SKY GARDEN
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defense or offense? (200000)     soujirou × tukushi ***




もてる彼氏は、持つもんじゃない。


あたしの教訓だったり、する。














「あー!やっぱそうだ。総二郎ってば久しぶりじゃん」


ヒラヒラの柔らかそうなスカートが目に入ったと思った途端、目の前に座る西門さんに
キレイに整えられた爪が印象的な腕が伸ばされる。



「最近、彼女できたって噂ほんとなんだー」



じろじろと、遠慮と言う言葉を含まない視線を投げつけられて。
それでも視線を外さないのは、あたしのほんの少しのプライド。

西門さんの肩に肘を置いて、彼のさらさらの黒髪に指を通す彼女は
あたしにケンカ売ってるとしか思えなくて。
そんなことされながらも、へらへらと笑顔を見せながら彼女と話をする西門さんにも怒りの矛先を向けてみる。



「どうも、はじめまして」



満面の笑顔がうそ臭いけど。
怒りの感情を出したら、負け。なんて思っちゃったもんだから…。
なんてことなさげに挨拶しながら、テーブルの下で西門さんの脚を思い切り蹴ってみた。



「イテッ」



飛び上がるように、びくりと体を揺らした西門さん。



ざまーみろ。
しらんふりしながら、目の前のグラスに口を付けると
涙目の西門さんに、これまたにっこりと笑顔を向けた。





(蹴ることないだろうが)
(でれでれしてるからでしょ!)
(でれでれなんて、してねーぞ!)
(しーてーまーしーた!)





瞳での会話を遮るようにフワリと香る、きつめの香水。
西門さんの知り合いの女の人は、さも当たり前のように西門さんの隣に腰を下ろした。



ぎょっとしたのは、あたしよりも西門さんだったみたい。
ほんの少し彼女とは反対側にずれると、まじまじと彼女を見つめてる。



「…ごめん、今彼女といるからさ。席、外してくれる?」



申し訳なさそうに微笑んだ西門さんに、彼女は困った顔を向けた。



「えー。少しだけでも、ダメ?あたしも友達と待ち合わせしてるんだけど…。まだ来てないみたいだし。
総二郎とも、久しぶりじゃん。いろいろ話したいことあるしー」



『あるしー』って。
あたしたちは、あんたの暇つぶしの道具じゃないっつーの。



怒りを見せたら負けだ!なんつって思ってたあたしは、どこに行ったのか。
不機嫌さを隠しきれてないあたしは、西門さんの困ったように訴える視線を見なかったことにする。



「ね?彼女も、いいでしょ?少しだから」



急に話をふられたあたしは、思わずむせそうになりながら
コクンと、頷いてしまった。
今更、しまった、と思ったところでもう遅い。



西門さんは、あたしが断ると思ったんだろう。
意外なものを見た、とでも言う顔をしてあたしの横に座りなおそうとする。



あたしもそんな西門さんのために、右隣に置いていたバックを取り
そちらに座りなおそうとした瞬間、西門さんの腕に絡まる白い腕。



「あーん、なんで総二郎そっちに行っちゃうのー?」



グイと彼の腕を引くと強引に、腰を再び椅子に降ろさせる。
彼女の媚びるような瞳と、口元のピンクのグロスがとてもいやらしく思えて。
あたしは思わず、瞳を逸らした。



西門さんに、触れられるのも。
何も知らないくせに、知った風に西門さんについて語られるのも。



なんか、イヤ。



どんなことを乗り越えて、あたしたちが一緒にいるようになったか…あなた知らないでしょう?
あなたが、何気なく触れてる西門さんの腕だって。
自然に触れれるようになるまで、何ヶ月もかかったの…知らないでしょう?



なんでこんな卑屈になっているのか…。
もてる西門さんのことだ。今までも、何度もこんなことあったのに。


なぜか今日は、あたしの勘が冴えてる。


西門さんが、なぜ今までみたく強く断ることができないのか。


答えは簡単。ばらして欲しくないコトがあるからだ。


目の前の彼女は、西門さんと寝た、と思う。


もちろん、大人の…しかも西門さんのこと。
今までなにもなかったのが、おかしいのは分かってる。


それでも、あたしの耳に入らなければなかったことにできる。
それなのに…。
今日は目の前に、本人がいなくてもいいでしょうがっ。



悔しさで潤む瞳を見られるのがイヤで、ガラスの向こうに視線を移した。
ちりちりとした、西門さんの視線を感じるけど。
こんな泣きそうな顔なんて見られたくなくて。
正面を見れずにいる。



「美紀ちゃん。なんかオーダーしないの?」



爽やかな笑顔で、彼女にメニューを渡す西門さんを
あたしはガラス越しに、見てた。



「やーん、総二郎ってば優しいー。ありがとー」



とびっきりの笑顔で、西門さんからメニューを受け取ると
アレがいいだの、コレもいいだの…。
たっぷり5分はかかって選び出したそれはあたしと同じもので。
妙な空気を持て余してたあたしの、唯一の味方のオレンジペコでさえ口をつける気が失せてしまった。



西門さんが呼んだ店員さんに、オーダーする。
店員さんが、ゆっくりとお辞儀をして去ったあと
西門さんは、これまた飛びっきりの笑顔を彼女に向けた。



「じゃ。ここは俺がゴチソウするよ。美紀ちゃんはゆっくりしてって」



西門さんは、あたしの腕をひくとそのままレジへと強引に向かった。
軽く手をあげて、彼女に向かってヒラヒラと手を振る。



「ちょ、ちょっといいの!?」



引きずられながら、チラチラと西門さんと彼女を見比べる。
あきらからにむっとしてる彼女は、あたしをずっと睨んでて。



あたしが悪いのーー!?
けど、ちょっぴりザマーミロ!って思っちゃうあたしもいる。



「あー。いいのいいの」



席の残されたままの彼女に、西門さんは一度も振り返ることなくさっさとお金を払う。
そしてやっぱりあたしの腕を引いたまま、お店のドアを押しやると心地よい春の風に包まれる。







「悪かった、な」



てくてくと、何をするでもなく街中を歩きながら
本当に申し訳なさそうにあたしを覗き込む西門さんは、なんだかかわいそうになってくるくらいだ。
傷ついたのは、あたしの方なはず…なのに。
なのに。それよりも、もっと辛そうな顔するから。



「イヤ、なんていうか…ムカっとしたけど…悪いのは西門さんじゃないし…」



なんであたしが慰める側にいるのよ。
もごもごと、呟くようなセリフを聞き逃してはいない西門さんは、ニカっと笑うとあたしの手を握る。



「さすが、牧野。心が広いね」



ちょっとちょっと。
今回のことは、西門さんがすべて悪いわけではないけど。
それでも、少しくらい反省して欲しい部分もあるんですけど。



どんなに傷ついたか、見せびらかすつもりはない。
けど、チクリとした胸の痛みは、まだ残ってるよ?



あたしが知らない西門さんを、彼女が知ってるのがどうしてもイヤなの。



そういうの、分かってくれてる?
西門さんと一緒にいると、
傷つかないように守りに入ってばかりいる自分に気づくときがある。



ホントは、あたしが一番でいたいのに。
あたしだけの西門さんであって欲しいのに。
そうじゃない。と、知るのが怖いから。



白くて細い指が彼に絡まるのを思わず思い出し、ますます腹が立って来た。



そうだよ。今の彼女はあたしだもん。もっと怒っていいはずだよ。
「あんまりベタベタ触らせないでよ!」ってね。



妙な理由だとも思えるし。
正当な理由だとも思える。



あぁ、彼との恋愛は怒るのにも理由が要るのか、と考えると正直へこむけど。



こんなあたしを知ってか知らずか、暢気に鼻歌なんか歌ってる西門さんに
やっぱり文句の一つでも言ってやろうと、西門さんの腕を無言でグイ、と引いた。



絡む視線。
けど。
こんな真っ直ぐな視線を向けられると、ど、動悸が……。



自分で仕掛けておいて、なんなんだけど。
思わず、視線を逸らしてしまった。
それに気づいた西門さんは、あたしをからかうように名前を呼ぶ。



再び、あがる心拍指数。



からかい気味の、高い声。
あたしと無理やり視線を合わせるために、グイグイと迫ってくる整った顔。



いつもいつも、ここで負けなんだ。
自分の感情に負けてしまって、降参宣言を出すタイミングは面白いほどいつも一緒で。
きっと、西門さんもここであたしが降参すると思ってる。



けど。
なめてもらっちゃ、困るのよ。
いつまでも、成長しないつくしちゃんじゃないのよ?西門さん。
今日は、あの美紀ちゃんのおかげでね。
テンションが、へんにあがってるのです。
その点では、彼女に感謝すべきなのかもしれない。



あたしは、これから取る行動を頭の中でおさらいする。
目の前、数cmにある西門さんの意地悪な上がり方をしてる口唇に、確認するように視線を落とした後、
ゆるりと余裕のある笑顔を返してみた。



そんなあたしを見て、オヤ?と表情を変えた瞬間。



あたしはそれに、ちゅっと口唇を落とす。



途端に固まる、西門さんの意地悪そうな笑顔。





ふふん。
攻撃は最大の防御なのだ。





あたしの口唇が落ちた場所に、ゆっくりと触れた西門さんの細い指。
滑るように繊細に動く指先に、見とれていると



「なかなか、やるようになったじゃん。でも、まだまだあまいね」



なんつって、道の真ん中で熱いキス。



攻撃も、持続しないと意味がないと知った午後。
あたしは改めて、実感する。





やっぱり、もてる彼氏は
持つもんじゃない。






おしまい








■■■■■アトガキ■■■■■

defense or offense?

守備か、攻撃か…。微妙なとこですね(笑)
こちらのお話は、sioしゃんの20万打キリリク、「大人のつくし」です。
大人…?オトナ…?おとな……。
ヘーイ!どこだい?(・・;) 

またもや、リクとかけ離れております。す、すすすすすみませんっ。
キリリクの意味があるのか!?と、改めて実感しました(笑)
出来上がってるお話を、プレゼントしたほうがいいような……

オトナのつくし。
エロをもってオトナにすべきか…悩みました。
が。
オトナのつくし=いつもと違うつくし、となりました。
ちょっと挑戦的な、つくしちゃん。
最後のほうに出てきてる「攻撃は最大の防御」
好きな言葉です。
たまたま読んでいたデルフィニアの外伝にもこのセリフがあって。
(勝手に)運命を感じましたよ。

絶対、使ってやる!このセリフ、使うべきだ!と(笑)


sioしゃんへの、お知らせ便にも書いたのだけど…。
我が家の総二郎くんは、根っからの遊び人です(…遊び人…死語?)
なので、つくしと付き合ってても…おそらく、他の女の子にも愛想はいいし、拒絶するということも
ないんではないか、と思ってます。アハハ。
かといって、つくしを手放す気はなく……。
つくしが、男性にちょっかい出されようもんなら、相手の嫌なとこをピンポイントで突くような嫌がらせを
考え、実行し、相手に退かせます。要するに、わがままなのです(身も蓋もない)
俺のものは俺のもの。オマエのものも、俺のもの。
ジャイアンです。
今に、つくしにガツンとやられるんじゃないかと…ヒトゴトながら思ってます(爆)
つーか、やられないとこの手のタイプはへこたれませんからね。フフフ(鬼)

それでは、私の独り言もこの辺で…。
20万を踏んでくれた、sioしゃん、どうもありがとう(T▽T)
sioしゃんのリクに、上手く応えられなくてごめんね。
もうちょっと修行します。

それでも、愛と感謝はたっぷりとこもっております。
今回、多めに入れときました(笑)
どうもありがとうごじゃりました←この辺に(爆)

それでは、sioしゃんへ、愛を込めて……♡



2006,4,18  momota




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