SKY GARDEN










憂鬱なバースデー   rui ***







俺は、とことんツキに見放されてるらしい。



司の帰国日を聞いて、ますますそう思った。













日に日に笑顔が増えてく牧野を尻目に、こちらは日に日に不機嫌になっていく。
鈍感牧野はそんなことに気にも留めない。



いや、それは違うか。
俺の機嫌が悪いのは知ってる。
・・・・・・あんだけ一緒にいるからな。



なんで、機嫌が悪いのかが分かってない。



まぁ、俺の機嫌の悪さの理由なんて、いっぱいあるからな。



眠い、とか。
腹減った、とか。
寒いとか、暑いとか。


・・・・・・牧野がほかの男と口きいてる、とか。
牧野が、(昼寝の時)肩を貸してくれないとか。






牧野が
俺の誕生日に、司と過ごしてる、とか。






「花沢類、相変わらずここ好きだね〜」


重い扉を体全部を使って開けると、少しの隙間に体を滑り込ませ非常階段に躍り出る。
コレが牧野のココへの登場の仕方。



「桜の時期のココが一番好きだからね」



はらはらと、風でここまで舞い込んで来る桜の花びらを拾って見せる。



「わ、ここまで来るんだ」



牧野は、瞳に驚きの色を湛えて隣にしゃがみこむと、むき出しのコンクリート上に落ちている
桜貝のようなピンクの花びらをそっと掌に乗せた。



「なんか、桜ってかわいいよね。1年中咲いてたらいいのに」



花びらを目の高さから離すと、ゆっくりと螺旋をかきながら落ちる。
それがコンクリートに触れるのを確認すると、また拾って同じ動作を繰り返す。



「・・・・・・1年中咲いてたら、誰も見向きもしないよ。期間限定で咲くからいいもんなんじゃないの?」



首の後ろで手を組みながら、空を見上げる。
そしてゆっくりと瞼を下ろすと、じわりと浮かんでくる空の青と、桜のピンク。






それと・・・
牧野の笑顔。





「そういえば、そろそろ花沢類誕生日でしょ?」
「知ってたんだ」



てっきり、司のことで頭がいっぱいかと思ってたよ。



瞼の裏の牧野を消すと、下ろした時と同じようにゆっくりと瞼を上げた。
そして、今度は触れることのできるほど近くにある牧野の笑顔。



「なんか欲しいもんある?」
「・・・くれんの?」
「あんまり高いものはだめだよ。いつもさ、話聞いてもらってるお礼」
「ん、じゃ考えとく」
「あはは、じゃあたしそろそろ教室戻るね」





牧野は来たときと同じように、扉の隙間から体を滑り込ませあっという間に行ってしまった。





「欲しいものねー・・・」





牧野が消えていったドアを見ながら呟いてみる。
そして、そのまま視線だけを上に向けた。



真っ青な空。
それだけを見ていると、まるで自分が空の青に溶け込んだような感覚に陥る。



それは、けして不快なものではなく
フワフワとした浮遊感というか
現実味がない感覚で。



なんだかグダグダ悩んでいるこっちがバカみたいに思えてくる。



「欲しいものか・・・・・・」



再び声に出してみるけど・・・・・・



けどさ、コレばっかりはどうにもいかないんだよ。



司は俺の親友なんだ。



牧野は司の彼女なんだ。





なにも変わらない。





そして、欲しいものも、変わらない────






改めて考えて呆然とする。
そして、自分の想いの深さを知るんだ。





俺の欲しいものはすべて、牧野がいなくちゃ叶わない、って。









「期間限定」にしなくちゃいけない想いだから、こんなにも大事なんだろうか。
「期間限定」にしなくちゃいけない恋だから、こんなにも手放したくないんだろうか。



いくら考えても分からなくて。
そして欲しいものも変わらなくて。
俺は、また空の青と混じりあった。







おしまい






■■■■■アトガキ■■■■■

す、すみません。私のお話では定番となりました
「やまなし、おちなし」です。←イバルナ

えーと・・・イイワケさせてもらいますとね(笑)
私、どうしてもストーリー展開の激しいものより日常生活の、のほほーんとした場景を読んだり書いたりするのが好きみたいで。
結果的に、そーゆーお話が多くなってしますます(笑)

・・・スリリングな展開とか、ライバル登場!とか・・・無理ッす(爆)

で、このお話もそうですが、なんだか似たような話がゴロゴロしてます。ふふふ。
同じ時期に書くと、どうしても似てしまうー(><)
で、季節的にも桜だし・・・
ということで残りの話も、けっこうかぶってます。ごめんなさい。

2004,3,26  momota




→text   →nijitop