SKY GARDEN
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マリッジブルー (100000hit)    rui × tukushi ***









「申し訳ございません」




きっちりと斜め45度に腰を折り曲げて謝る類。
あたしはそんな類の背中を見ながら




この人は、これからもこんな風にあたしの為に謝り続けるのだろうか────


なんてことを考えていた。












「・・・・・・ごめんね」
「なにが?」


前を歩いてた類がくるりといつもの笑顔で振り返る。
それはあまりにも普通すぎて。
あまりにもいつも過ぎて。





「・・・なんで、そんな普通なの?」
「だから、なにが?」



類は、不思議そうな顔であたしの顔をじっと見てから、ポケットへ親指を引っ掛けるとまたくるりと前を向く。
そしてゆっくりと歩き出した。



「・・・・・・あたしの為に、下げたくない頭下げた」
「あぁ、さっきの?」



さっきの、とはついさっきの何とか商事の息子の婚約パーティ。
あたしたちもついこの間したばかりだ。
そこであたしは、声を掛けられたこれまた何とか財閥の偉い人の名前を間違えた。



もちろん、その人はカンカン。
だって、ついこの間あたしたちの婚約パーティにも来ててくれてた人だったんだもん。
おまけに花沢物産とも取引のある方で。



「・・・・・・あの人・・・すごい怒ってた」
「あー・・・怒ってたねぇ」



ほたほたと、涙が淡いえんじの絨毯に染みを作る。



「・・・・・・取引、ダメになっちゃうかも」



類は歩調を緩めず、そのまま足を動かす。



「・・・やっぱり結婚やめるっ」



ピタリと類の足が動きを止めると、またゆっくりと振り返る。
けど、さっきのような笑みはなく怖いくらいの無表情で。



「なんであれが結婚やめることに繋がるの?」
「だって、あたしのせいで・・・・・・。これからも、また同じことしちゃうかも」



こわい。
そう、怖いんだ。あたし。



自分の一言が、こんなにも影響してしまう世界。
1度口からでた言葉は、もう二度と元には戻らない。
訂正もできない。



そんなことはわかってたつもりだった。
けど・・・・・・わかってなかった。



いざ自分がそのことの真正面にきて気づく、怖さ。




「それとこれとは関係ないでしょ」
「関係あるよっ」




ゆっくりと近づく類が、そっと頬に手を触れた。




「結婚したら、もっともっとこうゆうこと多くなる。今日みたいなことじゃない失敗も、何度もしちゃうかも」


なんだか、止まらない。
けど、幸いなことに回りはざわついているので、あたしの興奮した声も周りの喧騒にかき消されてそんなに目立たない。



「あたしのために、類が謝るのやなのっ。類は何も悪くないのに・・・悪くないのに・・・っ」



溢れてくる涙は止まることを知らずに、どんどん新しい染みを絨毯に作っている。



「俺は、やじゃないよ。あんたの為に頭下げるの」



ゆっくりと、涙を拭ってくれる親指が温かい。



「俺、何のためにあんたと結婚したいと思ってると思うの?」
「・・・・・・なんのため?」



グスリと鼻をすする。



「自分のため」
「え?」
「俺だってそんなできた人間じゃないよ。すっごい自己チューだと思う。俺が幸せなら、まわりはどうだっていいよ」


「会社のためを思うんならもっと、こーゆーことに向いてる女と結婚してるよ」と呟きながら、隣を通り抜けていたボーイさんから キレイな紫色をした液体の入るグラスを取り上げる。
そして、伏せがちだった顔を上げたあたしに向かってゆっくりと、薄いグリーンの入るビー玉のような瞳を細めた。



「あんたが好きだから、結婚したいって思ったんだよ」



グラスを差し出されながら告げられたセリフに、顔が赤くなるのがわかる。



「・・・あんたと一緒にいれるんなら、下げたくない頭、何度だって下げるよ。
 おまけに、あんたのミスなんて計算済みだよ。ちゃんと覚悟できてた」



ニヤリと笑う類にこちらもつられて笑い返した。
頬が濡れたまま零す笑顔はなんだか照れくさい。



「ひどーい。あたしが何かやらかすと最初から思ってたの?!」
「んー、ま、そんなとこ」




まったく役に立たないあたしでいいの?
仕事よりも、あたしの方が大事だって言ってくれる?
あの広いお家で、あたしを一人にしない?
仕事が終わったら、急いで帰ってきて抱きしめてくれる?


そして、望むときは
────傍に、いて。



ゆっくりと視線を交じわせると、類はあたしの中の問いかけに肯定してくれるかのように頷きながら微笑んだ。







そっと、類の腕に自分の腕を絡める。


「ありがと。類」
「なにが?心構えしてたこと?」
「ちがーーーう!」
「ははっ、わかってるって。じゃ、謝ってやったお礼に今日泊まってこ」



手を振り上げたあたしから逃れるように頭を庇うと、ひとさし指で上を指す。



「え?部屋とったの?」
「うん」



す、すばやい・・・・・・。
ったく、いつの間に。
あたしは苦笑しながらも頷く。



けど、ま、いいでしょ。
お礼、ってことで。













部屋に入ったとたん、類にキスをせがむ。



・・・うれしかった。
うれしかったの。




楽しみだった類との生活が・・・
類とのこれからが、いつの間にか不安材料にしかならなくなって。



類のために何かしたい、なんて思いながらも余計足を引っ張ってしまう日々。
このままでいいの?
類に迷惑掛けちゃってるんじゃないの?なんて思いばかりが浮かんでは消えてゆく。



類が好きなのに。
一緒にいたいのに。



今日の出来事だけが原因じゃないけど・・・・・・
一緒にいればいるほど、類を困らせてるんじゃないかって思えてしかなかった。


だから・・・・・・
「好きだから、結婚したい」って言ってくれたこと。
全てを認めてくれたように、微笑んでくれたこと。
それだけで、満たされた気がした。






ゆっくりと探るように口内を動く類の舌が熱い。



早く素肌で触れ合いたくて、ワンピースを脱ごうとするんだけど背中のファスナーが上手くいかない。
けれど、そんな様子を見ていた類がはにかむように笑いながらゆっくりと、掌を太腿に這わせる。




「・・・・・・脱がないで・・・いいよ。そのまま・・・しよ」



耳元にキスを零されながら、そう告げられて。
あたしは、そのままベットに沈み込まされる。




ゆっくりと優しく探るように伝う類の動き。
ゆっくりと愛しむように伝わる快楽の波。




類のシャツのボタンがはだけている。
そこから覗く、きれいな鎖骨。



ゆっくりと極みに追いやられながらも、そっとその鎖骨に指を這わせると類のうめく声が聞こえた。




「それ・・・反則・・・・・・っ」
「なん・・・で?」




問い返すと、声に熱っぽさを含んだ類はあたしの胸元に顔を埋める。
薄茶のサラ髪が頬に触れてくすぐったい。



「そんな・・・色っぽい・・・表情(かお)・・・みせんな・・・よ」



動くのを止めもしないで語る類の方が充分色っぽい。



そう言い返そうとしたけど、そのまま激しく揺さぶられてあたしはとうとう口にできなかった。









結局、この日の夜は何度も体を重ねてくたくたになり、やっと眠りに落ちる頃には空がだいぶ白んでいた。



暖かい類の腕に包まれながらウトウトしてると、ゆっくりと囁かれる音。



類?なに?あたしに・・・言ってるの?



「・・・・・・牧野、あんたのマリッジブルーってゆうのも全部計算済みだよ」



んー・・・なに?類・・・。よく聞こえないよ・・・・・・



「だから、安心して・・・・・・いいよ。安心して・・・こっちにおいで」



すごく嬉しいことを言われた気がするのだけど。
とうのあたしは、全然覚えてなくて。





次の日の朝。
寝癖のついてる類のサラ髪を見ながら、これを毎日見れるのも悪くないな、なんて思った。






そしてあたしは一歩を踏み出す。

類のいる、世界へ────






おしまい







■■■■■アトガキ■■■■■

こちらは、10万打キリリクですー。
えー、まずはゲッターさんごめんなさい。←しょっぱなから謝罪(笑)
すんごく遅れました。そしてそして、リク内容とかけ離れてしまいました。てへ☆←・・・。

リク内容は、つくしに甘えるルイルイ。それにメロメロつくしだったのですが・・・
・・・つくしが甘えてる(?)だけになってしまいました。
す、すみませんーーー(><)
おまけに、ルイルイってば『マリッジブルー』なんてもの知ってるのか?

・・・・・・。

うちのルイルイは知ってるのよーーーームキーーーッ。←あ、壊れた(笑)

と、なんだかお休み前のキリリクなのにわけのわからんもので〆てしまいますが、これもすみません。←あぁ、最後まで謝ってる。

ゲッターさんには、たくさんのごめんなさいとリク内容と完成品が違っても微笑んでくれた心の広さにどうもありがとう。
たっぷりと、感謝と愛を込めて♡


2004,5,22   momota







【類の独り言】

いつになったら、あんたと同じ場所(とこ)からこのくだらない世界を見れるんだろうって思ってた。


はらはらと涙を零す牧野をみて、結婚なんてしないほうがいいのか?って思った。
こんな汚い世界。醜い世界にあんたを引っ張り込もうとする方が間違いなんじゃないか?って。

そうすれば、くだらない価値観の違いで牧野を泣かせることもなく。
嫌味なじじいに、愛想を振りまく必要もなく。

牧野は牧野でいられるんだから。



牧野の笑顔を、遠くから見つめながら。


また一人で生きていけばいいだけ。


今までもそうしてきたように、一人で・・・・・・




けど、もうそんなことできないことに気づいたんだ。
牧野の暖かさを知ってしまったから。



あんたが、ここまでこれないっていうんなら俺が引き上げてあげるよ。
俺と同じ位置まで。


そして同じ場所からこの吐き気のするほどくだらない世界を眺めてみよう。
あんたが隣にいてくれるなら、そんな世界でも悪くないって思える気がするんだよ。


そのためなら、俺はなんだってするよ。


例えあんたを泣かすことになっても。
俺が傷つくことになっても。


俺はなんだってする。
だから傍にいて。
どんな卑怯な手を使ったって、もう手放すつもりはないんだ。

この先、ずっと。



傍に、いてほしいのは俺のほうだったみたいだ───




今度こそおしまい(笑)



momota





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