フレラレナイ rui × other ***
この部屋で
今聞こえるのは、類の息遣い。
ベットの軋む音。
この部屋で
今見えるのは、類の揺れる前髪。
汗ばんだ、肩。
「どしたの?なんか、乗り気じゃないね」
動きを止めた類が、不思議そうにあたしを見つめる。
「・・・なんか、今は類の顔見たくない気分」
感情のこもらないトーンで返したあたしの言葉を、類はそのまま受け取る。
「そーなの?じゃ、後ろ向いて」
類はスルリとあたしから体を離す。
そしてうつ伏せにされた。
「・・・んっ」
いきなり後ろから入ってきた類におどろいて、思わず後ろを振り返る。
「俺の顔見たくないんでしょ?」
意地悪な笑みを浮かべたまま、動きを早めた類を睨み付ける。
手を伸ばしたら触れることのできる距離にいるのに。
名前を呼んだら聞こえる距離にいるのに。
類はどんどんあたしの中に入ってくるのに。
けれどあたしは類の中には入ることができない。
類の真実(真ん中)に触れることができない。
翻弄される意識の中で思うのは、やっぱり類のこと。
「や・・・やっぱり・・・か・・・お・・・見たい」
けど、その小さな願いですら叶えてもらえなくて
類は動きを早めると、そのまま駆け上がった。
そしてドサリとあたしの背中に体を預ける。
呼吸を乱している類を背中で感じる。
類の重み。
類という人間の重み。
────この瞬間だけ
この無防備な瞬間だけ、あたしは類の中に少しだけ触れることができる。
「・・・類?あたし牧野さんの代わりでも・・・いいよ」
類はあたしの背中にキスをして、体を離した。
ほんとは嫌だけど。
誰かの代わりなんて嫌だけど。
類の傍にいられるなら、・・・いいよ。
誰かの代わりで。
類のシャワーを浴びる音をBGMに、あたしは眠りについた。
おしまい
→text →nijitop
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