SKY GARDEN
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Little Happy (66666hit)    tukasa × tukushi ***




べつにすごく大きな幸せを願ってるつもりはない。

ほんの少しだけ。
ほんの少しの、イイコト。










ふぁぁぁぁぁ、と大きな欠伸を零した司。
欠伸と共に思い切り伸ばした両腕を、吐かれた息が終わるのと同時にだらりと下げる。



いつもは肩で風を切って歩いてるのに。



足を広げて座り
猫背で大人しく日光浴なんてしてる姿はやけに子供っぽくて思わず、笑ってしまう。



「なんだよ」

笑ったことをとがめるように、口をとがらせながら体を横たえる司。

「たまにはいいでしょ?こんな日も」
「・・・まぁな」





GWも終わりの5月。
どうにか休みが取れた司。
どこか行こうにも、あの人ゴミじゃぁね。



出かけることは諦めて、ここ、司んちの庭で日向ぼっこ。

まぁ、せっかくの休みだけど・・・・・・
少しはゆっくりしてもらおう、って意図も少しは組み込まれてるんだけどね。



「あったかいねー・・・」



うっとりと、春から初夏への移り変わりを確かめるように目を瞑る。



ゆっくりと流れる時間や風は
いつもの生活がどんなに忙しいかを教えてくれる。



あたしでさえそうなのだから、司はもっと・・・・・・



ちらりと司に視線を送ると
眩しそうに眉間にしわを寄せながら、眠りに落ちそうで・・・・・・



「司、眠いの?」
「・・・・・・あー、わり。少しだけ寝かせてくれ・・・・・・」



そう言ったまま、あっさりと眠りに落ちていってしまったようで。
やけに規則正しい呼吸の音だけが聞こえる。




んもー。




よっぽど、膝枕なんかしてあげようかな、なんて思ったけど・・・
思ったんだけど。


恥ずかしくて

やめた。





で、結局あたしのしたことと言えば
司の顔をあたしの影で覆うことだったりする。




これで、少しはゆっくり眠れるでしょ?




重心を少し後ろに置きながら、空を仰ぐ。
そこには、初夏にしては少し強い日差しと雲ひとつない真っ青な空。




ほんと気持ちイイ。




センパイが、用意してくれたステンレスの水筒に入ったコーヒー。

そっと、カップに注ぐと
こんな陽気なのに、ホァと立ち上る湯気。
香りを楽しんでから、そっと口をつける。



読みかけの本と、コーヒー。
暖かい日差しと、緑の空気。
そして横には、大好きな人。



あぁ、幸せだなって思う。





きっと、司は
なんでそんなんが幸せなんだ?!って言うだろうね。


けどね。いいのこれで。


大きい幸せを、たまにもらうより
小さな幸せを、毎日少しづつもらいたい。



そのほうがあたしが想像することのできる一番近い未来

「明日」もがんばれるから。










いつの間にか、あたしもウトウトしてしまったらしい。


ふと気づくと、日もだいぶ暮れていて。
さっきまでとは逆に、少し肌寒い。



ゆっくりと顔を上げると、司はもう起きてたようで。



(2回、影を作るために移動したのは覚えてるんだけどなぁ)



髪を整えながら、いつ眠りに落ちたのか思い出そうと一生懸命考えるけど・・・
ちっとも思い出すことができない。
座った姿勢のまま眠り込んだからか、腰と背中がひどく痛む。
立てていた膝をそっと伸ばすと司と視線が合った。



ゆっくりと細まる司の瞳。
その瞳からは、優しさとか愛しさみたいないろんなものを十分に感じることができて



すごく、照れるのだけど・・・
司の大好きなところのひとつだ。



こんな瞳、きっとあたししか見たことないと思う。





自惚れすぎかなぁ。





ふわりと司の香りが香ったかと思うと差し出される右手。
苦笑しながら、司の手を握り返すと思い切り引き上げられた。





「そろそろ、部屋に戻ろーぜ」
「うん」



目の前に伸びる2つの影が、くっついている。
ただ、それだけのことも
やっぱり、幸せだ、と思う。











「昼寝で、休日つぶれちまったな・・・・・・」



繋げた手はそのままに、ちょっと残念そうに呟く司。

もしかして、気にしてるの?


「あはは、いいよ、べつに」
「・・・デートの意味なくね?」
「なくないよ。一緒に同じ時間過ごせるだけで、うれしいもん」



途端に赤くなる司の顔で、とんでもないことを口走ったと認識する。



「あ、あわわわわ。あー、特に深い・・・・・意味はなくてー」



今さら遅いらしい。



やけに機嫌がよくなってしまった司に手をひかれて、帰り道を半分ほどきたところで目に留まる銀色のなにか。



あれ?自転車?



「司、自転車置いてあるよ」
「あぁ、庭に出入りしてる業者が置いてったんだろう」
「・・・・・・」



あたしの足が止まったことに、不思議そうに首をかしげる司に怪しい笑みを投げかけた。



「うおっ、なんだよ、お前のその笑い!ろくなこと考えてねーな?!」
「ふふふーん。今日、寝ちゃって悪いと思ってるなら・・・アレで帰ろ?」
「・・・・・・『一緒に同じ時間過ごせるだけで、うれしいもん』なんて言ってたのは誰だ?」
「何にも聞こえませーん」
「・・・おまけに、アレって、アレか?!」
「うん」



あたしの顔と、傍に置いてある自転車を交互に見つめる司。
あたしは、さっさと自転車に近寄り壊れてるとこがないか確認。
うん、大丈夫だ。



「ほら、早くー」



自転車の後ろにまたがり
わざとらしく、ベルを鳴らしてみる。



「だーーーー。うるせーなっ。わかったよ。その代わりコケてもしらねーからなっ」



たまらない、といった様子で
自転車にまたがった司の腰にそっと腕を回す。



あたしより20cmは大きいくせに、すんなりと回ってしまう腰周り。




細かな振動と大好きな人の背中の温もり。
いつもより幾分早い鼓動も、背中に当てた耳で感じながら



腰に回した腕に力を込める。



「なぁ、牧野・・・・・・」
「なぁに?」



少し息を切らせながら、言いにくそうに言葉を止める。



「昔も・・・たしか聞いたことあるんだけどよ・・・・・・」
「うん?」



額を司の背中にこすり付けてみる。



「お前・・・いやになってないか?俺と付き合うの」
「・・・・・・なに急に」



あたしは、急にこんなことを言い出した司の顔を覗き込もうとちょっと右にずれてみるけど。
バランスを崩した自転車が、少し左右にぶれただけで終わる。



「・・・思うように会えねーしよ。デートらしいデートもしてやれねーし」



どんな顔して、そんなこと言ってんのよ。



「あ、いや、お前がいやだって言っても、手放すつもりは全然ねーけどなっ」


はははは、と乾いた笑いが響く、夕暮れ。



なんだか勝手に問題終了してるし。
ま、いっか。
司が笑っているのなら、それでいい。



この人はいつもそうだ。
悩んでたと思えば、いつのまにか自分で答えを見つけて納得しておしまい。


単純というか、なんというか。


けれどもとってもうらやましかったりもする。



「あたしも・・・・・・手放されるつもりありませんけど?」



返事はなかったけど、耳まで真っ赤な司。
かわいそうだから、からかうのだけはやめてあげた。




きっとあたしも真っ赤だったと思うしね。




地面に広がるグリーンの芝が、果てしなく続く絨毯のように見える。
それは、どこまでもどこまでも続いてるように見えて



愛しい人の背中を抱きしめながら
永遠にこのままだったらいいのに、なんて
思ったりして。



そして
あまりに小さな幸せの続く1日に、あたしはしっかりと浸っていて。



あまりにも浸りすぎて、再び眠気に襲われちゃったりなんかして。



「牧野ーーーーっ!!寝るなーーーーー」



なんて声に、何度か励まされながらどうにか司んちまでつくと
あたし達の顔を見比べられて
センパイに笑われた。







2人して、頬と鼻の頭だけ真っ赤だったから。







あぁ、なんだ日焼けのせいにできるんなら、やっぱりさっきからかっておけばよかった─────







神さま。
明日も、小さなイイコトありますように・・・・・・



おしまい








■■■■■アトガキ■■■■■

はふー。久しぶりのキリリク話です。
こちらは66666の、キリリクですー。
えー、まず最初にごめんなさい。ちょっと司、ヘンです(笑)
キリリク内容はね、特に頂かなくて・・・
カップリングの指定と、甘甘でお願いします、とだけ承りまして。
で、これ、甘甘?
甘甘っつーか、青春ドラマみたいッ。
自転車に乗る司・・・。
ありえねぇー(涙)
顔だけ日焼けしてる司・・・。
うおぉぉぉ、もっとありえねぇー(号泣)

ごめんーー。ごめんよーーーッ。なんか違うよね?ね?←注:作者
自分でも、思ってるんだよ、くすん。でもね、一生懸命書きました。
たっぷりと、感謝の気持ちと、愛だけはこもっております。
しっかりとこもっております。
ゲッターさん、66666踏んでくれてどうもありがとう。


2004,3,8 momota




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