類 Scene16
ゴロゴロとベットに横になってる類は
大きく伸びをすると、ふぁぁと気の抜けた声を出した。
「よく寝た?」
あたしは読みかけの本を、サイドのテーブルに置く。
「ん」
ゴシゴシと目元を擦りながら、ゆっくりと枕に顔を埋める類。
「牧野は?何してたの?」
上目遣いで、甘えたような声を出す類を思い切り抱きしめたい衝動に駆られる。
ただでさえ寝起きでボケボケしてる類は幼くみえるっつーのに。
もし、類との子供だったら……こんな感じなのかなーって…。
って、あたしは何考えてるのよ。
突拍子もない思いつきに、一人で顔を赤らめて、一人で突っ込みを入れる。
そんなあたしを、類がクイと袖を引っ張る。
「なにぶつぶつ言ってるの?」
「な、なんでもない」
あたしはそれ以上突っ込まれないように、テレビのリモコンを取るとスイッチを入れた。
パチッと、小さな音と共に大きな画面に映る、類の顔。
思わず2人で固まった。
「……びっくりした。まさか、寝起きで自分のアップ見るとは思わなかった」
先に口を開いたのは、類だった。
「俺って、こんな顔してんだ……」
なんて、セリフだろう。
朝の身支度をしてるときにしか、ろくに鏡を見ない類に気づいたのは一緒に暮らし始めて少し経った頃。
もったいない…。
あたしだったら、こんなキレーな顔してたら毎日何時間でも鏡見てられるのに。
チラリと横を見ると、自分の顔に見入ってる類の横顔。
TV画面の明りを受けて陰影がハッキリしてる分、いつもより数倍かっこよく見える。
くっそう。
なんでこんなに綺麗なんだろう。
類の視線の先には、別の類。
画面を通してる所為か、少し冷たい印象。
それは、出会った頃の類みたいで。
どちらの類も、同じ類なのだけど。
あたしには、今の類のほうが断然大事で。
「……でもテレビはイイオトコ度が20%は低くなる」
少し意地悪を言ってみたのは、テレビ画面で見る類が遠い人に思える所為。
「当たり前じゃん。牧野の前以外でカッコつけてどうするの」
「は?」
「牧野の前だから、がんばってイイオトコやってんの!」
ドキドキとする心臓。
類に聞こえてない?
「牧野には、かっこいい俺を見て欲しいもん」
こんなこと言われて、普通にしてられるあたしじゃない。
恥ずかしくて、嬉しくて。
枕に顔を埋めたら、ほんのりと類のシャンプーの香りがした。
ダブルパンチ。
バタバタともがいていると、すぐ隣に類の気配。
恐る恐る顔を上げたら、類まで10cm。
吸い込まれそうな、淡いグリーンの瞳はまるで宝石みたいだ。
「だから。俺がずっとかっこよくいれるように…牧野は俺の傍にいてね?」
最高の殺し文句を、こんなに至近距離で聞いてしまって。
この動悸を収めることができるのだろうか。
あたしはぐったりと、熱の上がった顔を、枕ではなく類の胸に預けた。
おしまい。
2006、9、2 momota
拍手お礼SS。
寝起きの類は、さいっっっこうに可愛いんだろうなぁ。
(「っ」の数と私の萌え度は比例してます)
拍手、どうもありがとう(*^-^*)
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