SKY GARDEN




金木犀   rui × tukushi ***







久しぶりのあのメンバー。



大学を卒業して、それぞれの仕事に就いてからは学生の頃のように しょっちゅう集まることもなくなった。



けど、今日みたいに時間を見つけては1年に1度ほど司の家に集合する。






何年たってもあいつらは、あのままで。
嬉しくもあり
情けなくもあり







「おう、牧野。類と仲良くやってんのかよ」
「うん、ま、そこそこ。ね、類」


牧野の微笑が自分に向けられて、ドキンと心臓が鳴った気がした。






(あんまり、司に笑いかけるなよ)
(なんで司と話すのに、頬を染める必要があるんだよ)





うっすらと白い頬に赤味が差しているのは、アレの後を思い起こさせる。
俺しか知らないはずの牧野の表情。


(そんな顔、司に見せるなよ…)


・・・もう、そんなことを思っていても口にするほど子供でもないし
昔の男に焼きもちをやいたって仕方がない。



と、司と牧野の声が交わることに違和感を感じた。
嫉妬だけではなく・・・それとはまた違う・・・





あぁ、そうか。
俺は牧野が、俺以外の男と話す場面をあまり見たことがない。





(あまり、気分のいいもんじゃないな・・・・・・)






傍のテーブルにあったワインを1本左手に、グラス1つを右手にその場を離れる。
そのまま、バルコニーへ向かった。








両手が塞がっているため、肩でバルコニーへの扉を押しやった。
夜風がひんやりと染み入る。
思わず目を細めてしまう。
10月ともなれば、さすがに夜は寒いくらいだ。
微かに香る、金木犀がなぜだか無性に心に沁みる。





俺は金木犀の香りを身に纏い、グラスに注いだワインをいつまでも眺めていた。




















ゆさゆさと体をゆすられる振動で目が覚めた。
なんだか嫌な夢を見ていたような・・・

そう、司と牧野が楽しそうに・・・・・・




って、ぼやけた視界に映るのはその2人だったわけで・・・・・・



「うわぁ」



思わず声を上げた俺を怪訝そうに見る2人。




「類?どうしたの?飲みすぎ?こんなとこで寝ちゃったら風邪ひくよ」




こちらの心境を、こいつに察しろ。という方が無理なわけで、俺は嫉妬、というものを無理やり体の奥へ押し込んだ。




そんな俺をじーっと見ていた司。
「・・・・・・俺、朝はえーからもう寝る。お前ら空いてる部屋好きに使っていいからよ」
にやり、と意味ありげな微笑をむける司に、頭を抱えたくなる。





(・・・こいつにはバレてる)




実際に頭を抱え込んでため息をついていた俺を、牧野は具合が悪いのと勘違いしたようで 急にワタワタと慌てだした。

「え?いいよ、あたしたち帰るから。類送っていくからかえろ?ね?」
「いいって、部屋なんて腐るほど余ってるんだし。総二郎やあきらも泊まってくみてーだぜ」
「・・・で、でも類、調子悪そうだし」
「じゃ、類だけ送らせる。牧野、オマエは泊まってけよ」




(──ちっ!こいつは何を言い出すんだ)




むっくりと立ち上がった俺に牧野が驚いて顔を上げた。


急に立ち上がったせいか、頭の芯がくらくらする。
吐き気がこみ上げてきた。
たしかにワインでけっこう酔いが回っている。




けど、今はそんなこと言ってられない。




俺の背中に回っている牧野の腕を掴むと司を睨んだ。





「・・・司、部屋借りるよ。俺たち部屋1つでいいから」





牧野が何かぎゃーぎゃー言ってたけど、俺はそのまま牧野を引きずりながらゲストルームまで向かった。





















部屋の扉を閉めると、牧野が膨れている。
「んもー!類、具合悪いんじゃなかったの?!」



ベッドに腰掛けた牧野も少し酔っているのか、頬が少し赤い。
その赤さが、司と話していたときの牧野の頬と重なった。





「ちょ、ちょっと類、やだ!なに?」
いきなり牧野に覆いかぶさった俺の背中をポコポコと殴る。



唇から首筋をたどり、鎖骨まで落ちたキスに牧野の腕がとまる。
牧野の形のいい唇から、切なげなため息が零れたことを確認すると俺は太腿をたどっていた手を 牧野のシャツのボタンに移した。






一つボタンを外すたびにキスを零す。







5個のキスを零したところで、再び手を太腿に移した。




牧野の手が俺のシャツを脱がせはじめるのと同時に彼女の下着を下ろす。
いつもとは違うやり方に、牧野が抗議の声を上げる。




「る、類!ちょっとまって!ちょ・・・」




それ以上余計なことを言われないように、無理やり唇を塞ぐ。
再び暴れだした牧野の腕を無理やり彼女の頭の上まで持ってくると、力いっぱい押さえつけた。
そしてスカートをたくし上げると、まだ潤いきってない彼女の中に無理やり俺を押し込む。



「・・・類!!や!やだ!」



それでもいつも以上に締め付ける牧野の中で俺はそのまま腰を打ち続ける行為に耽った。



「・・・やがってる割には、濡れてきてるじゃん」
指を牧野の潤い始めた場所へ移動させる。
わざわざ口に出すことじゃなかったけど、司へのイラつきが俺をおかしくする。
「んっ!んっ!」

顔をしかめる牧野。
俺が打ち付けるたびに零れる声に昂りを抑えきれず、律動を早める。



「やあっ!!類っ!」


俺の名前を読んだあと、くったりと力の抜けた牧野の腕を開放しながら、俺自身も牧野の後を追うように昇りつめた。






牧野と繋がったまま、肩で息をしてると彼女の両腕に目が留まる。
そこには赤い痣が、ぐるりと一周ついていた。






・・・・・・俺・・・全然ガキだな。






牧野の腕を引き寄せ、俺がつけた痣にキスを落とした。



「・・・・・・ごめん、痛かった?」
「・・・・・・どしたの?」



牧野の胸も激しく上下している。
呼吸を整えるように一呼吸すると、ゆっくりと起き上がった。



「嫉妬」



司にもばれてることだし、今さら、隠してもしょうがない。



それだけ言うと、俺は牧野から体を離した。




「・・・だれに?」


相変わらず、すっとぼけた女だ。


「あんたと司だよっ!」


ココまで俺に言わせるのか。
それでもこーゆー女を好きになったのは自分だ。



ため息交じりに牧野を傍に引き寄せる。


心なしか牧野の肩が・・・震えているような・・・・・・



「・・・なに笑ってるのさ」
「・・・やきもち?」
「なんだよ。おかしい?」

なんか馬鹿にされた気分で、引き寄せた腕から体を離そうとした瞬間、牧野が赤い痣の残る腕を絡ませてくる。

「あたしなんて、いつもだよ」
「・・・なにが」
「・・・嫉妬」


会話の内容が上手く理解できず、牧野の顔を覗き込んだ。


「誰に?」

・・・俺もすっとぼけた質問してるのか?



「類と、類の傍にいる女の人たちにっ!」


もー、なんでこんなことまで言わせるのよっ!とぷりぷり怒っている牧野。





・・・・・・おまえに言われちゃおしまいだ。








「ね、牧野」
なに?と俺の腕の中で顔をあげる牧野が愛しい。



「たまには、俺のこと抱いてよ」
「・・・?」
「俺がベットで牧野にしているようなことを、今日は牧野が俺にしてよ」
「えぇ〜?!」


人って驚くと、ほんとに眼がまん丸になるんだな。


「・・・できるかな」
真っ赤な顔で呟く牧野が愛しい。



「嫉妬したら疲れちゃってさ」
「・・・何言ってるのよ。疲れてた割には随分さっきのは激しかったわよ?」
と、目の前に痣の残る腕を持ってくる。


「それに、疲れてるんならもう寝なさいよ」
ベットから出て行こうとする牧野を引き戻すと、俺の上に乗せた。


牧野は大きな瞳を意地悪そうに輝かせながら囁く。
「・・・あたしのことが一番好きです、って言ってくれたら抱いてあげる」
牧野の腕が、俺の首に巻きつく。
ニヤニヤ意地悪な瞳も、愛しい。



「牧野つくしが、一番好きです。これでいい?」
「だめ!感情がこもってない!!」

ダメだしされた俺は、今度は牧野の耳元で囁く。
思いっきり甘い声で。


「・・・つくし、愛してるから」
「・・・よろしい。覚悟しときなさいよ?」



柔らかい微笑のまま


唇に
頬に
耳に
肩に
指に
胸に


滑り落ちるように牧野のたどたどしいキスが降ってくる。

何回も。
何回も。







そんな仕草にたまらなくなって、結局は俺が再び牧野を押し倒してしまうのだけども・・・
まぁ、それはそれでいいや、って事で。










さっきまでの激しさを物語るようなベットで眠る牧野をそのままに、バルコニーに出る。

やはり、微かに香る金木犀。
でも、さっきと違って甘く、幸せな香りのような・・・気がした。






















「おう!はえーな、類にしちゃぁ」

あまりにも激しい夜を過ごしたせいか上手く寝付けることができなかった。
ふらふらと部屋を出歩いている俺を見つけると、司が笑いながら近寄ってきた。

「・・・寝てないんだよ」


「はー、今日は雨だな」なんてむかつくことを口にする司。


「どうだ?一緒に朝メシでも」
司の誘いで、そのまま朝食を一緒にとることにする。


こいつと向かい会って、朝食をとるなんて。
この先何度あることか・・・。

ニヤニヤと見つめてた俺に気づいたのか、司が訝しげに睨み付けてくる。

「・・・なんだよ」
「いや、べつに」
「ずいぶん機嫌が直ったんだな」
「・・・・・・」


カチャカチャと朝食の準備をするメイドが動き回る中、司はコーヒーを催促している。
コーヒーを入れ終わり、ペコリと頭を下げるとメイドが足早に去っていった。
それを見届けると、司は急に切り出した。



「・・・類、お前思ったことちゃんと言った方がいいぞ」
「・・・牧野のこと?」
「あぁ」
かちゃり、とコーヒーカップを置くと俺を見据える親友。
椅子の背もたれに右ひじを乗せてこちらを伺う親友は、牧野の元恋人。





「嫉妬でも、なんでもちゃんと口にしないと、俺んときみたいにダメになる」

真っ直ぐすぎる瞳には何が映っているんだろう。
その瞳の奥には誰がいるんだろう。
「・・・わかってる」





そして、これもわかってる。

『まだ司は牧野のことを想っている』









ここ数年ろくに会うことがなくても
幼い頃から流れる時間をほとんど一緒に過ごしてきた親友だから────






「・・・って、夕べはどうだったよ」
「どうって何が」
「オトコは腰が命だからな」
「・・・・・・」
「俺っていう存在が、けっこう刺激になっただろう?」

ニヤニヤと見つめる瞳。






・・・朝っぱらから下ネタかましやがって。
人がセンチメンタルな感情に浸ってるというのに。








けれど




ふわりと沁み込む司の優しさが、金木犀と似ている気がした。




「司、金木犀みたい」
「あぁ?またお前はわかんねー事言い出しやがって。俺は木じゃねー!!早く寝ろ!」


シッシッ!と手の平で追いやられる。
欠伸をしながら席を立つと、そのまま司のいるダイニングルームを後にした。








そして
金木犀の甘い香りを思い出しながら、俺は牧野が寝ているベットに潜り込んだ。






おしまい



■■■■■アトガキ■■■■■

嫉妬に悩む(?)ルイルイ…。(悩んでないっつーの・笑)
いいのよー、若者は多いに悩むべき!

親友の元彼女と付き合うって、けっこう大変だなぁ、なんて思ってみたりしました。
しかも、親友もめちゃめちゃ好きだったの見てるしね…。

司とつくし、一応付き合っていた、という設定にしてます。
何の原因でダメになったかは、わかりません(笑)


でも、いつかは書いてみたいあなぁ、司が嫉妬に狂うお話…
と思っていたら、ピカリしゃんのキリリクで書いてみました(爆)

ここまで読んでくれてありがとうです〜。
2003,9,12 momota




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