can't help fallin' love rui×tukushi ***
なんかそわそわしてるな、とは思ってたんだよね。
けど、それがそんな理由からだとは思わなくて。
「牧野?」
ポコポコと、桜が咲き始めた3月中旬。
今年はいつもに比べてだいぶ咲き始めるのが早いみたいだ。
TVでレポーターの人が言ってたっけ。
いくら話しかけても、こっちを見ようとしない頭一つ分下の瞳。
いつもなら、なに?なんて少し恥ずかしそうに微笑みながら見上げてくれちゃったりするのに。
「まーきーのー」
あららららら。
今度はため息なんてついてますけど、この人。
いくら話しかけても上の空。
さすがにここまで相手にされないと、腹も立ってくるってもんで。
すこーしばかり、意地悪してみようかな。
さりげなく肩を組んで。
牧野の耳元まで口唇を持っていき
自分でも意識して糖度を増した声を出してみる。
「牧野」
彼女にしか聞こえないくらいの大きさで出された声は、自分でも驚くくらい上出来で。
飛び上がるように見上げた大きな瞳。
それだけで満足。
「や、やだっ、もう。類ってば!!普通に呼んでよっ」
俺が満足げに微笑むのをみて、真っ赤になった牧野が逆ギレ。
なんだよ。
「俺、何度も呼んだけど?」
ちょっと心外な様子を見せながら、牧野の肩に置いた手に力を込める。
「え?ほんとに?やだ、ごめん」
素直に謝るとこが、牧野らしい。
やっぱり、考え事?
それっきり黙ってしまって。
なんなんだよ、ほんと。
「あ、あのね。類・・・・・・」
やっと口を開いたかと思ったら肩に置いた手を外されて。
両手を牧野に掴まれたかと思うと、クルリと向き合わされる。
「類・・・そろそろ誕生日でしょ?な、なにか欲しいもの・・・・・・ある?」
「欲しいもの?」
思わず聞きかえした俺の言葉に頷く。
「なんでも、いいの。まぁ、たしかにそんなに高いものは買えないけど・・・・・・」
なんかまだ言い足りないらしい。
ちらりと俺を見てから、再び俯く。
そして、聞こえるか聞こえないくらいの小さな声。
「欲しいものとか、ないなら・・・りょ、旅行とか・・・行かない?」
「旅行?」
「う、うん」
真っ赤な顔の牧野。
俺の手首を掴む両手から微かに震えが伝わる。
旅行って・・・・・・
泊まりで、ってこと?
って、あぁ
そーゆことか・・・・・・・
なんでこんなに躊躇っているのか。
なんでこんなに勇気をださないと言えないことなのか。
なんでこんなに真っ赤なのか。
真っ赤に俯く、牧野。
あまりにもかわいくて、牧野に掴まれてる両腕を自分の方に思い切り引いてみた。
トン、と胸にぶつかる牧野の顔。
「び、びっくりするな〜、もうっ」
そのまま、がふりと牧野を包み込む。
なんだか、バタバタ暴れてるけど。
しらないよ。
俺は、うれしさの表現をこれ以上どうやってあんたに伝えたらいいか分からないんだよ。
こんなにも嬉しくて。
こんなにも楽しくて。
こんなにも幸せだって。
牧野はしばらくバタバタと暴れてたけど
少しづつ大人しくなってって。
ゆっくりと背中に回された手で、俺は牧野を包んでいた力を弱める。
「ス・・・ッゴイ、どきどきしたぁ、言うの」
「ずっと、考えてたの?」
「・・・・・・うん。だって、あたしたいしたもの上げれないし」
「俺にはこれ以上ないものだけど」
「ばか・・・・・・」
その瞳を伏せながらの「ばか」がかわいくてかわいくて。
あぁ、俺はとうとう頭までやられたか、なんて思った。
コイツといると、ほんとに飽きない。
好きになる、ってよくわからなかったけど。
牧野に対する気持ちがそうなんだろうって、このごろ思う。
こんなにも疲れて、こんなにも楽しくて、こんなにも幸せだ。
こーゆーの、なんて言うんだっけ・・・・・・
あぁ、そうだ
「好きにならずにはいられない」だ。
こっそりと口ずさむメロディーに、首をかしげる牧野もたまらなく可愛くて。
やっぱり改めて思う。
can't help fallin' loveだ。
おしまい
→text →nijitop
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