叶わぬ恋とは知りながら ??? ***
あの2人の間には、僕の入り込む隙間なんて1mmも空いてなくて。
そんなことは分かっていたことなのだけど。
幸せそうなつくしちゃんの顔を見てると
少し寂しくなったり。
あぁ、だめだな〜、僕。
好きな女の子の幸せさえ願ってあげられないなんて。
「・・・つくしちゃん!」
久しぶりに見かけた大好きな女の子。
ゆっくりと振り返るつくしちゃんの横で、やっぱりゆっくりと振り返る花沢さん。
眩しそうに目を細めるつくしちゃんが僕に気づいて花沢さんになにか言ってる。
そしてそのまま、駆け寄ってきてくれた。
つくしちゃんの後ろで、微笑む花沢さんに違和感。
「和也くん!!久しぶり〜!!元気だった?学部が違うと全然会えないね〜!」
溢れそうなほどの笑顔で話しかけてくれるつくしちゃんをよそに僕は花沢さんが気になって仕方がない。
何かが違う・・・。
でも・・・何だ?
う〜ん、と考え込んでいる僕の顔を大好きなつくしちゃんが覗き込む。
あんなに会いたくて仕方がなかった女の子が目の前にいるのに・・・。
どーーーしても花沢さんの、何かが違うことが気にかかる・・・。
うんうん、と唸ってる僕の周りがにわかにざわつき始めた。
女の子たちのキャァキャァと騒ぐ声が耳に入る。
その声に中に、F4だとか、花沢さん、だとかの単語が聞き取れた。
あぁ、花沢さんに気づいたんだ。
黄色い声を出している女の子たちを見回してから視線を花沢さんに戻す。
と、その瞬間僕の知っている花沢さんがそこにいた。
なにも写すことのない表情。口元すら緩ませることなく周りの女の子たちを一瞥すると
そのまま歩き出してしまった。
あぁ、そうだ。
僕の知っている彼は、あんな風だった。
さっきみたいな笑顔、見たことがなかった。
つくしちゃんにしか向けられることがない笑顔。
女の子たちをかき分けて、進む花沢さん。
ちらりと、こちらを振り返るとつくしちゃんに視線を送る。
そして口元だけで笑みを作るとそのまま、行ってしまった。
「ね、つくしちゃん。花沢さんて・・・あんなふうに笑う人だった・・・っけ?」
視線が花沢さんからつくしちゃんに移っても僕の頭の中はそのことで一杯。
「え?類?昔からあんな感じだったでしょ?」
「・・・ううん、あんなふうに笑う人じゃなかったよ」
(あぁ、そうなんだ・・・。つくしちゃんには見せてたんだね、あんなふうな笑顔)
「そう?呼ぶ?」
呼ぶ?と問われて慌てて首を振る。
「ううん、いいんだ。ただ・・・びっくりしただけだから」
「・・・びっくり?」
意味が分からない、といった表情をしているつくしちゃんの背中を押す。
「ほら、花沢さん見えなくなっちゃうよ!!もう行ってあげて!」
「う、うん。たぶん非常階段に向かってるんだと思う。類あそこ好きだから。またね!和也くん」
であった頃のような笑顔を残して花沢さんを追いかけるつくしちゃん。
そんなつくしちゃんに気づいて、だいぶ先で歩みを止める花沢さん。
その花沢さんの顔にはやはり、笑顔があって・・・
すごいよ、つくしちゃん。
あんな無表情だった人に
あんなに幸せそうな顔をさせられるんだ・・・
つくしちゃんも、嬉しそう・・・
すごい好きなんだね。
恋ってすごいんだね。
僕は一方通行の恋愛しかしたことないから、よくわからないけれど。
僕はまだ、つくしちゃん以外の女の子を見る余裕はないけど
いつかは・・・
いつかは、つくしちゃんたちみたいな素敵な笑顔を交わせる人を見つけたいと思うよ。
振り返り笑顔で手を振るつくしちゃんに呟きかける。
だから、それまで
もう少しだけ、好きでいさせて?
おしまい
2003,10,7 momota
→text →niji top →niji odai
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