SKY GARDEN
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司   Scene3








シャワーの、サーーーーという音が、軽くて心地よかった。
バスルーム中に響いてる、音。



司が一緒に入るときは、音楽をかけるのだけど。



あたし一人の時は、この音楽を楽しむ。
水が体に当たり静かに流れ伝う、音。



なんとなく、後ろが気になって。
不意に振り返ると、バスルームの壁に寄りかかって司が立っていた。



「び、びっくりするじゃん!気配殺すのやめてよ!!」



あたしは慌ててシャワーを止めると、バスタオルを取り体に巻きつける。



「おれさ。今まで散々人のこと傷つけたり。人のもん奪ったり。ひでーことしてきたんだ」

「知ってるよ」



即答すると、頭をコツンと叩かれた。
笑いながら、司の横を通り抜ける。



「けどよ。勝手な話でよ。自分に大事なもんができた途端・・・・・・気づくんだ」



いつもと雰囲気の違う司に、あたしは振り返る。
司はまだバスルームの中にいて。
一歩も動かず、あたしがいた場所を見続けている。



「ホント勝手な・・・話しだよなぁ」



そっと、司に近づくと俯き加減の司を覗き込んだ。



「・・・どした?なんかあった?」

「なぁ、オマエは・・・どうしたら俺から離れない?」



ずいぶん弱気な発言だ。
心配そうに覗き込むあたしの頭を優しく撫でると、ゆっくりと振り返る。
そっと抱きしめられたあと、肩を抱かれそのままベットへと向かった。



「え、えぇぇぇ!?もっかい?もっかいするの!?」



アタフタしてるあたしをよそに、事をどんどん進める司。
柔らかく全身を撫でられ、暖かい掌を這わされ。
まだ湿ってる髪が頬に張り付く。
首を振りながら、司の与えてくれる快感に体を預ける。
バスルームでの湿気の所為か、ほんの少しクセ毛が落ちた司はまるで知らない誰かのようで。
さっきのセリフと、重なった。



『なぁ、オマエは・・・どうしたら俺から離れない?』



不安なの?
あたしがいなくなるとでも思ってるの?



呼吸のリズムと、体が突かれるリズムが合ってくる。



乱れたシーツに、湿ったバスタオル。
紅潮する頬に、額に浮かぶ汗。



「・・・んッ・・・あ・・・」



目を細めた司は、短い声を上げた後
くったりとあたしの体の上に覆いかぶさった。











「あきらが婚約したぜ」
「え?まじ?」
「おう。・・・・・・けど、滋じゃないぜ。ほかのしらねー女」



あたしの胸元で呼吸を整えながら、司は不貞腐れたように呟いた。



今までの、仲のよさそうな2人が目に浮かぶ。



「そんなのアリなの?あたし・・・あの2人は家柄的にも、何の問題もないと思ってた・・・・・・」



言葉に詰まりながら、やっと出てきた言葉はやっぱりたいしたものでなく。
家柄や世間に囚われてる世界の人たちのことをぼんやりと思った。



「滋が・・・・・・自分から、引いたそうだ。あきらに結婚の話が持ち上がってるのを知って」



あの、滋さんが・・・・・・。



「美作さん、なんで断らなかったの!?」
「親の面子もあるんだろうよ。よくしらねーけど」



司は、真っ直ぐな瞳であたしを見る。



「滋の事、かわいそうとか思うなよ。あいつはそんな風に思われたがってないと思うぜ」

「うん、思わない。かっこいいよね」



あたしはもしかしたら、泣いていたかも知れない。
感情や、あたしの中の常識…何もかもがぐちゃぐちゃになって。
美作さんや滋さんのことを考えると、まるで未来の自分たちを見ているようで。



なにもできなくて足掻いてるあたしを、想像した。



「・・・・・・オマエは、離れないよな?」

「・・・離れないよ。絶対に」



重ねられる、掌。
こんな約束、気休めかも知れない。
けれど、今のあたしたちにできることはこれだけ。



でも、祈ることぐらいいいでしょう?
願うことぐらい、いいでしょう?





どうか、どうか幸せになれますように。
いつまでも、一緒にいられますように────





2005,11,28     momota

拍手、どうもありがとう(*^-^*)







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