SKY GARDEN
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ぬくもり (15555hit)   rui × tukushi ***




公園通りを歩いていると、すれ違う人たちが振り返る。

まぁ、だいたいそれは女の人なのだけど。

振り返る原因を作っている・・・
目の前を歩くこの人は、そんなことまったく気にもしていないようで。


それが、彼らしいと言えば彼らしいのだけど・・・。



「牧野?」



あたしを振り返る花沢類。
微笑みながら差し出される、左手。



その少し冷たい花沢類の手にあたしの手を重ねながら

あたしたちのような関係を言葉にすると何と言うんだろう、なんてことを考えていた。









道明寺とは、結局別々の道を行くことになった。
それはけして簡単に出した答えじゃなく、道明寺と何度も何度も話して決めたこと。

・・・・・・一緒に歩いていける道はないのか、一生懸命考えた。
好きだったから。
一緒にいたかったから。


けれど、今一緒にいないのが
あたしたちの出した答え。


西門さんや、桜子には散々な言われようだったけど
これでいいの。

好きだからこそ、別れの道を選んだ。
お互いの幸せを願って。






少しづつ和らいでくる花沢類の手の冷たさに
あたしの手のぬくもりが花沢類に移動してるのだと、理解した瞬間
自分の心の中まで、彼の中に流れ込んでしまう気がして少し鼓動が早くなる。



「は、花沢類!最近大学の方はどう?」
「・・・ん、それなりだよ」


いきなり言葉を発したあたしを変だと思わなかっただろうか・・・?
さっきよりも、数段早くなった鼓動。


ちらりとあたしを確認すると再び視線を進行方向に向ける花沢類。
10月も中旬に入り、イチョウもだいぶ黄色みを増してきている。
秋のだいぶ低くなった空に映える黄色はやけに目に染みて・・・
けれど、その黄色があたしの鼓動をゆっくりと落ち着かせてくれて・・・
あたしは視線を足元に移した。


「あんたは?どう?短大のほう」
「・・・ん、あたしもそれなり」





あぁ、会話が続かない。
今まではこんなことなかったのに。

会話だってポンポン普通にできてたし、手を繋いだって特になんとも思わなかった。


おかしい。
あぁ、おかしいといえば今、花沢類と手を繋いで歩いていることさえもおかしいのかもしれない。



花沢類とあたしの関係・・・

友達?
ううん、きっともっと深い、と思う。


恋人?
・・・違う。


親友?
・・・あぁ、これに近い・・・かな?





でも、親友に対してこんなにドキドキするものなのか?とも考える。





「牧野ってば」
目の前10cmに置かれる薄いグリーンの瞳。
花沢類の整った顔立ちに、いつまでたっても慣れることはない。

考え事をしていたあたしを咎めるような視線に、あわてて顔をあげると繋いだ手に力を込めた。

「お腹すいちゃった!ラーメン食べにいこ!花沢類!」

ぐん、っと引っ張った腕につられて、花沢類の髪がさらりと揺れる。
夕陽に照らされた彼の髪は、いつもよりもよりいっそう金色に近かった。












「牧野ってほんと不思議な食べ物知ってるよね」
ラーメンをズルズルとすすりながら、目の前に座る花沢類はそこら辺にいる男の子とはちょっと違う。
隠すことのできない気品や、整いすぎてるといってもいいくらいの顔立ち。

どうしてこんなに素敵な男の子が、あたしと一緒にいてくれるんだろう、と思う。

道明寺と別れて、もう2年。
いつでも切り離すことのできる関係のはずなのに。こうして時間を見つけては2人で出かける。





道明寺と付き合っていた頃
花沢類に告白されたことがあった。

NYのレストランで夜通し掃除して・・・
花沢類のあんな表情、初めて見た。


もしかして今も・・・思っていてくれるの・・・?


ってあたし、何考えてるのっ!
そんなわけないわ!あれから2年も経つ。



顔が赤くなるのが分かる。
自分を落ち着かせようとコップにたっぷりと注がれた、けしておいしいとは言えないお水を喉に流し込む。







・・・・・・でも
もし、また花沢類に告白されたらあたしはなんて答えるの───?







お水と一緒に、その疑問も飲み込んだ。










ブブブブブブ、と細かな振動を伝える音に思わず箸を落とした。

「あ、俺だ」

花沢類がポケットの中から携帯を取り出すとめんどくさそうに、通話ボタンを押す。

「・・・はい」

瞬間、花沢類の瞳が見開かれる。
めずらしく緩み始める頬。口元には笑みさえ浮かんでいる。
あまり見ることのない花沢類の表情にあたしは視線を離すことができないでいた。


「すぐ、帰る」
ぱちん、と携帯を閉じると花沢類は伝票を手に取った。
そしてあたしの手を引くのも忘れない。

「な、なに?どうしたの?なんかあったの?」
あたしはわけが分からずに、花沢類に引かれるまま店をあとにする。


機嫌がよさそうな花沢類。
それは、知らない誰かのようで・・・・・・


「静が帰ってきてるんだって。今、うちに寄ってるみたい」


・・・静・・・さん?


花沢類の口から紡がれる女の人の名前。
少し胸の奥がちくりとする。


あ、あれ?


無意識のうちにぎゅっと握った右手を胸の上に置いていた。




花沢類から女の人の名前。
それはほんとに些細なことなのだけど。
その些細なことは、あたしにはとても意味のあることに思えて。


少しずつ、少しずつ訪れる不安。


あたしは・・・
花沢類の『牧野』が聞きたいのに。



!!!
あ、あたしってば・・・
なんてこと考えてるんだろう。




赤面してるであろう顔を見られたくなくて、手で口元を覆い、視線だけを花沢類へと送る。



けど・・・花沢類は、といえば
あたしの手を引きつつも、頭の中は静さんのことでいっぱいみたい。

こんなあたしを気にしもせず、さっき頼んだ車のお迎えを待っている。



いつもなら、すぐからかうのに。




でも、あたしはそれを咎める理由があるわけでもない。




なんなの?あたし。
何か変だ。




「あー、車待ってる時間がもったいないや。タクシーで帰ろう」
花沢類にしてはめずらしく、小走りで道路に面した歩道に向かう。



花沢類の「もったいない」・・・・・・・初めて聞いたかも。
なんてことを思っていると、あっと言う間に道が広がる。

車道に面した歩道に出ると、夕方のせいもあってか道路は渋滞中で。
ちっとも動いてない車の列に舌打ちするのが聞こえた。



少しイラつき始めてる花沢類を、昔の彼と重ねていた。



あぁ、そういえば彼は出会った当初は、いつもイラついていた気がする。
それでも、静さんが帰国するって日・・・

やけに機嫌がよくて。

あの日、歌なんて口ずさんでたっけ・・・



花沢類の嬉しそうな顔は、あたしをたまらなく切なくさせる・・・・・・













・・・この、きりきりとした胸の痛みはなんだろう。



やっとつかまったタクシーのなかでそのことばかり考えていた。
花沢類の機嫌のよさそうな横顔を見るたびに、それは何故かどんどん痛みを増していって
あたしをよりいっそう考え込ませる。




あたしは、自分の中を知りたいのか知りたくないのか
複雑な思いのままタクシーの振動に体を預けた。













花沢類のおうちは相変わらずで。
何度きても慣れるってことはなく、あたしを威圧させる。
それに今日はいつも以上に気が重い・・・


タクシーから降りると、彼は落ち着かない様子で門をくぐり玄関に向かう。
玄関に向かうって行っても、数十メートルはあるわけで・・・

あたしは黙って、あとに続く。

花沢類の背中を見つめながら
何故か心の中で「いかないで」と繰り返してる自分がいる。


その自分を突き詰めてしまうのは、大変なことのような気がして。
無理やりに押し込める。




紅葉の木。イチョウの木。そこから、ハラハラと落ちる葉。
いつもと同じ、景色。ついこの間も見た風景。
けれど
いつもなら何度も振り返る花沢類が、今日は振り返りもせずに向かう玄関までの道。
それは、花沢類のまわりにあたしが存在していないように感じて・・・・・・



泣きそうになる。




誰に向かってるの?
誰を求めてるの?





たまらずに、花沢類の背中に向かって声を上げた。


「は、花沢類!!ごめん!あたし帰るっ」


きょとんと振り返る花沢類がなんだかやけにマヌケに見えて、喉元までせり上がってきてた熱いものはどうにか飲み込むことができた。


「静もきっと牧野に会いたがるよ。会っていきなよ」
「・・・う、うん、でもあたしちょっと用事思い出しちゃって」
「・・・用事って・・・何の用事?」


ぐぐぐ。


「あ、明日までのレポートあるの忘れてたの!」
「・・・少しの時間もだめ?」

めずらしく食い下がる花沢類に、ちょっと困惑気味のあたし。



なんで、そんなにあたしと静さんを会わせたいのよっ。
・・・それよりも、なんであたし静さんに会いたくないの・・・?



さっきまでは泣きそうだったのに、今度は少しイラつきながら返事を探す。
そんなあたしに自己嫌悪。


ころころと変わる感情に自分自身ですら上手く対処できない。
花沢類はもっと変に思ってるだろう。


恐る恐る覗き込むように視線を花沢類に向けると
やはりというか何というか・・・・・・


観察するような視線を向ける花沢類に耐え切れなくて・・・・・・・


あたしは結局、静さんに会うことにした。


でも、あたしの気分は落ちこんでいくばかりで。
早く時間が過ぎればいい、そんなことばかり考えていた。







西角さんちにも負けず劣らずの純和風のおうち。
長い廊下を進み、客間に通される。

あたしにはどこも同じ部屋にみえるのだけど
花沢類が一つの部屋の前で障子を開ける。
そこには、ばっさりと切り落とした髪もだいぶ伸びていて
まるであの頃とちっとも変わらない静さん。


彼女は相変わらずで・・・。

同性のあたしでさえ、見惚れる。
天使のような彼女は花沢類の姿を見つけると、会いたくて仕方がなかった恋人を見つけたように駆け寄ってきた。


「類っ!!」


花沢類の背中に回る、服の上からでも分かる華奢な腕。
花沢類の頬に伸ばされる、白い指。





徐々に近づく、2人の顔。
それはスローモーションのようにあたしの瞳に映される。





・・・やだっ。



なんかやだっ。






「は、花沢類っ!!」



後先考えずに、呼んだ名前。
動きが止まる、絵の中のような2人。



「あたしっ。やっぱり帰るね」



久しぶりの対面を邪魔することになってしまった。
けれど、声を上げずにはいられなかった。



ここにはいたくない。
花沢類と静さんがキスするとこなんて見たくないよ。






なんで?









それはもう分ってる。












───好きなんだ。
花沢類が好きなんだ。











花沢類と一緒に過ごすようになって
「寂しい」なんて思ったこと一度もなかったんだ。
だけど、今日

初めて、「寂しい」って思った。





花沢類と静さんの世界に、あたしは邪魔なんじゃないか、って・・・・・・





「邪魔」
なんていやな言葉なんだろう。

そこには存在しちゃいけない。





アタシハココニイチャイケナイ















「まき・・の?あんた・・・なんで泣いてんの?」


2人の驚きの顔。
キレイな4つの瞳があたしを見つめる。



頬が濡れるのが分かる。
これはなんの涙なんだろう。

「泣いてないよ」
「泣いてるじゃん」
「・・・違うよ。目が痛いだけ」

ゴシゴシと瞼ををこするけど、それは全然収まってくれそうになくて。




静さんが心配そうにこちらを見てる。
静さんが優しくしてくれればしてくれるほど、自分自身がわがままでいやな人間に思えてくる。


心配なんてしてくれなくていいの。
お願いほっておいて。


あたしは彼女に向かって頭を下げると、そのまま一目散に玄関へと向かった。




何度も転びそうになりながらどうにか玄関までたどり着く。
そこでどうにか靴を履くと、今度は門まで数十メートル。




なんだって、こんなに遠いのよっ。
誰に文句を言っていいやら・・・




乱れる呼吸を気にもせず
あたしにしては、一生懸命走った。
走ったのだけど・・・・・・




もう少しで、扉に手が届く・・・ってとこで花沢類に捕まった。




「ハァ・・・。あんた足・・・早すぎ・・・」
ゲホゲホと咳き込んでる花沢類。
それはあたしも一緒なのだけど。

しっかりと掴まれた左腕が、熱い。

「・・・なん・・・で追いかけてきた・・・のよ」
「・・・なんでって、あんたが泣いてたから」
「泣いてないってば」
「泣いてんじゃん」

じゃあこれ、なんだよ、とあたしの頬をグイと親指で拭う。
花沢類の親指はしっかりと濡れていて・・・あたしを黙らせる。

「・・・調子悪いの?」
顔を上げることができないで、俯いたまま首を横に振る。
「・・・じゃあなんかあった?」
まったく同じ動作を繰り返す。


「・・・牧野?」

優しく名前を呼ばれて、再び涙が零れだす。





ただ、そう呼んでほしかっただけ。








あたしは、自分の気持ちに気づいてよかったのだろうか。
このまま、気づかないほうがよかったんじゃないだろうか。







ぐい、と腕を引かれ今来た道を連れ戻される。

「ちょ、ちょっと待って。あたし帰るから・・・」
あわてて花沢類の手を振りほどこうとするけどソレはちっとも緩まない。あたしの腕を放すつもりはないらしい。

「・・・ゆっくり話せる所いこう」
「だって、ちょっと待って。ゆっくり話せるところって・・・静さんもいるからまた今度改めてにしようよ」

あたしを引きずりながら進む花沢類。
引きずられてる足が、小石を跳ね除けてジャリジャリと奇妙な音を奏でる。

「あんたがこんななのに、帰せるわけないでしょ」
「・・・あたしは大丈夫だから」
「俺が大丈夫じゃないんだよっ」



少しきつめの口調にあたしは黙るしかない。
そして、ジャリジャリとした音が静かな庭にやけに響いていた。



さっきまでの場所に静さんが一人で心配そうに佇んでいて。
それだけで何故かあたしは申し訳ないことをした気になって、静さんに頭を下げた。

「静さん・・・ごめんなさい・・・あたし」
「いいのよ、牧野さん。また今度ゆっくりお話しましょう」

ゆっくりと、静さんの唇があたしの頬に近づいて軽く触れる。

「類も、またね」
「ああ、悪い」


彼女の行動に、深い意味などないのは分かってる。
分かってるのに・・・あたしは・・・

今度は花沢類に触れることなく、柔らかな天使のような人は
ゆっくりと優しい余韻を残して、あたしの前からさらりと消えた。









類の部屋に通されたあたしは、何を話すべきか悩む。



「とりあえず、なんで泣いてるのか教えて」



そう来ると思った。



今、自分の気持ちを花沢類に伝えるべきなんだろうか。
そしてそれは許されるべきことなんだろうか。





道明寺との、つらい恋を思い浮かべると
どうしても躊躇われる告白。




「牧野?」




「な、なんでもない。なんかイロイロ考えちゃってて」
「なにをイロイロ考えるの?静がきただけでしょ」
「え、えーと・・・だから・・・」
「・・・なんでそんなに不安定になったのか教えて。静となんかあったの?」





そんな簡単に言えるわけないじゃい。
あんたのことが好きなことに気づいたから、なんてっ。





「牧野・・・どうしても言わないつもり?」

大げさにため息を零した類。
視線を合わせると、全てを見透かされるような気がしてあたしは視線を窓の外に向けた。


「牧野、こっち見て」
「いや」
「ちゃんと俺を見て」
「・・・・・・」
「あんたに泣かれるのがヤなんだよ」


拗ねた子供のように横を向く花沢類に、なんだかこちらが申し訳なくなってきた。


「・・・静さん・・・」
「静?」
「静さんのせいじゃないよ・・・」
「じゃぁなに」






いつのまにか部屋には月の光が差し込んできていて。
さっきは夕陽に照らされて金色に輝いていた花沢類の髪。
今は月光に照らされて、さっきよりは光度を落としているけれども金色に光を放っている。






たった数時間で花沢類への想いを自覚するなんて。






思い出すのは道明寺。
花沢類を見送る空港であたしは道明寺に尋ねた。

   『黙って自分の気持ちを押さえることが、相手に対する思いやりなのかしら。それで終わっちゃっていいのかなぁ』

人を好きになることに対して、よく分からなくなってたあたし。

   『よかねぇよ。アホらしい。だったら初めっからなかったも同じじゃねーか』

いとも簡単に出した答え。



・・・うん、そうだよね。道明寺。
あたしは、花沢類への想いをなかったことにしたくないよ。





あたしの返事待つ花沢類に少しだけ微笑んだ。
少し怖いけど。
少し声が震えるけど。


もしかしたら、これでもう会えなくなっちゃうかもだけど。
それでも、なかったことにはしたくないよ。








「・・・花沢類が好きなことに・・・気づいちゃった」








あぁ、やっぱり固まってる。
ピクリともしないであたしを見つめ続ける花沢類。


彼からの返事はいらない。
そのまま部屋をあとにするつもりで、少しづつ後ずさる。
呆然と佇んでいる花沢類を残して、ドアノブに手をかけた瞬間





背中に温もり。
頬に金色に光を放っていた、髪が触れる。





「牧野。やっと同じ位置まできたんだ・・・」
「・・・花沢類?」
「俺は、自分の気持ち押し付けるのが愛情だとは思ってない。昔・・・司にそう言ったんだ。  それは今でも変わってない」


あたしを背中から包みこむ花沢類の腕にそっと触れた。

「だからあんたが俺と同じ位置にきてくれるの、待ってた」






振り返るあたしの口唇に
類の柔らかなそれが重なる。

それは、軽い眩暈も一緒に呼び込む。


類の口唇は、いろんな場所に移りながらも
だんだん熱を伴って




「・・・牧野。このまま抱いても・・・いい?」




突然の一言。

戸惑う心とは裏腹にあたしは、類の首に腕を絡ませた。



初めての経験。
こんなときどうしていいか分からない。



       寂しいってことが、あんなにつらいとは思ってなかった。
       ううん、違う。
       忘れてたんだ。
       いつも、いつも花沢類がそばにいてくれたから。





花沢類の手が、あたしのシャツのボタンをゆっくりと外す。





       道明寺のことでつらかった夜。
       いつも一緒にいてくれた。
       あたしの寂しさを忘れさせてくれたのは、花沢類だ。





下着すらもつけていない肌を月光が照らす。
恥ずかしいけど。
戸惑うことばかりだけど。








類が好きだから。
やっと、気づいた。

ちがう・・・
やっと放つことができた。
やっと認めることが・・・できた。







類の指があたしの体を撫でるなか、あたしは震える体を抑えるだけで精一杯で。
それは、類があたしの中に入ってくる時も変わらない。



痛みを伴う行為。



けれどそれ以上に、類への想いで胸が痛い。



──類?あたし、類に寂しい思いさせてなかった?
あたし、今まで自分のことしか考えてなかった。
類は、ずっと
ずっとあたしの心配をしていてくれたのに。






類の腰が深く沈むたびに痛みに顔が歪む。

「ごめん。痛い?」

動きを止めた類が顔を覗き込む。
そこには、相変わらずのグリーンの瞳。
その瞳に揺れているのは、きっとあたし。




こんな時まであたしの心配。
なんだか嬉しくて、切なくて
笑いたいのか、泣きたいのか・・・





ふるふると首を横に振る。






「・・・手、握ってて。そしたら・・・痛くない」
「なんだよ、それ」



笑いながら少し汗ばんでる手であたしを包み込む。



ゆっくりと動き出す彼の動きにあわせるように
あたしは繋いだ手に、力を込めた。



類の手が大好きだった。
いつもいつも、助けてくれた。




いつもとは逆で
緊張でひんやりしているあたしの手。
そしてなぜか今日は暖かい類の手。





「・・・あんたのぬくもりが俺に移るの好きだった。今日は逆だ・・・」





ふわりと笑顔を零すから・・・
類がそんなこと言うから・・・
泣きたくなった。
   ・
   ・

   ・
   ・
   ・


   ・



   ・








溢れ出る想いや、流れてゆく時間をとめる術をあたしは知らない。
これからのあたしたちがどうなるのかも分からない。

だからもう少し。
もう少しだけ類の温かい胸の中でこうしていよう。




痛いほどの類への想い。

でも、これから
あたしはもっと花沢類に恋をする。
















静か過ぎる闇を遮るように類があたしの顔を覗き込むのが分かった。

「あ・・・もしかして、静にやきもちやいてた?」

嬉しそうな類の言葉に、あたしは眠ったフリをした。





おしまい








■■■■■アトガキ■■■■■

このお話は、15555のキリリクでーす。
そして今回も、長かったでーす。ごめんなさい(><)
最近、なんか上手くまとめらんなくて・・・←イイワケ
で、リク内容はですね〜!(お、話題すり替えたよっ!)『類×つくしの初H』
・・・す、すみません。初Hではなく、つくしが自分の気持ちを認めるまでの方がメインになってしまいました(><)
うぅ。。。ごめんなさい〜!
つくしは、自分の気持ちが分かっててもなかなか踏み出すことができなそうですね。
司とのときもそうだったように、自分の気持ちよりも周りを優先させてしまうのでね。いい子やな〜(ほろり)

と、いうことでなかなかお話が進まなくてゲッターさんには大変お待たせしてしまいましたが、
その分、たぁぁぁっぷりと愛がこもっております♡
えぇ、倍はこもっております♡♡♡←ほら、ハートが溢れてる(爆)
tedしゃん、15555踏んでくれてありがとう!たっぷりの感謝と愛を込めて♥


2003,10,31 momota




→text   →nijitop