SKY GARDEN
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総二郎   Scene3








「うわ……」


なんなんですか、その『うわ』ってのは。


なんつって、
わかってるよ。わかってる。
わかってるから、みなまで言うな。


自分の足元から、徐々に視線を上げてみる。


だぶだぶの裾。
だっぽりとした、ウエストライン(ウエストなんていうのは名ばかりで、くびれなんてたいしてないのだけど)
ほんの指先数cmしか出ない、袖口。



突然の夕立だったけども、たいして濡れてなかったあたしは
こんなの借りるつもりじゃなかったのだけど。
つーか、普通にTシャツ貸してくれればいいのに。
彼の趣味なのか、誰かと比べてみたいのか……。
差し出されたのは、彼のシャツだったりして。



今まで彼とこのような関係になった人は、きっとそれはそれは
美しいラインを描いていたのだろうけど。
あたしが彼女になった時点で、そっちの点では諦めて欲しかったわ。




「……悪かったわね」




むっつりと答えると、意外にも



「なにが?」



なんて言葉が返ってきて。



「西門さんの、お望み通りのナイスバディじゃなくて」



こめかみに、青筋立てながら…それでも、落ち着いた口調で聞いてみる。



「は?俺がいつオマエにそんな無理な要求したよ?」



がっくりと肩が落ちる。
いいよいいよ。分かってたことだし。
あたしに色気を求められても、困るしね。
半分諦め、半分不貞腐れ気味の曖昧な視線を彼に送る。




「下手に色気振りまかれて、余計なヤロー惹きつけられても困るんで」




あたしの視線を受け取った彼は、大人の笑みを浮かべながら



「オマエはそんくらいで、丁度いいよ」



なんて言うもんだから。
急に恥ずかしくなって、素肌のままだった脚を隠したくなった。



「それに、俺に取っちゃ充分『女』だし────」



彼の口からでる言葉は、キツイながらもあたしをメロメロにさせることばかりで。
恋愛に関しては、百戦錬磨の彼のこと。
女の子の喜ばせ方なんつーのも、熟知してるのだろうけど。


嬉しくて。恥ずかしくて。切なくて。
彼にとっちゃ、たいした事じゃない一言でも
体温がすべて顔面に集まってしまうくらい、熱くなって
今更なのだけど、指先がほんのちょっとしか出ていない袖口で、口元を隠してみる。



「なにしてんの?」
「……う、嬉しいのと、恥ずかしいので…どんな顔したらいいのかわかんない」



モゴモゴと、布越しに伝えてみる素直な気持ち。


「ほら。そーゆーのが、たまんないっつーの」


意外にも、白い頬を赤く染めてる目の前の恋愛達人。


きれいな黒髪に、ほんのりと染まった赤が映えている。
さっきまでとは反対に、目の前の彼をかわいく思う余裕を感じながら、隠れたままの口元を緩める。



ゆっくりと伸ばされた西門さんの指先で、優しくほどかれた腕。
雨に当たった所為か、緊張の所為か、ひんやりとしてるあたしの指先を暖めるように包む、彼の手は大きくて、硬くて。





「あたしにとっても、充分男だよ」





これまた素直に伝えてみたら、見開かれた瞳のまま時が止まる。



「ったく、この天然女!」



なんて、ほんのりを通り越し真っ赤になった彼が不貞腐れたように横を向いた。





おしまい




2006,4,3     momota





リードしてるようで、振り回されてる西門総二郎。
今は、つくしちゃんにメロメロです。

拍手ありがとう(≧∇≦)
(拍手お礼SSでした)







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