れずにシーツを握る。 類から与えられる快感はとても心地よいものだけど。 今日は、ちょっと違う。 何度も何度も掬われるように、下肢の突起さえも執拗に弄られる。 指先で軽く弄られる胸の先端。 柔らかい口唇も、柔らかい音を立てながらあたしの間で動かされる。 イヤになるほどの、甘くて切ない行為。 このままではあっという間に達してしまいそうだ。 あたしはせめて指先の愛撫だけでも遮ろうと、類の腕を押さえようと思うんだけど・・・上手くいかない。 なので、しょうがなく口での抵抗を試みた。 「やだ、ダメ…類、お願い…やめてっ」 あたしから出てきた声は、甘えが含んでいるような声色で自分でも驚いた。 そんなあたしに、類は口元だけで笑みを浮かべた。 「も、イキそうなの?」 敏感な部分を同時に攻められる快感は、心地よさを通り越して軽い恐怖までも連れて来て。 ふるふると顔を振るけど、ちっとも説得力がない。 激しい動悸と、荒い呼吸。 体の奥を弄られる感覚に背中が反る。そうなると自然と胸元を類に押し付ける形になってしまう。 それが凄く恥ずかしくて。 開放してしまいたい何かを、懸命に抑えている自分が辛い。 それでも、類の体の重みでベットへと押さえつけられてるあたしは思うように体を動かせずに よじるように、体をずらすだけ。 そのうちあたしも余裕なんてものはなくなってしまって。 類の腕を押さえる力もなく、浅く深くとあたしの中をうごめく指先に翻弄され ざわざわとした何かが、足先からやってきたかと思うと そのまま一気に絶頂まで駆け抜けてしまった。 ハァハァと肩で息をしてるあたしは、達したそのままの姿で息を整える。 頭がぼやっとしていて。 そんな中、類があたしの横に並ぶように体を横たえた。 「……じゃ、続き。俺と司じゃ?」 司? ぼんやりとした思考の中で、司の顔が思い浮かんだ。 けれどそれはすぐに、類の寂しげな笑顔で打ち消される。 あぁ、そうか。 この人は、不安だらけなんだ。 さっきまでの子供のような言動は、不安の裏返しだったの? 「ごめ。やっぱ、ウソ。なんでもない」 「こんなときに聞くなんて、ずるいよね」と困ったように笑う類に、思い切り抱きついてみる。 まだ、体に力が入らなかったけども。 上半身を起こし、半裸状態の自分をみなかったことにして 類の首元に腕を絡ませた。 すると、おずおずとあたしの背中に腕を回した類は とうとう白状した。 「……だってさ、あんた…昔…みんなの前で司と付き合ってる宣言したんだろ?」 突然言われて、ちっとも思い出せなかった。 けど、確かに…そんなこともあった。 あのときは、美作さんちで…浴衣パーティーをしていた。 そして、やっぱり…あの時も司に抱きしめられていたのを思い出す。 「なんか…くやしい…」 大人のようで。子供。 分かってるようで、分かってない。 なんて愛しいんだろう。 「類に、決まってるでしょう?」 かなり恥ずかしいけど。 やっぱり、これは今言う言葉だと思った。 「…誰よりも、類が好きだよ……」 顔を見られないように、ギュッと類の肩に額を押し付けた。 好きだから、言えないんじゃない。 大好きだから、むやみに口に出さないんじゃない。 「……ほんと?」 嬉しさを堪えてるような類の声色に、こちらまで笑みが零れそうだ。 幸せの伝染に、あたしの中はほんわりと暖かくなる。 「ホント」 あの時とは違う暖かさに包まれてる自分が、ちゃんと正しいと思える。 上手く伝えられるかわからないけど。 今度はそれをちゃんと伝えてみようと思った。 おしまい 2006,7,8 for momo from momota
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