しまさん 318840 rui × tukushi ***
ねぇ、知ってる?
ほんとは、俺のほうが先だったんだ。
あんたよりも、俺のほうが先だったんだよ。
眠りに落ちてゆく、横顔。
腕に乗る頭が急に重くなるから
眠りに落ちた瞬間がすぐ分かる。
微かに緩む口唇を見つめて
そこから零れる、寝息に耳を澄ます。
そうしているうちに、俺も眠気に取り込まれそうになるけど
なんだかもったいなくて。
小さくて柔らかな幸せを、両腕に抱きしめながら
そっと、あの頃を想う。
学園の喧騒も聞こえない
花沢とかF4とか関係なく、ただの人になれる唯一の場所。
太陽に温められた、コンクリートが心地よくて
いつも、いつもそこから空を見てた。
昨日と同じ、空。
明日も同じ、風の匂い。
何にも変わることがない毎日。
きっとこれからも、同じ毎日。
悪いわけでもないけど、特別いいってわけでもない。
そんな毎日が、変わったんだよ。
あんたが新しい風を連れてきた。
非常階段のドアを開けたときに吹き抜けた風にように。
「くしゅんっ」
牧野の白い肩が小さく揺れた。
くしゃみをした彼女が少し鼻をすすったのを合図に、俺はゆっくりとシーツを引き寄せる。
それからそっと牧野が起きないように、自分の方へと引き寄せて。
ゆっくりと自分の温もりを彼女に移す。
さっき、汗かかせすぎちゃったかな?
なんてことも思ったけど、ま、これはお互い様だからね。
こうやって抱き合って眠るのは、久しぶりだ。
あぁ、もしかしたら初めて肌を合わせたあの日以来かもしれない。
牧野は、なんでか抱き合って眠るの嫌がるから。
ゆっくりとおでこにかかる前髪を梳くと、眉間による皺。
それすらも愛しくて。
月光に浮かび上がる牧野は、いつも以上に白くて。
いつまでもいつまでも見ていたい、なんて思うんだ。
普段時間に追われてる俺だけど・・・・・・
あんたといる時は、唯一時計を気にしないでいられるから。
ゆっくりとシーツの上から牧野の体の線に沿って、人差し指を這わせる。
肩
鎖骨
胸
くびれたウエスト
太腿
残念なことに、そこまでしか指が届かない。
もぞりと動いた脚に、苦笑しながら
牧野が覚醒してくれることを願うけど・・・・・・
さっきまでの運動がよほどこたえたらしくて・・・・・・
初めは痛みだけの行為だったと思うんだ。
俺は、受け入れてくれたことが嬉しくて。
牧野のことあんまり気遣ってやれなかったかも。
実際俺も、久しぶりだったしね。
いつもはぐらかされた行為を
その日はナゼか無抵抗で。
押し倒したまま、俺は腕を伸ばす。
真下にある牧野の顔はほんの少しの緊張を表すかのように青白い。
そんな中、ほんのりとピンク色に染まる口唇だけがやけに目に付いて。
「あれ?牧野。今日はいいの?」
意地悪気味に問いかけると、みるみるうちに牧野の瞳に涙が浮かんできた。
あ、やべ。
いつもは、張り手のひとつてもお見舞いされそうな状況なのに
俺の下でフルフルと首を振る牧野。
いつもと違う雰囲気に、なんだかとても悪いことをしている気になり
ゆっくりと、牧野の腕を引いて体を起こした。
それなのに。
体を起こした途端絡みつく、牧野の白い腕と熱烈なキス。
「・・・・・・ッはーーー」
あまりの熱烈ぶりに、こちらが戸惑ったくらいだ。
無理やり口唇を離すと、空気を思いっきり肺に入れる。
ケホケホと少しむせながら、随分と乱れていた呼吸を正すと
今にも牧野のでっかい瞳から零れ落ちそうな涙を拭った。
「どしたの?」
いつも並みの押しだったと思うんだけどなぁ。
首をかしげながら、熱烈なキスと涙の理由を考えるんだけどちっとも思いつかなくて。
俺自身、牧野がその気になってくれるまで無理強いするつもりはなかったんだけど。
そのことをちゃんと伝えようと、口を開いたとき
同時に牧野も顔を上げた。
「あ、あのねっ。あたし、類に抱かれてもいいと思ってる。
ほんとに、そう思ってるよ。けど・・・1度そうゆうことしちゃうと・・・・・・それが一番の愛情表現だって勘違いしちゃいそうで」
「・・・・・・勘違いしちゃいそうで?」
あまりにも一生懸命な牧野に、思わず先を促す。
「もっともっと、わがままになって・・・・・・類のこと困らせちゃったり・・・するかも」
手の甲で頬を伝う涙を拭う牧野を見て、もうたまらなくなってしまった。
もっともっと困らせていいよ。
普段あんたは、我慢ばかりしてるだろ?
俺にとってあんたのワガママがどんなに嬉しいか。
知ってる?
愛しさを実感してるコチラのことなんかお構いなしに
ぽつりぽつりと呟く牧野に再び耳を向ける。
「類の時間、あたしのためだけに使って欲しいとか・・・。
キス1つでも満足できなくて・・・・・・もっともっと贅沢になっちゃって・・・・・・類のこと・・・」
その後の牧野の言葉は聞けなかった。
俺が口塞いじゃったから。
「いいよ。もっとわがままになって。だって、これ以上の愛情表現ないでしょう?
キスでも充分だけど、牧野と一つになれるってことは、きっと想像も出来ないくらい幸せなことだし大事な事だって思うよ」
口唇を離したあと、ゆっくりと抱きしめる。
なんだかくさいセリフだけど・・・
俺の本心でもある。
少しずつ抜けてく体の力。
ゆっくりと牧野の体の重みが、俺の胸に預けられることに幸せを感じながらそっと牧野の髪にキスをした。
「類・・・・・・あたし、きっとすごいわがままだよ?」
ゆっくりと瞼を下ろしながら呟いた牧野に、耳元で俺も答えた。
「大丈夫、わがままなら俺も負けてない」
ゆっくりと口唇を落とすと、ピクリと動く体。
「怖い?」
そう聞いた俺に、ゆっくりと首を横に振る。
再び、口唇を頬に落とした。
そのまま、下降する口唇を今日は止める手はなくて。
そっとキャミソールの上から触れた胸は、驚くほど鼓動が早くて。
一瞬ためらったのだけど、そのまま優しく包み込んだ。
下着の肩紐を落として、ゆっくりと胸元から掌を入れると胸の先端に口唇を触れる。
その瞬間体に震えが走ったのがわかった。
けど、ここまで来て俺も止めらんなくて。
そのまま、舌先を近づけた。
「んっ」
ゆっくりと口に含むと洩れる甘い声に、こちらまでくらくらしてきた。
捲し上げたスカートの奥に手を入れると、ショーツを下ろす。
あぁ、手が震えてる。
まるで俺のほうが初めての時みたいだ。
おそらく初めてであろう牧野を気遣う余裕もなく、俺は自分のことで精一杯で。
痛みに顔をしかめる牧野を抱きしめながら
牧野にそんな表情をさせてることすら、嬉しくて。
愛しさや切なさ
悲しみや喜び
いろいろな気持ちや感覚がめぐる頭の中で牧野を
ただ、真っ直ぐ想った。
そっと、指先に何かが触れる感覚で今に戻る。
驚いて顔を上げると、そこには牧野の指先。
じっと見上げる牧野の瞳にさっきまでの甘い熱は感じられない。
なんだか残念だ、なんて考えてると
どした?なんか、考え事?と、そっと囁かれる。
いつの間にか、起きてた牧野は俺が瞬きすらもしないのを不審に思ったらしい。
「そ、考え事」
そういうと、牧野を組み敷く。
「きゃっ、なんなのよー」
抗議の声を上げる牧野に、にっこりと微笑を返すと牧野の引きつった顔。
「な、なんかいやな予感・・・・・・」
「・・・俺さ、初めてん時・・・優しく出来なかったから・・・せめてものお詫び」
なんてのは口実で・・・
こっちはまださっきの熱を引きずってるというのに
もうすっかりと冷め切っている牧野。
そんなことがなんだか悔しくて。
首筋に口唇を落とすと、まるであの日のような甘い声。
「ちょ、ちょっと・・・なによ今さらお詫びって・・・んっ」
牧野の小さな手で押し返される胸を起こすと、そのまま脚を抱えあげた。
そして、表面的なものとは逆に先ほどの熱さを証明するかのような湿り気を残したそこに
なんだか少し安心する。
慌てて体を捻って背中を向ける牧野に、後ろから再び自分自身を押し込める。
「やッ・・・ん・・・・・・」
「や、じゃないでしょ」
シーツを握り締めた指を、そのまま包み込み
ゆっくりと腰を動かし続けると、俺の望みどおりの声を零し始めて。
体をぶつけ合うたびに揺れる髪の毛や
その髪の毛の間から覗く背骨だとかが妙に色っぽくて。
徐々に赤く染まってゆく肌を、やっぱりいつまでも見ていたい、なんて思った。
腰に当てた掌から伝わる熱に
牧野の背中に落ちる、俺の汗に
自分の下で無防備に甘い声をあげる牧野の全てに
俺の想い全てを注ぎ込む。
いつの間にか、馴染んできた体のように・・・・・・
俺たちの関係も、ゆっくりでいいから溶け合っていけばいい。
気持ちなんて、変わるものだから。
そのとき、そのときで違うものだから。
確認、させてよ。
牧野が俺を好きかどうか。
抱きしめて
抱きしめられて
キスして
キスされて
抱いて
抱かれて
「は・・・っ・・・・・・」
きつく閉じられてる瞼に、限界が近いことを知る。
「牧野・・・そろそろ・・・だめ?」
答えがないのは肯定。
そのまま、腰の動きを早めると再び牧野の糖度の高い声が聞こえる。
それでも構わず、俺は動きをやめない。
もっともっと、この声を聞いていたいから。
もっともっと、この声にふりまわされていたいから。
「る・・・い・・・お願い・・・。こ、このまま・・・・・・」
絡みつく指に力がこもる。
俺もそのまま腰を強く何度も沈める。
えぐるように動き出したそのとき・・・・・・
牧野の中が熱くなった気がした。
「あ・・・ッ・・・いやっ・・・ああっ」
かすかな震えが、こちらにも伝わる。
深く、息を吐き出す牧野。
そんな牧野の頬に耳元からキスを一つ落とすと
俺は、自分も昇みへと誘うべく夢中に腰を動かした。
そして、彼女の中へ今日2回目の愛を零した。
・
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でもさ、牧野。
想像と違ったこと、あったよね。
牧野は「1度、体を合わせるとそれが最上級の愛情表現になっちゃう」ってなこと言ってたけど。
そんなことないよ。
呼吸を整えながら、ゆっくりと牧野の背中に覆いかぶさるように体を預ける。
そんな中、だいぶ呼吸が整ってきた牧野とキスを交わす。
ただの、キス一つなんだけど。
キスひとつでも、こんなにドキドキするよ、俺。
牧野とのキスは、どれもが全て特別で。大事。
今でも、そんな風に思うの・・・全然かわってないよ?
キスだって、最上の愛情表現だよ。
なんだかまた、冒頭へ戻る、って感じだけど・・・・・・
今度こそ本当に、くったりと寝入ってる牧野。
「くしゅっん」
今度は俺がくしゃみが出た。
鼻を人差し指で擦った後、ベットサイドに置いてあるミネラルウォーターに手を伸ばした。
全てを飲み干して空にすると、愛しい人が暖めてくれてるシーツへと体を摺り寄せる。
と、
牧野が寝ぼけて、俺の頭を抱えた。
・・・・・・。
何も身に纏わないまま、すっかりと寝入ってしまった彼女。
丁度抱え込まれた俺の視線の先には、大きくもなく、小さくもない胸。
柔らかな感触は、なんだか懐かしささえ運んでくる。
けれど、いたずら心がそれを遮った。
ゆっくりと舌を這わせると、ピクリと反応する体。
けど。
起きるまではいかないみたいだ。
さすがにね。
2回もあんな行為をした後は・・・・・・
俺も正直、くたくただもん。
このまま眠りに落ちてしまおうか。
まぁ、俺はコレでいいけど。
起きた時、蹴飛ばされないかなぁ。
けど、この優しい感触を手放す気にはなれず
牧野の胸に埋まったまま、眠りに落ちる決意をする。
牧野の胸は、あたたかい日差しに包れてるような感覚で。
それはまるであの頃を思い出す・・・・・・
非常階段で、駆け上がってくる足音を聞きながら
ほんとはそれを心待ちにしてたことを───
ほんとは俺のほうが先だったんだよ、牧野。
俺のほうが、先にあんたのこと気になってたんだ。
司よりも、あんたよりも。
目が覚めて、蹴飛ばされなかったら教えてあげよう。
「俺のが先だったんだから」ってね。
きっと牧野はまたため息をつくんだろうな。
「修飾語をちゃんと入れて話して」ってね。
リアルに想像できる牧野の表情に
明日は朝から騒がしそうだ・・・そう思いながら、俺はゆっくりと瞼を下ろした。
おしまい
2004,9 momota
■■■■■アトガキ■■■■■
ハイ。こちらしましゃんのキリリクです。
えー。今回こそ、ほんっっっっとすみません。
ちっともリクに答えてません(汗)←!
おまけに、大変お待たせしました・・・・・・。
も、もうだめだ・・・あたし←こんなとこで弱音吐いてる。
当分裏庭キリリク中止します(苦笑)
裏庭指定のリクって難しい〜(><)
いや、表の延長でRシーンが入ってしまって・・・ってな感じだった今までのキリリクに比べて
最初から裏Rをメインとしたキリリクって・・・難しかった・・・
(いや、今までも「裏用で」とかあったけど、あくまでも表のキリ番だったので
万が一書けない場合、表Rでもいいだろう、って頭があったのね)
すみません(><)私の力不足ね・・・。
けして、しましゃんのリクが・・・とかじゃないからね。
しましゃんはちっとも悪くないッス。
むしろ、せっかく素敵なリクを頂いたのにそれに答えられないあたしが・・・んもうッ。ポカポカ。
はふー。しましゃんのリクはね
「行為が終わったあとのまどろみの中でのつくしの回想」
「はじめてから、次第に類になじんでゆくつくしの体」
他
だったの。・・・もうね、視点自体違うから(バカバカ、あたしのバカ!)
あぁー。ほんとごめんなさいね。
しばらく引きこもります(笑)←あ、いつもか(うしゃしゃしゃ)
ということで・・・
大変お待たせしてしまった、しましゃん。ほんとにごめんね。
でもね、今回いろいろ考えることができてすごくよかったです。
恒例の(笑)両手いっぱいの愛。たっぷりとこもってますので、どうぞ受け取ってくださいませ♡
2004,9,11 momota
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→text →nijitop →nijiotonatop
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