SKY GARDEN




赤の点と線   rui × tukushi ***







今日何度目かの、ため息。
それでも、自分で自覚してるだけの何度目か。

だからきっと、本当はもっと多いと思うけど。


この際、そんなことはどうでもいい。




目の前に、三角の布地を持ってきては零されるため息に
自分でも、呆れ気味。




あぁ、こんなん買わなければよかったっ。




見れば見るほど、恥ずかしい。




頭に浮かぶは、滋さんのはにゃー、とした笑顔。
買い物に付き合ってもらう人物選択を間違えたのだろうか。
けど今さら遅い。




絶対にコレがいい、と押し切られ・・・
って、あの時は自分でもコレがかわいいと思ったのも事実。




そ、そりゃ
滋さんは、出るとこ出てて・・・引っ込んでるとこは引っ込んでて・・・

女のあたしから見ても、うっとりするほどのスタイルで・・・・・・




だーーーーーっ。




試着までして。
そんときはすごく似合ってるように見えたんだよー。


滋さんもすごい似合ってる!!って言ってくれてたし。
店員のおねーさんも・・・・・・




胸が足りないのは仕方ない。
けど、このお腹・・・
なんとかしたいのは山々なんだけど・・・・・・

けど。
類との約束
明日なんだ。





目の前の白地にピンクの小花が散ったビキニを見つめながら
あたしは、今日一番大きいため息をついた。

















「牧野?起きてる?」


玄関の扉が軽くノックされる。
ほんとはアパートの下で待ち合わせだったんだけど・・・・・・


決心が付かなくて、ドアを開けることができないでいる。


だって、あんな姿見せられないよー。
よくよく考えてみれば、下着姿とまったく一緒なワケで。
その下着姿だって、薄暗い部屋でしか披露したことないワケで。




「牧野・・・?」




いつもどおりの類の声。


あたしから誘っておいて・・・何してんだろう。
少しだけ罪悪感。
あぁ、プールに行こうなんて言わなきゃよかったっ。


涙目で、膝を抱えるあたし。


「調子悪いの?」



中のこんな様子を知るわけもなく、類の心配する声があたしの心臓を締め付ける。



「ちょ、調子悪いっていうか・・・なんていうか・・・」


玄関の扉に額を付けてみる。

ゆっくりと伝わる熱に、あぁ今日も暑いのか、なんて恨めしく思ったり。

扉を1枚隔ててる先には、きっと類の心配そうな顔。



それを思ったら、いてもたってもいられなくて。
そうっとドアを開けてみた。





ゆっくりと顔を出したあたしに、ほっ、と安堵の笑顔を零す類。



もー!もーーー!!
そんな笑顔見せないでよう。



涙目で真っ赤になってるあたしを、類は具合が悪いと勘違いしたらしく
慌てて、ドアを開けて玄関に入り込んできた。



突然の類の動きに驚いたあたしは、そのまま玄関にしりもちをつく。
そんなあたしに、視線を合わせるようにしゃがみこんだ類。
いやでも、視線を外せない距離。




「熱あるんじゃないの?」
「あ、いや、これ、ちがくて・・・・・・」



しどろもどろで返答するあたしに、とりあえずは具合が悪いわけではないと察知した類は
腕を組んであたしを問い詰める。



「じゃ、なに?プール行きたくないの?」
「あ、いや、そーゆーワケじゃ・・・」
「あんたから、誘ったんだよね?プール・・・・・・」
「う、うん。あ、あぁ!そうそう!ちょっと今日、あの、月イチのアレが・・・」
「・・・アレ?・・・あぁ、この間調子悪そうだったのがアノ日じゃなかったの?」




うぐぐぐぐぐぐ。
す、鋭すぎる・・・・・・




刺さるような視線に
って、いつもこの視線にやられて嘘がつけないんだけど。
結局、水着のことを話す羽目になった。






「み、水着になるのが恥ずかしくて・・・・・・」
「水着?何を今さら。牧野の裸なんてもう見慣れてるよ」
「ちょ、な、類〜〜」

真っ赤になったあたしの顔をみて、類の軽く笑う声が響く。

「ってなのは冗談で。回りもみんな水着だろうし・・・。行っちゃえば気にならないんじゃないの?」
「そ、そうかなぁ」
「俺は別にプールじゃなくてもいいけど?」
「ほ、ほんと?」


にこ、っと微笑んだ類の笑顔にすがるようにあたしも笑顔を返すと
類ってば、その笑顔のまま再び口を開いた。



「あ、でもやっぱ牧野の水着姿みたいかも。俺」








結局、その一言でプール行き決定。
















更衣室にて、しぶしぶ着替えてみる。



うわーん。
やっぱり恥ずかしいよ。



周りの女の子と比べても、やっぱり貧弱な胸に一回り太いウエスト。
がーーー。
せめて昨日の夕飯抜いておけばよかった。



このっ。このっ。とお腹の肉を掴んでみるけど・・・・・・
減るわけもなくて。


バスタオル巻いて行こうかな・・・・・・


意識しすぎかな。


る、類も見慣れてるって言ってたしっ。
自意識過剰なんだよね。うん。



無理やり自分を納得させて、更衣室の扉を開けた。






高い位置にある太陽は、まさしくプール日和を奨励しているようで
ちょっとため息。
だれもあたしの味方はいなかったってワケね。





あたしよりも、絶対早く出てきてるはずの類の姿を探す。

って、類・・・大丈夫だったかな・・・。
こうゆう一般人のプールに連れてきちゃって・・・・・・

ホテルのプールとかしか行ったことなんだろうな・・・・・・


なんてことを考えながら彷徨っていると
類らしいとゆうか、なんとゆうか・・・・・・


木陰でまどろんでる類を見つけた。




「る、類!お待たせっ」


胸元を隠しながら類に声を掛けるけど・・・・・・



類?
あれ?
なんか固まってない?



「る、類?」
「・・・・・・あ、うん」

少しの間のあと
すく、っと立った類に腕をとられてそのまま引きづられるようにその場を立ち去る。




「あ、ちょっと!類!どこ行くの?」
「プール入る」
「は?」
「プール入りにきたんだろ?プールに入る」
「そ、そりゃそうだけど」




少し汗ばんでる類の広い背中を見つめながら、引きずられていると
周りの人の囁きが耳に入る。




『あの人かっこいい〜』
『すごーい!キレイな人〜』
『なんとか物産の息子に似てない?』
『芸能人みたい・・・・・・』




色の白い類に、真っ青なハーフパンツの水着はすごくよく似合っていて。
あたしも見とれていたいのにっ。
歓喜の声をあげている女の子達を横に、なぜかズルズルと引きずられてて。


自分の体を隠すどころか、転ばないようにするのが精一杯で。
類に掴まれていないほうの腕で、一生懸命バランスを取っていた。





そのうち、ふわりと体が浮く感覚。


急に至近距離にきた類の顔に自分が抱き上げられていることに気付く。
太陽に透けた類のサラ髪が、いつもよりももっと金色に光を放っている。

うっとりと、その光に目を奪われていると突然の声。


「牧野、息止めてて」


瞬間、ゴホゴホと一瞬で水の中。
自分の周りの温度が一気に下がる。




驚いて、あたしの体を支えるものにしがみ付いて
水面へと顔を出した。




「ゴホッ、ゴホッ。な、なに〜〜?」



息が吸えるのを確認すると、自分の状況を確認する。



「なに〜?ってプールに入ったの」



しっとりと濡れた薄茶の髪をかき上げる類。
左腕は、あたしを支えたままで。



濡れた横顔はこれまたいつもの類とは違ったかっこよさ。
って見とれてないで、文句の一つでも・・・・・・




「も、もう。びっくりするよ。それに準備体操してから入らないとっ」





あ、あれ?
ここのプール水深何mあるの?


ふわふわと、つま先で水底を探してみるけど・・・
ちっとも、それに見合うものが、ナイ。



あたし足付かないんだけど・・・・・・



あ・・・類は足付いてるみたい。
ってことは1、6mくらいあるのかな?



ちょ、ちょっと怖くなってきた。



類の肩に置いた手に力を込める。



「準備体操って・・・ぷぷぷ。あんたらしいね」
「準備体操侮っちゃだめだよー!!って、ちょっといったん上がろうよ」



あたしは足の付かない不安で、類の顔を見上げる。

類の前髪からポタリとあたしの頬に雫が落ちた。



「だめ」
「・・・・・・はい?」
「あがっちゃダメ」
「な、なんでよっ。あたしちょっと怖いんだけど、ここ。深すぎて」



ちょっと水面を覗き込むようにしてから再び、類を見上げた。



「・・・・・・」
「・・・類?」
「・・・ほかの男に見せたくないんだよ」
「・・・あ、あの」
「あんたの水着姿、ほかの男に見せたくないのっ!!」



色の白い類の頬が一瞬で、赤く染まる。
それにつられて、あたしの顔にも血液が集中するのが分かった。



「る、類ってばっ!!そ、そんな平気だよっ、誰もあたしなんか見てないってっ」



あわてて否定するも、全然類はあたしの言うことなんて聞いてくれなくて。



結局、もう少し人が少なくなってから上がる、と言うことに落ち着いた。



落ち着いた、って言っても・・・その間あたしは類にしがみ付きっぱなしで。



なんか無性に照れるんですけど。



「深いほうに入ってよかった。牧野に抱きついててもらえる」



意地悪な笑顔を向けられるけど。


くーーー。今日は、逆らうこともできやしない。




「・・・牧野?」
「なによ」
「水着、似合ってるよ」
「なに急に」
「・・・・・・ただ、俺以外の前でそんなカッコはして欲しくなかったな、なんて思ってますけど?」
「ちょ、ちょっと、そんなこと今言わないでよ。照れる・・・・・・」
「じゃぁ、いつ言えばいいのさ。・・・あ、シーツの中で言えばよかった?」
「バカ」




恥ずかしくて、そっけない態度とっちゃうけど
けど
よかった、類に似合ってる、って言ってもらえて。



類のその一言が聞きたくて。
大騒ぎで水着を選んで。



少しでも、類にかわいいって思って欲しくて。



もっともっと好きになってもらえないかな、って。






「あ、キスマーク発見」
「ぎゃっ!!どこどこ?!」


あたしは慌てて、両手で首筋を隠した。


その瞬間、一瞬体が水面へと沈む。



「ばか。手離すなよ」



とっさに類の腕が支えてくれて、どうにか浮上。



「ゴホゴホッ。だって・・・けほ・・・類がキスマークとか言うからっ」


それでも、キスマークを探してる指に類がニヤリと笑った。


「残念、そこじゃない。肩のちょっと後ろんとこ。いつのかな・・・」



いつのかな、って・・・
よくそんな恥ずかしいことこんな太陽の下で口にできるわねっ。



「ちょっと牧野、俺の首もとに手回してて」




??




あたしはそのまま素直に両腕を類の首もとに絡ませた。



「あい。さんきゅ」


そのまま類の指があたしの肩に触れる。
もう片方の手で、髪を束ねられた。


「ここ。ここにキスマーク付いてる」


つつつ、と触れた類の指先がある一点で止まった。


どうやっても、見ることができない位置でそのまま類の動きに頼るしかない。


「そこだけ?」
「うん」
「いっこだけ?」


その瞬間、類の口唇があたしの肩に触れる。

ビクッ、と体が震えたのが分かった。


それに気づいた類が、口唇を離さずに視線だけで意地悪く微笑んで見せた。
ゆっくりと移動する類の舌が、首筋を辿って耳元に触れる。
今まであたしの体を支えてくれてた手は、優しくあたしの体に触れた。



「・・・っ・・・るい・・・」


何度か往復していた舌先が再び耳元で止まる。


「・・・したくなった?」


類の首元にまわしていた腕に力を込めながら思いっきり頭を振った。


「そう?俺はしたくなったけど・・・・・・」
「も、もうっ。類っ・・・んっ」
「ははっ。冗談・・・でも、半分本気・・・・・・」



そういうと、類は再びあたしの首筋から肩へと口唇を滑らせた。



水着の上から、そして水の中で触れられる体はいつもとは違った心地よさを呼んできて
それに、こんな場所での類の行為。


次第に、執拗になっていく類の舌や掌の動き。


「る…いっ」


上ずり気味の自分の声が、やけにやらしく耳に響く。


類は、そんなあたしにお構いなしに、水着の肩紐を歯でずらし始めた。


!!!


はらりと落ちた肩紐に、あたしは慌てて自分の体を類に密着させた。


「類〜〜〜っ。見えちゃうよ〜」


涙目でこっそりと囁いてみるけど、ちっとも相手にしてくれなくて。
あたしの体中を彷徨う掌は、さっきよりもよりいっそう激しさを増してる気がする。



あたしの呼吸は、乱れていく一方。



そんな中、あたしの中心に触れる類の指先。



あたしは慌てて、その手を止めた。
止めたと言ってても、両腕は類の首元なので口で制止させただけなのだけど。



「ちょ、ちょっと!ダメ。類これ以上はっ」


そう言っても、やめてくれる人ではなく。
ゆっくりと水着の中に侵入してくる指は、いつも以上の快楽を呼んでくる。


ゆっくりとあたしの中で動かされる指が、その都度、熱を生んでいるようで。
自分の中が熱くてたまらない。



「類っ・・・おねがいっ・・・もう、やめて・・・っ」


大きな声を発してしまう前に、やめてほしい。


やめて欲しい・・・?


ほんとに?


わからない。


このまま、流されてしまってもいいと思う自分も・・・いる。




「・・・牧野。これからその水着着るのは・・・俺と一緒の時だけに・・・して?」



心なしか、類の声も上ずっているような・・・
けど、あたしもそんなこと気にしちゃいられないわけで。


ぶんぶんと、首を縦に振ると類のうれしそうな「ありがと」と言う声が聞こえた。




それで、終わると思ってたあたしが甘かった。









「・・・じゃ、いいよ、イッちゃって」









なにーーー?!



途端に早められる、指の動き。
体中に訪れる震え。


しっかりと潤いすぎてる場所から発する熱。


もう、なにがなんだか分からない。



「・・・ゃ・・・あっ・・・るいっ・・・」



比較的すいてきたとは言っても、まだ回りに人がいる。



類にしがみついたまま、思わず類の肩に爪を立ててしまう。



声を零す代わりに、指に力を込めた。




や、もう・・・・・・あ・・・・・・




その間も、休むことなく動く指に
絶えず送られてくる快感。




類の口唇が、あたしの肩にのる。




舌先で、おそらくキスマークの場所を触れられた瞬間
何かが弾けた。









ゆっくりと崩れるように落ちる指先の先に見えたのは、赤く色づいたいくつかの線。




しっかりと体を支えられてることに安堵感を覚えながら
あたしは呼吸を整えた。




「ご・・・めん。類の背中・・・傷つけちゃった・・・・・・」



もう、すっかり乾き始めてる類の髪。
いつもより、パサついてるなんてことを思いながら
達した後の、脱力感に襲われる。



「いいよ。俺も仕返ししちゃったから」

ゆっくりと、類の指があたしの肩紐を元の位置へと戻す。

「仕返し・・・?」
「それより、これからどうしますか?このままじゃ俺が・・・・・・俺の部屋?牧野の部屋?」

そう言って笑う類。

「じゃ、あたしの部屋・・・・・・」




もうーー。
恥ずかしい・・・・・・。
両手で口元を隠しながら上目づかいで、類の様子を伺う。




あたしをプールサイドへと持ち上げると、自分もプールサイドへと上がる類。




「了解」




ゆっくりと差し出された手を取りながら、脚に力が入らないのを
気合で動かす。

怪しいあたしの動きに笑いを堪える類の腕をつねりながら
貧弱な胸や、一回り太いウエストのことなんかすっかり忘れてる自分に気づいた。



類が愛してくれる、あたしの体。
あたしはそれだけで自信がもてるんだ────




ゆっくりと隣を見上げると
淡いグリーンの瞳に、真夏の光を受けながら優しく微笑む類がいた。














その日の夜・・・・・・
窓際に干した、あたしの水着と類の水着。



やさしく揺れるそれを見て、類が囁く。



「あんたの水着・・・あんたの体みたいだね。白い肌に・・・・・・ピンクの跡・・・・・・」






そして─────
肩のキスマークの横に、まったく同じものが並んでいることに気づくのは、もっとずっと後だったりする。





おしまい












■■■■■アトガキ■■■■■

あいー。再開後初のUP作品です。
ちょっとぬるいっすね。コレも(爆)

裏庭のくせになんだよこの爽やかさ(笑)<白背景

しかも・・・

このプールなんだよ。水深1.6mって中途半端だな、オイ。
っつーかこの2人・・・なに2人の世界作ってんだよ、と。

あたしだったら絶対邪魔してるね。

えびマヨ浮き輪とかに乗せた子供、前横切らせたりするね。フン。

おまけに、つくしさん。まじでいやなら逃げなさいよ、と(爆)
あぁ、それを言っちゃ話がっ・・・(ゴホゴホ)

少しぐらいは泳げるだろう?と。1.6mじゃ死にやしないよ、と。←いや、危ないです。1.6mでも。

あー、なんでこんなに毒吐いてるんだろう。
風邪気味だからかな。うん。
そうだ、きっとそうだね。

なんかどんどん類が鬼畜恥知らずになってきてる気がしないでもないですが・・・
次回作でもお付き合いいただけると嬉しいです。
今回、まじで類キャラじゃなかったー(><)ごめんなさいー。


2004,1,22 momota



→text   →nijitop   →nijiotonatop