類 Scene4
いつもの場所から、中庭のパティオを眺めていると
しとしとと音がする。
それは、細かい雨で。
薄い雲のように見えるそれは、遠くをぼやかしていて。
何も見たくない俺には丁度イイ。
手すりに両腕を乗せ、その中心に顎を置く。
音の原因は俺の前髪を濡らすけど。
そんなことはどうでもよくって。
しっとりした前髪の毛先から、ぽたりと雫が落ちた。
そのとき丁度、真下のパティオを横切る二つの人影。
それは見慣れた2人で。
いつもはクルクル頭がトレードマークのヤツが、霧のように舞ってる雨の所為で髪が緩いウエーブ状になっていて。
その隣にいるヤツは、男物のシャツを羽織らされていて。
ぶかぶかなシャツを羽織らされてる姿は、ナゼかとても胸を締め付けて。
胸の奥が苦しくなった。
どんなに願っても、行けない場所があるように。
どんなに手を伸ばしても、届かないものもあるんだろう。
けど、錯覚してしまいそうになる。
手を伸ばせば、届くのかもしれない、と。
要らないと決めたのは自分なのに。
望むのをやめたのは、俺のほうなのに。
それでも、思わずにはいられない。
「なんで、牧野の横にいるのが俺じゃないんだろう」
おしまい
2004,11,7 momota
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