SKY GARDEN










happy   rui × tukushi ***







ごとり、と中身のタップリと入った2つのボトルを並べる。
仲良く並んでいるそれは、見ているだけで幸せになるもので。

名前も、まさしくその名の通りだった。










「なんか、今日どこもやけに込んでなかった?」

牧野が、コートを脱ぎながらゆっくりとベットに腰掛けた。



・・・・・・。
これはワザとか??
それとも、まじで忘れてるとか?



訝しげに見る俺を、牧野もそれに輪をかけて観察するような視線を向ける。



「・・・・・・なんだよ」
「・・・・・・なによ」



同時に発せられた声に、お互いがお互いの次の言葉を待ってる。



まぁ、いいや。
この表情からすると、おそらく後者だろうな。
こいつが鈍感なのはいつものことだ。
俺は、ゆっくりと机の引き出しを開けると、きれいにラッピングされた長方形の箱をそっと取り出した。



そしてそれを牧野に向って投げてみる。



「ほい」



きれいな放物線を描いてベットに座る牧野にキャッチされたそれは
ラッピングされているシルバーの紙のせいか、なんだか緊張しているみたいだ。



「なにー。ビックリしたなー」



少し唇を尖らせながら、マジマジと手の中のものを見つめる牧野。



ごくりと喉が鳴る。 あぁ、緊張してるのは長方形の箱ではなく俺か。

なんせ、他人にプレゼントなんて買ったことがない。
なにを選んでいいのか分からなかったのが正直なトコロ。



けれど、先月の今日。
真っ赤な顔で、ココへきた牧野の事を想うとやっぱりなにかしなきゃ、って思うんだ。




「・・・・・・お返し」




やべ、声かすれてる。
緊張してるの、ばれるかも。




こんなにもドキドキするものなんだ。
人にものをあげるのって。



・・・・・・いや、違う。
相手が牧野だからだ。



牧野の事を想いながら選んで。
牧野に似合う物を選んで。
牧野が気に入ってくれるよう祈りながら。




「・・・なんのお返し?」




やっぱり・・・。
牧野のとぼけた一言で、俺は思いっきり肩を落とした。


そして、机の上にある卓上カレンダーを取ると、そのまま牧野に向き直る。
机に体重をかけながら、俺は子供に言い聞かせるようにゆっくりと今日の日付を指差した。



「牧野、今日は何日?」
「んー?3月14日でしょ?」
「そう。・・・じゃ、この日は?」


俺は、ぺらりとカレンダーを1枚めくって先月に戻してみる。
ちょうど1ヶ月前の日付け。


「・・・・・・」
「・・・・・・バレンタインデー?・・・・・・あぁ!!!」
「やっと思い出した?」



苦笑しながら、カレンダーを戻すと牧野の隣に腰を下ろした。



「・・・あ・・・りがと。開けていい?」
「どうぞ」



ゆっくりと丁寧に包装紙をはがしてゆく指を見つめながら
再び、緊張してる自分に気付く。




牧野が気に入ってくれればいい
こんなのもらっても困るだろうか・・・
俺らしくない、って笑うだろうか




いろいろな思いが駆け巡ってるなか、牧野の指はとうとう本体に行き着いた。



どうしても、この妙な間に絶えられなくて。
俺は、言い訳のように口を開いた。



「・・・・・・この香りであんたのこと思い出したんだ」



そう、俺が選んだのは香水。
吹き付けた瞬間、香る甘い香り。 けど、その甘さもしつこいものではなくさっぱりとしていて、思わず太陽を思い浮かべたんだ。
そしてそれは、まるで牧野のようで。





再びちょっとの間のあと、牧野がたまらない様子でふきだした。



「・・・・・・なに?」



俺は訳が分からなくて、そのまま笑い転げる牧野を見つめることしかできなかった。


たっぷりと笑って、気が済んだのか牧野が自分のバックを空けると
やっぱり綺麗にラッピングされた長方形の箱を取り出した。



「開けてみて」
「え?俺に?」
「うん」



がさごそと、さっきの牧野のそれとは比べ物にならないほど雑に包装紙をはがす。



そして頭の中では、これをもらう理由を考えていた。
誕生日はもう少し先だ。
そして特に付き合い始めた日、とかいわゆるそうゆう記念日でもない・・・・・・ハズ。

いくら考えても、答えが出ないうちに俺の指もとうとう本体に行き着いた。



そこから出てきたのは。



同じメーカーの、同じ香水。



もちろん俺のは、メンズ用で。
牧野のために選んだやつとはちょっと形が違ってたけど。



「・・・あたしも、この香りで類を思い出したの。そしたら、たまらなくなちゃって買っちゃった」



その時を思い出したのか、恥ずかしそうに笑う。



「そっかー、今日ホワイトデーだったんだ。でも、いいよね?ホワイトデーに女の子からプレゼントあげても」
「じゃ、俺来月またお返し買う」



俺も笑いながら、そっと手の中のオレンジ色の瓶の香水を空に吹き付ける。



あぁ俺ってこいつの中で、こんなイメージなんだ。



きつい香りでもなく、かといって存在感がないわけでもない。 緩く香る、オレンジの香り。 ふわりと香る香りに目を細めた。



この香りで俺を思い出したんだ。
俺が牧野の事を思い出したように。



なんだか、牧野も俺と同じ気持ちだったんだなんて思ったら嬉しくて
口元の緩みを堪えるのが大変だった。



この香水は、名前の通り
「幸せ」の固まりなのかも知れない。



俺は、もう1度、今度は自分に向って香水を吹き付ける。
しゅ、とした音と共に香る「オレ」の香り。




「類、ありがとね。すごい嬉しい」



今まで手の中の細長いボトルに落としていた視線をあげて、嬉しそうに笑う牧野。
その笑顔に、なんだか店での恥ずかしかったことや、渡すまでの緊張感だとかはどうでもよくなっちゃって。



こんな笑顔が見れるなら、もっと早くなにかあげるんだった、なんて思ったりした。



「ハッピー、なんて可愛い名前だよね」



そう口にする牧野の口唇をゆっくりと塞ぎながら
こっそりと囁いてみる。


「明日は2人で同じ香りになってる、なんてどう?」



ゆっくりと牧野の体を押し倒すと、さっきつけたばかりの「ハッピー」の香りが俺たちをふわりと包み込んだ。



おしまい








■■■■■アトガキ■■■■■

ま、まにあった〜(><)けど、なんだか内容が・・・・・・
すみません、本当はもっと細かく書くつもりだったのに。
普段は、キリリク以外にはあまりつけないアトガキ。
ちょっと今回、イイワケで書かせてもらいますー。うひー(汗)
この香水、ハッピー。クリニークさんの商品です。
私、とあるコミックで知りまして・・・・・・。
テスターで香りを確認した所、なんてイイカオリ!すんごい、好みでした。
んでやっぱり、つくしに似合いそう・・・と(笑)
で、ルイルイのほうのハッピーfor men。これはどんな匂いか知りません(爆)
なんかね、オレンジが加わった感じみたい。
ボトルもすごいシンプルでいい感じ。ちょっと使わせてもらおう、とお話のネタに使わせてもらいました。

しかし、香水を選ぶルイルイ・・・。
司の自転車に引き続き、想像できない(爆)


2004,3,13  momota






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