類 Scene7
ほんの少し前を歩く、俺の頭1つ分下で揺れる髪。
ほんのりと香る、シャンプーの香りは彼女のもの。
さらりさらりと動きを止めない毛先から、つむじへと視線を移した途端大きく揺れる髪。
「・・・・・・なに?」
「なにって、なにさ?」
不機嫌そうに見上げる瞳から、ほんの少し怒ってるような感情を感じる。
「・・・・・・今、すごい視線感じた」
「ん。だって見てたもん」
眉を寄せて、首を傾げる牧野。
「見てた、って何を?」
「あんたのつむじ」
バババと真っ赤になったかと思うと、急いで自分の頭の天辺に両手を置く。
ぷぷ。
それ、隠してるの?
しかも、なんで隠す必要があるんだよ。
牧野の仕草に笑いを堪えながら、そっと頬にかかる髪を梳いてやる。
「なんで隠すの?」
「だ、だってっ。普通・・・つ、つむじとか見なくない?」
「・・・見なくなくない」
「・・・・・・見なくなくなくないよ・・・あ、あれ?んもうっ!絶対見ないってっ」
何に怒ってるんだか。
急に、ぷりぷりと怒り出し、くるりと振り返ると大股で歩き始める。
俺もしょうがなく、それに続く。
途切れることのなく香る、牧野の香りにくらくらしながら。
怒ってるくせに、俺のことを気遣うようなゆっくり目の歩調にすら愛しさを感じながら。
たまに振り返ると、寒さで鼻の頭を赤くしながら文句を言う。
「花沢類って、ワケわかんない」
そりゃそうだろう。
鈍感牧野に俺の全てが分かったら、もう15年も付き合ってきたあいつらがかわいそうだ。
再び、歩みを始める牧野の細い足。
そしてまた思い出したように、振り返る。
「んもう!花沢類ってば!!あたし怒ってるんだけどっ」
見れば分かるさ。
けど、俺が笑うと牧野も笑うだろ?
そうすれば、怒ってたことなんていつもどっかいっちゃうじゃん。
にっこりと、微笑むとやっぱり牧野はしょうがないなぁと言う顔をして笑った。
な?
やっぱりそうだ。
そして俺の横にちょこんと並ぶと、再び歩調を合わせて歩く。
半歩前を歩く牧野。
半歩遅れて歩く俺。
いつもの定位置。
いつもの眺め。
「んもう。へんなことばっかり言ってると、いいもんあげないよ!」
牧野は意地悪そうに瞳を動かした後、含み笑いを隠しながら告げる。
・・・・・・いいもん?
いいもんて、なんだ?
なんて答えようか、戸惑っていると呆れたような牧野の声が響く。
「まじでわかんないの!?ほんと類ってば・・・・・・」
がっくりと落とした両肩と深いため息。
俺・・・そんなに落ち込まれること・・・した?
一生懸命「いいもん」について考えるんだけど、やっぱりちっとも分からなくて。
降参、と言うように両手を広げた。
「んもうっ。一生懸命作ったのに!作り甲斐がないじゃんっ」
ごそごそとカバンのなかから出された、きれいなふわふわの紙でラッピングされた小箱。
「ハイ」と素直に目の前に出されて、なにも考えずに受け取る。
「・・・・・・なに?」
「チョコレート!今日、バレンタインだよ!」
「・・・・・・あぁぁぁ」
気の抜けたような声を出すと、牧野が笑った。
「あぁぁぁって。ほんとに忘れてたの?類らしいなぁ」
「だって・・・バレンタインよりも、俺、牧野と一緒に入れるほうが大事だもん」
「あたしは、バレンタインに託けて忙しい類を拘束できるから・・・バレンタインも大事」
ふふふ、と俺の腕に自分の腕を絡み付けながら白い息を零す。
「俺、いつもすぐに出動できる準備はできてますけど?あんたからの連絡が来ないだけで」
「・・・・・・じゃ毎日、24時間出動命令かけちゃうよ?」
「それもいいね」
「あはは。自分で言った事覚えておいてよ〜!後悔するんだから!」
後悔なんてしないよ。
俺だって、いつもいつも思ってる。
牧野が笑っていますように。
牧野とずっと一緒にいれますように。
牧野が世界で一番幸せだと感じてくれますように。
牧野を守ってやれるのは、俺だけでありますように。
頭一つ分下にある、牧野の頭にこつりと頭を重ねた。
「今日・・・・・・、西門さんや美作さんなんか大忙しだろうね・・・・・・」
直接頭の中に響いてきた牧野の声に、忙しそうに上手く立ち回ってる2人の顔が浮かんだ。
あぁ、そうだろうな、って返そうとしたとき不意に引っかかった。
・・・なんで急に、総二郎やあきらの名前がでてくるんだ?
「・・・・・・まさか、あいつらの分も作ったの?」
なんだか、嫌な気分だ。
まぁ、バレンタイン忘れてた俺が言えることじゃないんだけどさ。
「まさかぁ。あたしからのチョコレートなんかより・・・もっと高級でおいしいチョコレートいっぱいもらってるでしょう」
いや、そうゆう問題じゃないと思うけど。
なんてことも思ったけど、わざわざ言うことでもない。
これ以上ライバル増やしても、やだからね。
牧野は、俺のなんだから。
ま。負ける気もないんだけど。
「類?どしたの?」
牧野の声で、我に返ると左手にある小さな箱がとても大事なもののように思えて。
チョコレートと牧野。
なくしてしまわない様に両方とも抱きしめた。
そうしたら、牧野の香りが胸いっぱいに沁み込んできて。
もっと、強く抱きしめた。
おしまい
2005,2,13 momota
すいませんっ。すいませんっ。真対不起ーーーー!!!
あわてて書いたため、おかしなところが・・・ごぼっ。
落ち着いたら、直しますんで(滝汗)
しかし、どうもバレンタインというとときメモGSのチョコレート作りミニゲームを思い出します。
そして、思わず間違えて安いチョコレートを本命にあげてしまったときのリアクション。
(義理チョコが選択肢の1番上にあるんだもーん。間違えてたの絶対あたしだけじゃないはず・・・)
珪くんなんかは頬を染めながら「・・・ほんとに、これ・・・俺に?」と・・・戸惑いの表情(爆笑)←鬼
でも、ちゃんと本命チョコを上げたときの反応がツボだったので許す(笑)
「だから、目が赤いのか・・・。バカ・・・」って!!
キャーーー(≧▽≦)
す、すみません。メモラーにしか分からない内容で(苦笑)
では、みなさまハッピーなバレンタインをお過ごしください〜♪
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