SKY GARDEN




LAST PROPOSE   tukasaka × tukushi ***







「今から、こい。すぐにだぞ」





司から電話がかかってきたのが、2003年もあと数時間で終わろうとしている
大晦日の夜10時半過ぎ。



言いたいことだけ言って切れた電話を、ため息を付きながら置いたけど・・・。

でも、実は嬉しかったりもしてる。





クリスマスは、どうにか会うことできたけど。
あたしの誕生日は無理だったし。
今度会えるのは、司の誕生日だって思ってたから。



「・・・すぐにこい?」



言われた言葉を口に出してみるけど。
意味が分からん。
なにを急いでいるの?



カウントダウンでもしたいのかな?



まぁ、いいか。
言うとおりにしてかないと、あいつうるさいし。
おまけにお化粧自体、ふだんからそんなにする方じゃないし。
出ようと思えば、数分で出られる。



あたしは、急いで部屋着を着替えるとコートを羽織り
外へ飛び出した。







早く。
早く、司に会いたかったから。






























「おう、早かったな」


司は、自分ちの前で
というか、すごい門の前で待っててくれて。



「お家で待っててくれてよかったのに。寒かったでしょ?」



ポケットに手を入れて、塀に寄りかかってる司の口元からは
寒さをあらわすように、吐く息が瞬時に凍るのが見えるようだ。





ゆっくりと、司の頬に触れる。
普段から高めの体温の司。
なのに指先から伝わる温度は、暖かいとは程遠い。



「ほら、やっぱり冷えてる」



しっかりと冷え切ってる司の頬を、両手で挟み込むと
そのまま、あたしの手の温もりを司に移した。



「・・・お前に早く会いたかったんだよ」



拗ねるように、視線をずらしながら呟く司。



こんなところは、付き合い始めた頃とちっとも変わってなくて。
嬉しくなる。



「あたしも」



ゆっくりと近づく、司の顔。
監視カメラを気にしながら、あたしもゆっくりと瞼を下ろした。












司の部屋で、しっかりと熱い紅茶を味わったあと司がセンパイを呼ぶ。
センパイとの久しぶりの対面に、話したいことがたくさんあったのだけど
あたしの顔を見た瞬間、センパイは、ニカっと怪しげに微笑むとあわただしくあたしの手を引き
道明寺邸ではめずらしい、和室へと連れて行かれた。


ワケが分からないあたしは、遅れてきた司とセンパイを交互に見るけど・・・。
ちっとも分からなくて。



「つ、司!!」



不安になって、司に助けを求めたけど。



「おう、キレイにしてもらってこいよ」



なんて手をヒラヒラさせてる司は思いっきり、人事で。



・・・・・・キレイにしてもらってこい?



ぱしっ、と襖を閉じると遠ざかる足音。





恐る恐るセンパイを振り返ると、センパイの瞳は怪しい輝きを増していた。










「ぎゃ、ぎゃぁぁぁぁっ!!!く、くるしーーーーーー」



なみだ目で、センパイに助けを求めるけど。
ちっとも聞いてくれない。



「何言ってんだい。これくらいで。だらしないね、まったく」



横目でチラリと、センパイを見ると
意気揚々と、動き回ってるし。



・・・・・・この人、何歳だっけ?



ぐいぐいと、力いっぱい締められる帯。
思わず、ぐえぇ、と変な声を出したあたしのお尻をパシリと叩くセンパイ。



「ほら、コレ持ち上げてて」
袂を持たされて、クルリと反対を向かされる。



渾身の力を込めてるんじゃないかってくらい。
現に、センパイ汗かいてるし。



あたしも諦めの境地で、されるがままになることにした。



着物なんて、七五三以来?
成人式んときも悩んだ末、結局着なかったし。



そう、あたしは今、約二十年ぶりに着物を着せられている。



浴衣は、何度か着たけど。
浴衣どこの騒ぎじゃないよコレ。
まじで苦しい。



たまにわざとらしく、けほけほと咳き込んで見るけど。
・・・ちっとも気にしちゃくれないわ。



何枚も同じようなもの着せられるわ
厚さが足りないとかいって、タオルはぐるぐる巻かれるわ。



散々、あっちむけ、こっちむけといわれた後
再びお尻を叩かれた。



「あいよ!つくし。完成だ」



はぁ、とため息を零しながら顔を上げると
センパイの、めずらしく穏やかな表情。



「・・・よく似合ってるよ、つくし」
「はあ」


マヌケな返事しかできなかったあたしを睨みつつ
しわくちゃの手で、着物の襟元を直してくれるセンパイ。



「椿さまが、選んだ着物なんだよ」



おねーさんが?


着物についてはよく分からないけど。
漠然と、いいものなんだろうなぁとは思ってた。


おねーさんが選んでくれたものじゃ、いい物どころじゃなくて・・・
着物の最高峰なんじゃないか・・・?



冷や汗が出てきた。



「あ、ああああああたし。ぬ、脱ぎますっ!」



汗をかくのも悪い気がする。



「何言ってんだい。脱ぐのはいいが、相手が違うだろっ
「はい?」
「な、なんでもないよ・・・」



呆れたように刺さる視線に、よりいっそう冷や汗が・・・



「汚しちゃったら、大変ですっ」



言い切ったけど・・・
センパイはにっこりと微笑みながら、あたしを上から下まで眺める。



「・・・椿さまが、ぜひつくしに、って・・・おっしゃっていたんだよ」



「な、なんでおねーさんが・・・」



「そろそろ、覚悟を決めてほしいんじゃないのかね」



覚悟?
覚悟って・・・・・・



やっぱり
アレ?



思い当たることが、一つだけ
ある。



わざと気にしないように過ごしてきた。




俯いて自分の足元を見つめる。
けど、どう答えたらいいのか分からなくて。
視線を上に上げれなかった。



「何も、今すぐ決めろって言ってるんじゃない。ただ、今後のこともそろそろ考えておいた方がいいんじゃないかってことさ」



センパイの口調は、けしてせかすものではなかったけど
逃げてないで、ちゃんと考えろ、と言われてる気がした。



ほら、坊ちゃんに見せてきておあげ。そういって襖を開けると背中をぐい、と押された。






今後のこと。
そりゃ、これからも司と一緒にいたいと思ってる。
でも、それが、イコール結婚に結びつくかっていうと、そう簡単にいくものでもなくて。


むしろ、簡単にいけばどんなに楽チンだろうと思う。
いろいろなことがあった分
・・・気持ちに素直に行動することが、怖い。



はぁ。なんだってこんなにややこしい家に生まれてきたのよっ!司っ。



司の部屋までの長い廊下を、重い思いを引きづりながら歩いていた。
















「司?開けてもいい?」
遠慮がちのノックの後、小さな声で声を掛けた。




「おう」
短い返事の後、開くドア。



「なんだ、まだ起きてたんだ。どう?」



ゆっくりと部屋に入ると
真っ赤な着物の袂を広げて見せた。




「・・・・・・おう。ま、まぁまぁだなっ。ねーちゃんよりは劣るけどなっ」




はっはっはっ。と、腰に手を当てて笑う司にケリを入れる。



一言余計だっつーの。



「・・・・・・あの、あきらんちでの浴衣パーティー思い出すな・・・・・・」
「うん?」


突然昔のことを話だす司に、戸惑いがちの視線を送りながらソファへと腰を下ろした。



「すげー、うれしかった・・・・・・」



司は、そう遠くもない過去に思いを走らせたようだ。
あたしの視線に気づいた司は慌てて、笑みを作る。



「はは、今はどーでもいいんだけどな、んなこと」



そういって、あたしの顎の線をなぞる、司の指。



「・・・どしたの?」



いつもと雰囲気が違う司。
なんかあった?


移動する司の指を掴むと、ゆっくりと掌で包んだ。



「2日間休み取れたんだ。泊まってけよ」
「う、うん」



なんだか上手く話を逸らされた気がしないでもないけど
いつもより、たくさん一緒にいられることのほうに気がいってしまっていて。


あたしは、優しく降りてきた司の口唇を
少し顎を上げて、座ったままの姿勢で受け止めた。






と・・・なんで、司の手ここにあるのよ。






いつの間にか、着物の裾がめくり上げられててあたしの脚を優しく行き来する。



「ちょ、ちょっと。どこ触ってんのよ」

「あー。やりたくなった」

「や、やりたくなったって・・・。あたし着物自分で着れないからダメだよっ」

「どーにかなる」

ちゅ、と首筋に唇を押し付けられると、足元から、何かが走り抜ける。


ショーツ越しに優しく触れる司の指。


「や・・・だ・・・。ダメだ・・・って」


声が零れそうになるのを抑えながらの抵抗は、余計に司を煽ってしまったようで。


「・・・・・・じゃ、全部脱がさなきゃいいんだろ?」


と、ついさっき締めてもらったばかりの帯をあれよあれよという間にすべてほどかれてしまった。




・・・センパイの努力の結晶が。
汗までかいて、締めてくれたのに・・・


っつーか、帯が一番自分でできないんだよっっ!!!


思わず呆然としてると、そのまま肩に担がれる。

そしてそのまま、ベットに投げ込まれた。



「ぎゃっ」



体がしっかりと沈み込む感覚に思わず瞳を閉じてしまう。
再び光を受けようと開いた瞳に写るのは、司の上気した顔だった。



「これで、しやすくなった」



再び、あたしの中心に這わされる、司の長い指。
やさしく蠢くそれは、あたしの何もかもを奪ってしまって。


そのまま何も考えず、司の与えてくれる快楽に飲まれてしまいたくなる。



「は・・・・・・ぁ・・・・・・」



襟元を、思いっきり左右に引かれるとあっさりと現れた胸元に口唇を這わされる。


「思うようにいかない、っつーのもけっこういいもんだな」


うつろな目で、司に視線を送るけど。
もう、あたしはそんなことより司が送り込む快感に耐えるのが精一杯で。



「・・・牧野も、思うように動けない方が・・・感じるだろ?」



そういって、薄い布越しだった指を
そのまま触れるべく、ゆっくりとショーツを下ろされた。




ゆっくりと潤いきった場所に触れると、司はニヤリと意地悪げな笑みを向ける。



「やっぱりそうじゃん」



恥ずかしくて、恥ずかしくて
けど、きっととっくにもう顔なんて赤くなってただろうから、あたしは知らんふりを決め込んだ。



ゆっくりと、進入する指は
優しくもあり、荒々しくもあり。


一瞬もあたしを休めることがない。


徐々に激しさを増す、指の動きに司の肩に置いた手に力が篭る。



呼吸すらままならない中、不意に落とされる耳元へのキス。





その瞬間、弾けるなにか。





「ひゃぁぁ・・・・・・あ・・・・・・・」





肩に置いておいた手を司の首もとに回して力いっぱい抱きしめた。



ゆっくりと引いてゆく波と共に緩まる腕の力。



呼吸を整えながら、そのまま枕に体を沈めこんだ。



自分の上下する胸元が見える。
その少し白めの肌には、くっきりと赤い後がいくつも残されていて。




力の入らない手で、それに触れようとした途端、不意に訪れる快感。

あたしの中に残されたままの司の指が再び動き出したのだ。



「やっ・・・・・・ぁ・・・」



腕を額に持ってきたことで気づく自分の服装。



「おね・・・がい・・・。もう、だめ。着物・・・よごれちゃう」



その言葉で、司はあたしの中から指を引き抜く。



そしてあたしを抱え起こすと自分の上に乗せた。



「これなら、へーきだろ?」



ゆっくりと、あたしに埋まる司。



「んっ・・・・・・」
全てが埋まったことで、自然と声が零れた。



ゆっくりと動かされる腰に、あたしもリズムを合わせる。



「はぁ」



司の胸に両手をつくと、優しく重ねられる、手。
その手が徐々に上昇してきて。



優しく、胸の先に触れられた。




「やっ」




思わず、零れた声に反応して司の動きが早まる。




ガクガクと揺さぶられる中で、動かされる司の指と腰。




「も、もうだめっ」




叫ぶように発した言葉で、司は手をあたしの腰に持ってきた。
やさしく支えながら、それとは反対の腰の動きで
あっさりとあたしを2回目の絶頂へと送り込んだ。




そして、あたしより少し遅れて
司の動きがよりいっそう早まったかと思うと、ゆっくりと吐かれた息で司が達したのを知る。



そのまま司に倒れこんでいたあたしの背中を、なぞる指。


まだ、乱れる呼吸の中、 ゆっくりと交わされたキス。






そして














「・・・・・・牧野。結婚しようぜ」














その言葉に、くたくただった体を思いっきり起こした。




「な、なにーーーっ。急に!!」




襟元を両手で押さえながら飛び起きたあたしを、司は笑いながら見つめる。




「急じゃねーよ。第一、3回目じゃねーかよ、プロポーズ」




優しく、汗で頬に張り付くあたしの髪をはらう司の指。



この指が、さっきまであたしを翻弄しまくってた────



な、なんて事考えてる場合じゃないわっ!!



結婚?!

そ、それに・・・・・・

さ、3回?
あ、あれ?2回じゃ・・・



あたしが指を折って考え込んでいると、司が怒ったように口にする。



「ラーメン屋でだろ?それと、記者会見の時のアレも俺にとっちゃ、プロポーズなんだぜ?」








────4年後、必ず迎えに来ます。








巨大なスクリーンに映し出された司は、あたしの傍にいた司とはまったく別人のようで。
すごく大人に見えたっけ。





なんて昔に浸ってるのに。
じわりと広がった、感覚にあたしは慌てて現実へと戻る。




司が再び腰を、沈めだしたのだ。



「ちょ、ちょっとっ」



体を離そうとしたあたしをそのまま押し倒すと、再びゆっくりと腰を打ち付け始めた。
腰紐も、ゆっくりと解かれるとふわりと広がる開放感。

着物の襟を押さえていた手を優しく解かれると、柔らかく胸元を這う司の舌。



「・・・・・・返事早くしろよ」



くぐもった声で、そんなこと言われたって・・・・・・
こんな大事なこと、すぐ返事できるわけないじゃないっ。



「ず、ずる・・・いよ。司・・・・・・」



はぁ、と深く息をついた所を
いっそう深く突かれた。



「やっ・・・・・・」



何度も達したばかりの体は、すぐにまた昇りつめる。



「つ・・・かさ・・・っ」
「何が、・・・ずりーんだよ・・・っ」



司のこめかみから、汗がポタリと落ちた。



「だっ・・・って。こんな・・・とき・・・に」
「簡単じゃねーか・・・。くっ・・・してーのかしたくねーのか」



優しく胸の先端を噛まれて、思わずイキそうになったのをどうにか留める。



「しかも、おまえは・・・・・・こんな時じゃないと・・・はぐらかしたり、本心をいわねーから・・・な」



・・・こ、こいつ。
さすがに、付き合いが長いだけあって学習してるっ。



「お願い・・・・・・もう、ダメ。また、後で・・・」
「ダメだ。今答えろよ」



かわいらしく、訴えてみたけど・・・あっさりと拒否されて
ますます腰を打ち付けるスピードを上げる。



「や・・・っ・・・あぁ・・・・・・」
「・・・どっちだよ」





あたしは、もうどうにでもなれ、と全てを司にぶつけた。






「・・・・・・したいよっ」






司の口元が、ニヤリと上がる。
まるで、こう答えるのが分かってたみたい。

なんかむかつく。
・・・むかつくけど。



けど、やっぱりこんな時に、嘘をつく余裕なんてなくて。
意地を張る、余裕なんてなくて。



「ずっと、司と一緒に・・・いたい・・・・・・あ・・・っ」



じわじわと昇りつめていた、快感が一気に零れる。





あたしは、そのまま意識を手放した。










次に目が覚めた時は、司の腕の中で。
ナゼだか、全裸で驚いた。





「おっ。気がついたか?」





嬉しそうに微笑む司をあたしは一生忘れないと思う。



それほど、司の笑顔は煌めいていた。
自惚れなのかもしれないけど

さっきの会話が蘇る。



『・・・・・・したいよっ』
『ずっと、司と一緒に・・・いたい・・・・・・』




彼の笑顔をあたしは一生忘れない。






自分から告白したことなんて、今日を入れて2回だ。
美作さんちでの、あの告白シーンをゆっくりと思い起こしながら
さっきの場面と、重ねたりした。






「なんか寝苦しそうだったから、全部脱がしたぞ」

そう告げる司の口唇に、優しくあたしの口唇を押し付けた。




真っ赤になる司に、さっきまでの強引な司が重ならなくて
苦笑しながらさっきの仕返しとばかりに、頬をつねってみた。





「カウントダウン・・・過ぎちゃったね・・・・・・」

枕もとの時計は、午前2時を示していて。



「これからの大晦日もずっと一緒だから、べつにいーだろ?そんなん」



なんて言葉に、幸せを噛み締めたりした、2004年の始まりの日。




















その頃───


タマの部屋では、湯飲みを両手で押さえてテレビを見る後ろ姿。


「湯けむりできちゃった結婚作戦に続く、第二弾、題して『着物でGO!できちゃった結婚作戦』上手くいった頃かねぇ」




タマの呟きは、誰にも聞こえなかった。




おしまい










■■■■■アトガキ■■■■■

2004年、初UPが裏です。ハイ。
しかも、ちょっとぬるいです(笑)
本当は、司にも着物着せたかったのだけど、どうも、男の人の着物の仕組みがよく分からん。
で、結局司は普段着、っつーことで(笑)

あと、タイトル。
すみません、ただのエロ話にシャレたタイトルつけちゃって。
ほんとごめんなさい。
しかも、スペル合ってるかどうかも怪しかったり。うふ。
あとあと、新年早々こんなん読ませちゃって、こちらも申し訳ない。もう平謝り<(_ _*)>

謝ってばっかりだよ、あたし(笑)


今年も、こんな感じでスタートです。えへ。


2004,1,1   momota







アンケートお礼(続編になります)   tukasaka × tukushi ***




ゆらゆら。
ゆらゆら。






揺れるベットに体を預けて。






ふわふわ。
ふわふわ。






ゆっくりと引いてゆく、痺れにも似た快感に頬を染めながら。


きっと、雲の上に乗れるとしたらこんな感じなんだろうな。



やさしく梳かれる前髪。
汗でしっとりと濡れているけれども。
髪だけでなく、体中もしっとりと湿っているけれども。


大きな司の手は、そんなあたしをすっぽりと包み込んでくれるようで
あたしはこっそりと、微笑んでみる。


さっきベットの上で交わされた、少し未来の約束を思い出しながら─────




























すっかりと司に翻弄されて、達した後はそのまま眠りに落ちてしまいたくなる。





けれど、じわじわと這うなにか。



ゆっくりと覚醒してきた意識。



わずかに感じる快楽に思わず体を捩る。



その瞬間、太腿に触れる熱い、息。
ゆっくりと這う熱い、舌。


それが、体の中心にあてがわれた時。
思い切り体を起こした。



────司っ!!



声をあげたつもりだったけど、それは言葉になってなくて。
ただ、うめいただけで終わってしまう。





ついさっき体を離してから、まだそんなに時間が経っていない。
それなのに思い切り足を広げられ、その間に顔を埋める司。
ゆっくりと上下する、司の舌の動きにたまらなくて思わず悲鳴にも似た声が出た。




「キャァ・・・っ・・・あ・・・っ・・・や」





舌が妖しくうごめく間も、司のキレイな指はゆっくりと太腿の内側を行き来する。



さっき、達したばかりなのに。




それなのに。




体中から再び溢れ出る、汗。




思わず、司のクセの強い髪に指を絡めた。






よりいっそう快楽を求めるあたしと
羞恥心から、それを遮ろうとするあたし。






どっちもあたし、だ。





それでも、やっぱり羞恥心のほうが強くて。

司の髪に絡める指をゆっくりと外すと、司の舌から逃れるように腰をずらす。
そんなあたしの、わずかな抵抗も司には無意味で。
今まで太腿に置かれていた手を腰に置かれ、しっかりと押さえつけられてしまった。





「・・・・・・イクときの顔、見せろよ」





視線をあたしに向けて、くぐもった声でそんなことを言われただけで
司が舌を当てているその場所は、新しい潤みを作る。





「だ、だめっ。・・・・・・やだ・・・」





ゆっくりと、舌先をあたしの中に侵入させながらも両腕でがっちりと押さえられて
耐えず送られる刺激に、おかしくなりそうだ。

どんなにもがいてみても、それは止むことはなく。
むしろ、よりいっそう強い力で押さえつけられ、よりいっそう強い刺激を与えられてる気がして顔が赤く染まる。
それに伴い、水音も徐々に大きさを増してきて。



・・・・・・恥ずかしさで、このまま無くなってしまいたくなる。



そんなことを考えてる間にも、あたしの頭の中はフラッシュをたかれているみたいに
パシパシと意識が途切れて。
このままでは、本当に数十秒後には達してしまう。





そこで、最後の手段。





「つ・・・司っ。さ、さっきの・・・・・・撤回するから・・・・・・ねっ」



途切れ途切れ。しかも、熱い吐息混じり。
こんなんじゃ、全然説得力ないっつーの。



自分でも分かってるけどっ。



「・・・なんだよ、さっきのって」
きょとんとした司の声。
こんなときに、なんでこんな普通の声が出せるわけ?


翻弄されてるのは、あたしだけのような気がして悔しい。


「・・・プロポーズの・・・返事」


司は顔を上げると、今度は舌の代わりにゆっくりと指を侵入させる。
舌よりも奥まで届く細い指で、あたしが一番弱い場所を探られて。



「・・・っ・・・やっ」



司の指がそこに到達した時、思わず洩れた声。
司の口元が、ニヤリと上がったのが見えた。



もうもうもう。
あたしの、バカっ。



「・・・・・・OKじゃないってことか?」



わざとらしく、残念そうに呟く司。
思い切り睨んでみるけど、潤んでいる瞳では殺気もあったもんじゃない。


そんなあたしに、構いもせず擦られるように、その一点で動く指。
上気した顔を見られるのがいやで、腕で顔を隠す。
けれど、それだけで隠せるほどの小さな快感ではなく・・・・・・



しつこいくらいに動く指に、脚に震えが走った。



「やっやっ・・・あぁ・・・・・・お願い、司。もう、ダメっ」
「じゃ、撤回の撤回しろよ」



やっぱりあたしは、司に敵わないのかもしれない。
勝とうとは思ってない。
だけど、せめてあたしと同じくらいな気持ちになってほしい。

司の指の動き、口唇の動きひとつひとつにくらくらしてるあたしみたいに。
あたしの仕草や、声、ひとつひとつにくらくらしてほしい。




擦るように動く指に加え、小さな突起にも舌を這わせる司。



もう、ダメだ。
今はもう体を押さえつけられているわけではない。
だから、ほんの少し力をこめれば司を押し返すことはできると思う。

けれど、その少しの力が入らない。
この数時間、ずっと与え続けられている快感に体中どこも力が入らない。




司が与えてくれる快感を受け入れるだけ。
愛情を、体で感じるだけ。





数時間までは空っぽだった体を、快楽と愛情でいっぱいにされ
その上、今は体中から溢れそうなほどの想い。

あたしは・・・・・・
あたしは、司をいっぱいにしてあげてる?
あたしの想い、ちゃんと伝わってる?




「わかったっ・・・わかったから・・・お・・・ねがい、やめてっ」



その瞬間、動きを止める司の指先と舌。
それを願ったはずなのに、送り込まれる刺激が止むと少しだけ
ほんの少しだけ物足りなさを感じる。




けれど、あの得体の知れない大きな波に飲み込まれるよりはまだマシだ。

あんな大きなものに、流されそうになったことなど今まで一度も無い。

そしてもし、その感情に流されたとき・・・
自分がどうなってしまうのか。


いつも以上に乱れる自分を、司に見られるのは絶対にイヤだ。
今までだって、達する寸前あげてしまう甘い声や、体の震え。
それを司に見られるのがすごく恥ずかしいのに。



おまけに、今回は司自身ではなく
司の指と口唇、舌のみで送られる刺激。






汗びっしょりになって
肩で呼吸して
震える指で司に触れる。



司の体もしっとりと汗ばんでいて。
あたしはシーツを引っ張りあげると、司の体を覆った。



まだ、指先があたしの中に残る為、じりじりと響いてくるような快感が伝うのみになって
ホッとして、体から力を抜く。







「ホントだな?」

あたしの呼吸が落ち着くのを待って
観察するようで・・・それでいて、楽しんでいるような司の眼差し。
それを受けながら、あたしは不貞腐れ気味に答える。



「・・・・・・ホントだよ」



「そか。じゃ、とりあえず、イっとけ」



!!!!!



瞬間、あたしの中ではねるように動く指。
再び這わされる、熱い舌。



「あっ・・・やぁーっ、あっ・・・・・・あっ・・・んっ」



気を抜いてたあたしは、そのまま司の指と舌であっさりとイカされてしまう。

いつもより全然ちがう大きな波。
意識がはじける寸前
見開いた瞳に写るものは、司のいじわるそうな笑みを含む、綺麗な瞳。






たっぷりと与えられたはずの愛情はいくらでも受け入れる場所があって。
限度なく注ぎ込まれる想いを体で感じながら、びくびくと痙攣する体を司の香りの残るシーツに預けた─────


















そっと視線を時計に合わせると、午前4時。
このまま司の部屋に泊まる予定だけど・・・・・・



この甘美で淫らな快楽から解放されるのは一体、いつになるだろう。



・・・・・・新年そうそう、こんなんで。
まだ、年が明けて数時間しかたってないのに
何回、達したのか分からないほど。




こうなったら、意地だ。
せめて、今日くらいは司の中をあたしでいっぱいにしてから眠りにつくことにしよう。
あたしは眠りに落ちそうな司の上にまたがると、そのまま司自身にそっと触れる。



飛び起きた司に、さっきされたような笑みをそのまま返す。



「だっーーー!!なんだよっ!」



あたしの魂胆を理解したらしい司は、慌ててあたしをどかそうとする。
そんな司に、熱めのキスを落とすと途端に大人しくなる。



あたしの想いのタップリこもったキスに夢中になる司に満足しながらも
熱いキスはこちらにも、少々刺激が強すぎるようで。
再び呼吸が乱れてくる。



そしてくらくらする、頭の中で思う言葉は

「一年の計は元旦にあり」

で、なんだか先が思いやられた。






























思いやられた、けど・・・
でも、未来のあたしの人生に司がいる。
それが嬉しかったりした。




おしまい




2004、4、24   momota




→text   →nijitop   →nijiotonatop