SKY GARDEN




ぴのこさん5555 ハピネス rui×tukushi ***






「じゃね、牧野」

ふわり、と類のムースの香りが漂ったかと思うとかすめる様に口唇に暖かいものがのる。
最近付け始めた、口紅の色さえ移らないくらいの軽いキス。



「・・・よってかないの?」



最初の頃はおいしいコーヒー買ってきたの、とか熱帯魚飼い始めたの、とかいろいろ口実を作ってみたりしたけど
最近じゃ、もうそんな口実も追いつかない。


「んー、明日朝から会議入ってるんだよね。だから今日は帰るわ、ごめん」



(今日も、でしょ)



「ん、分かった。またね。また時間できたら連絡してね」




アパートの階段を下りていく類の背中を見つめる。
そして考える。
あたしは、もうどれくらいあの背中に触れていないのか、と─────












これって欲求不満、ってやつ?
い、いや、でも”したい”ってワケじゃ・・・
ただ、類に抱きしめて欲しい。
類のことを抱きしめたい。
類に触れたい。


・・・・・・、したい、と同じことか。






パラパラと、不純な動機で飼い始めた色とりどりの魚たちに餌を与える。
飼っていれば、情も移るってもんで最近じゃあれやこれやと毎日世話をやいている。




るいるいるい────。
あたしは類でいっぱいなのに。
類は、違うの?





ただ、一緒にいた時間が長くて・・・・・・
この魚たちのように、情が移っただけなの?





初めて抱かれた夜は
綺麗な三日月が部屋の中にうっすらとした光を落としていて・・・・・・



そして
信じられないくらいの痛み
信じられないくらいの幸せ
信じられないくらいの切なさ
信じられないくらいの愛しさ



きっと、あたしは世界一幸せだったと言い切れるの。



けど、今は
言い切れるの・・・・・・かな・・・・・・



あの夜と同じ三日月を見ながら、あたしは誰もいないこの部屋できつく膝を抱いた。






















パァパァッン!!

急なクラクションに驚いて、車道をみるとそこにはいかにも、なベンツ。
あぁ、あれは何度か見たことのある・・・・・・


「よ!牧野!!久しぶりだな!」


そういって颯爽と車を降り、、こちらに近づいてくる異様に顔立ちがいい男。




───西門総二郎。



ただ車を降りて、歩いているだけの行為が彼がすることによって特別な行為に思えてくる。
あたしの傍まで、10m弱しかないのに、すれ違う女の子が何人も振り返る。





あんたのフェロモンは相変わらずなのね。
あたしにも分けてちょうだい!!




















テーブルが狭いのか、西門さんの脚が長いのか知らないけど
何度も足を組みなおしてるところを見ると
・・・狭いんだろうな。




「お前、すげーとこ知ってんなぁ」
物珍しげにキョロキョロと辺りを見回す西門さんに思わず苦笑いしながら、あたしは彼の分も一緒にラーメンを頼んだ。

あのあと、一緒に食事をしようってことになってあたしは、近くのおいしいって評判のラーメン屋に彼を誘った。
ラーメン?!なんて驚いてたけど、結局は無理やり引きずって行列に並ばせた。




ラーメン初心者にカウンターで、ってのもなんなのでテーブル席に着く。




注文も終わって、一息ついたとこで気づく事実。



・・・この人の目の前で、ラーメン食べるのね。



あぁ、やっぱりカウンターにしとけばよかったっ。
目の前に整いすぎてる、西門さんの顔。
意識してるわけじゃないけど、やっぱり緊張するっ。
こんなに近づくのなんて、何年か前のプロムの時以来かも・・・。




急に落ち着きのなくなったあたしに気づいた西門さんがニヤリ、と口元を上げた。
「何、いまさら赤くなってんだよ」




意地悪そうな瞳を輝かせながら、あたしを追い込む西門総二郎。

ちくしょーー。








「お前さ、類の顔見慣れてんだろ?あいつだって相当のイイ男だと思うけど?」


「類」という言葉に、ぴくり、と反応したあたしを訝しげに見つめる目の前の恋愛達人の瞳。


「なんか、イロイロありそうだねぇ。よしよし、おにーさんに任せなさい!!」


目の前に置かれたラーメンを片付けると、今度はあたしが振り回される番だった。






















ろうそくの灯りがぴったりなバー。

さすが西門、と言いたくなるぐらいの雰囲気のよさにあたしは尊敬の眼差しで西門さんを見つめるけど・・・
・・・・・・この自信満々なとこが、たまに鼻につくのよねぇ。


「・・・ふぅーん、西門さんこーゆーとこで女の子口説いてるんだ」
「・・・・・・俺のことはいいから、類のことで悩んでるんじゃないの?」



バーテンさんに、この子には軽めの、なんてオーダーしてる。
慣れてるのねぇ・・・・・・



「あ!おまえさっきから勘違いするなよ、ここに来るのは俺一人の時が多いんだからなっ!!」

口にしたわけじゃないのに、あたしの瞳から読み取ったのか言い訳を始める西門さんに、バーテンさんが苦笑しながら
ピンクのかわいいカクテルをあたしの前に置いてくれた。


「これ、ピンクグレープフルーツが主ですので飲みやすいと思いますよ。と、それとほんとに西門くんは一人で来ることが多いですよ」

彼女?と西門さんに話しかけるこのバーテンさんとは随分仲がいいみたい。




軽く世間話をしてから、バーテンさんは気をつかってか少し離れたところでグラスを磨きだした。




「・・・で、類となんかあったのか?」


久しぶりのアルコールのせいかそれとも、懐かしい友人に会った気の緩みからか
普段なら絶対にこんなこと言ったりしないのに・・・


あたしは心の中身を、西門さんに零していた。























「・・・牧野は類に抱いて欲しい、と」
「ちょ、ちょっとそんなはっきり言わないでよっ!!」

あたふたと、周りを見渡すけど
周りは大人のカップルや一人でお酒を楽しんでる人たちで、あたしたちには目もくれない。
安堵のため息を零すと、少し声のトーンを落とした。


「抱いて欲しい、ってのももちろんある。けどあたしは、類に抱きしめてもらったり、一緒に眠るだけでもいいの」





でもキスだけじゃ、物足りないってのも事実。
類に与えられる快楽に身を任せたい。





こんなこと考えるあたしは、おかしいのだろうか。








「・・・俺らみたいのってさ、けっこう仕事忙しいじゃない?」
「・・・うん」
「そうすっとさ、彼女との時間ってのが一番犠牲になるわけだよ」
わかる?と綺麗な瞳をあたしに向ける。
少し酔いが回ってふわふわした体を気合で押さえ込みながらコクン、と頷いた。
「で、久しぶりに会う。デートの後にはH」
「・・・うん」
「で、また時間ができて彼女とデート、その後H」
「・・・・・・」
「デート、H」
「・・・Hばかりじゃん」
「ハイ。よく気づきました」
「え?」
きょとんとしたあたしを、優しげに微笑む西門さんの瞳。


「・・・類は、それを心配してるんじゃねーの?」
「あ・・・」
「セックスだけの関係になった、ってお前に思われるのがヤなんじゃないの?」

俺もよく言われたぜよ、と苦笑してる西門さんの笑い顔がくるくると回りだす。


ふと、帰り際の遠慮がちなキスのあと、躊躇いを隠し切れないような類の複雑そうな表情が思い浮かんだ。




ばかばかばか。
あたしのばか。
類のばか。



こんなことに気づかないあたしもばか。
そんなことに気を使う類もばか。




でも、あたしは世界一の幸せ者だっ!!




なんで、西門さん回ってるの・・・?
くるくると回る西門さんや、西門さんの後ろに見える風景にうっとりと見入る。


「牧野っ!!まきのっ!!こんなとこで寝るなよ〜〜」

西門さんの叫び声を頭の後ろの方で聞きながら、あたしは深い眠りに沈んでいった。

























さっきから、頬や口唇にあたるこの柔らかいものはなんだろう。
心なしかまだ、体がふわふわしてる。


あ、ほらまた。
でも、きもちいー・・・

あ、これ唇?
類?



うっすら瞼を開けるとあたりは真っ暗で、でも傍には人の気配。



・・・ふわふわしてるのは、あたしの体じゃなくて、体の下のベットだっ!!!



え?え?
えぇぇ?!



あたし、なんでベットの上?
あ、あああああたし、西門さんとバーで飲んでて・・・

えぇぇぇ?!


西角さん?!



パチ、と音と共に目の前がふわり、と明るくなった。
パニック状態の頭にたとえ、ふわりとした明かりでも目に染みて一瞬目を閉じた。



恐る恐る、再び瞼を開ける。
と、そこには一番愛しい人の顔。





あっけに取られていると、グラスに注がれた水を差し出された。
「・・・ほかの男と飲みに行って、寝ないでよ」

機嫌の悪そうな類の表情に、少し落ち込みながらもホッとする。
おずおずと、差し出されたグラスを受け取り口にした。

冷たい水が喉元を通ると、状況を把握する。




「ったく、びっくりするよ。あんたの携帯に電話したら総二郎が出るんだもん」

そう言って、あたしの横に横になる類。


あ、久しぶりだな
類と一緒に寝るの・・・・・・


なんて事思ってたら、抱きしめられる。




「・・・あんまり、心配させないでよ」と耳元で呟かれあたしの中の類に対しての愛しさが一気に溢れ出してしまった。




類類類。




自分から、服を脱ぐなんて今までのあたしじゃ考えられない。
けど、今日はアルコールのせいにできる。




首の後ろで結んでいる紐を解く。薄手のカットソーがはらりと、だらしなく崩れ落ちた。
パンツのボタンを外す。



女の子にだって、抱いて欲しいときあるんだよ?




驚いていた類の瞳が優しく揺れると、類の香りが全身に降りかかる。
久しぶりの類の重み。




下着を脱ぐのさえ、時間が惜しい───
早く、類。
早くきて────




それは類も同じだったようで
下着をつけたままのあたしに、類の手が彷徨う。
肩紐のない下着をグイ、とずらされる。零れた胸にキスを降らす。

それだけで、熱くなり始めたあたしを見透かすようにいきなり入る類。




「・・・あ」




零れる声に反応するように、類は腰を強めに振る。
いつもなら時間をかけてゆっくりと行う行為が今日は性急に進んでいく。

少し、乱暴とも取れる類の動きは、あたしをあっさりと絶頂へ導いた。






「あんなふうに誘って、1回で終わりって事ないよね?」
まだ繋がったまま類が意地悪そうに耳元で囁く。





「・・・上になって」

あたしを自分の体の上に促す腕から、汗が伝って落ちる。



ウエストを押さえる手からいつも以上の熱を感じる。
下から突き上げられるような動きに、さっきの快感が再び全身を襲う。
類の動きに耐えながら彼のシャツのボタンを外すと、胸元にキスをひとつ。





ウエストの辺りから、脚に移動し始めた類の掌を無理やり呼び戻す。
あたしを支えていて。
じゃないと、このまま愛しさで溺れそうだから。





いままでとは逆に、あたしの顎から零れる汗を胸で受け止める類。
切なげな表情(かお)の類に、再び溺れる感覚。





自然と類を求めるように動く自分の腰の動きに、驚きながらも快楽には逆らえない。





「・・・牧野、そんなに動かさないで。俺も・・・くっ・・・」





初めて見る類。
眉間にしわを寄せて、耐えるような表情の類を抱きしめる。
あたしの体のラインをなぞる様に上昇する掌はそのまま背中に向かい交差した。




抱きしめられながらも、激しく揺さぶられ、腰を突きつけられ続け2回目の絶頂を類の胸で迎える。




肩で息をするあたしと体を入れ替えると、類はそのまま腰の動きを早めた。
達したばかりの体に、再び戻ってくる快感。




もう、おかしくなりそう。





泣きたくなるほどの切なさの中、耳元で囁かれる媚薬のような甘い言葉。













このまま、一緒にいこう────























シャワーの柔らかな音で目が覚める。

まだしっとりと汗ばんでる自分の体。



ドアが開く音とともに、バスタオル姿1枚の類が出てきた。
「あ、起きた?」
何回呼んでも起きないから、先にシャワー浴びたよと口にする類からはいい香り。


ギシリ、とベットを軋ませあたしと向かい合う類はバサバサとタオルで髪の水分をふき取っている。


さっきの出来事を思い出すと、類と向いあってベットに座ってることがえらく恥ずかしい。


俯きながら、髪を拭く類。
急に動きを止めたかと思うと、タオルの隙間からこちらを覗き込むビー玉のような瞳。



「な、なに?」



高鳴る心音を隠しつつ、無理やり微笑んだ。






「・・・俺、もう我慢しなくていいんだ」
ニヤリ、と微笑む類に思い浮かぶは西門さんの、してやったりの笑い顔。






に、に、西門ーーーーーっ!!!!
言いやがったなっ!!






んもーーー。






でも、ボサボサの半渇きの髪のままキスをせがむ類を見てると
これでよかったのかな?とも思ってみたりした。










おしまい









■■■■■アトガキ■■■■■

このお話はpinoしゃんへ捧げた、5555きり番プレゼントです。
えーと、なんか妙に恥ずかしいのですが、何ででしょう。あぅ。
ぴのしゃんからのリクはですね、健全デートでは物足りなくなってきたつくし。
でもなかなか言い出せない。けど、どうにか告白、類爆発ーっ!って感じだったのですね。

えー、リクにはない総二郎出してみたりぃー、つくし、もやもや感を類に言ってなかったりぃー
(あ、でもそれは自分から服を脱いだあたりで表現してみた・爆)
結局は総二郎から伝わるのだけど・・・

書いてから、つくし自分から服脱ぐキャラかしら?と考えること1時間。
・・・脱いでもらうことにしました(爆)

あと、裏Rにて初めての白背景!!このお話、可愛いイメージにしたかったのです。なので無理やり白背景。 
それと今回タイトルもつけてみました。ハピネス。はい、B’zの曲です。
なんとなーく、イメージかぶって・・・。
よかったら、聞いてみてくださいませ〜。

と、まぁ無理やりの完成です。
もちろんコチラの作品にも、愛がたっぷりこもっております♡
もちろん受け取ってくれるわよね?ぴのしゃん、両手いっぱいの愛♡


2003,9,21  momota


→text   →nijitop   →nijiotonatop