SKY GARDEN
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王子様     rui ***







この人は一日何時間、眠るのだろう。


あたしの髪をいじっていた手がいつの間にか背中に回っていて。
そしてその背中に回っていた類の腕が、やけに重みを増していることに気づいて視線を向ける。


あたしの瞳に写るのは、もうすっかり見慣れた類の寝顔だったりする。




寒くもなく、暑くもなく
湿気を含まない風に目を細めながらはらはらと揺れるカーテンに目を向ける。

カーテンが揺れるのと同時に、類の髪もはらはらと揺れることに気づいてちょっとだけ笑みが零れた。


あたしは読みかけの本を閉じると
横で、すやすやと眠り始めた類の顔を見つめてみる。




いつものこと。
気持ちのよさそうな寝顔は、見慣れてる。




軽く伏せられた、長い睫。
乱すことのない柔らかな寝息。




「ね、類?」


こっそりと耳打ちしてみるけど。
やっぱりというかなんというか、返事なんて返ってこないわけで。




鼻をつまんで見る。





5秒。





10秒。





あ、眉間に皺がよった。



薄く口唇が開いたかと思うと、鼻を押さえていた手を押し返された。



ぷぷぷ、かわいーかも。



笑いをかみ殺していると、寝返りを打たれてしまった。




あぁ、残念。




あたしに背中を向ける類は、薄茶のサラ髪を春の風になびかせながら再び夢の中。




お姫様を起こすには、たしか・・・王子様のキスだっけ・・・?
ってことは、王子様を起こすには、お姫様のキスでいいのよね?



・・・ま、まぁ、あたしお姫様ってガラじゃないけど
そこんとこは勘弁してもらおう。



こっそりとベットを降りて、類の正面へと向かう。



風を正面から受ける類は、おでこ全開。




あたしは苦笑しながら
眠りの森の王子様にこっそりとキスを落とす。


そして、耳元でささやきを一つ。




「類・・・、好きだよ」
「俺も」




即答で返ってくる言葉。




!!!
うがぁ、やられた。
あまりの驚きと、恥ずかしさで固まっていると腕を引かれそのままベットになだれ込む。




しっかりと腕の中に閉じ込められたあたしは
本当は、見えてるんじゃないかと類の顔を見上げてみるけど
さっきと変わりはなく、あたしの大好きなビー玉のような瞳は隠れたまま。


「・・・いつから気づいてたのよ」

にらみを効かせるけど、隠れている瞳には写ってないでしょうね。

「あんたが、鼻をつまんだときぐらいかな?」



・・・まったく油断のならない王子様だこと。
ため息を零しながら、類の胸に額を押し付けた。



「もう1回キスしてくれたら、起きますけど。いかがなさいます?お姫様」



瞼を閉じたままの王子様。



あたしは早く、薄いグリーンが混じるキレイな瞳が見たくて
めったに見れない王子様のおでこを見つめながら
2回目のキスを落とした。



それと、ちゃんと仕返しも忘れない。
「・・・おでこが全開ですけど、いかがなさいます?王子様」



パチッ、と音が聞こえそうなくらい勢いよく開く瞳と、綺麗な額に手が乗るのが同時で。



きっと、王子様の瞳に映る最初の光景は
いじわるな笑みを零す、愛しのお姫様の顔でしょうね。



おしまい


2003,11,7 momota






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