SKY GARDEN
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「ケーイくん。ケ〜イ!ほら、もう起きなさい。パパみたいにおねぼうさんになっちゃうよ」
ふわふわの柔らかい夢の世界から、ママの声で現実(いま)に戻された。
ママの笑顔が大好きでしかたがない。
なんで?って聞かれても困るよ。
生まれてすぐに見た、ママの笑顔にやられてしまったんだから。
ノックアウトってやつ。
夢の中でも、ママを追いかけてるくらい大好きで。
まさに寝ても覚めてもママ一筋なのだ。
そんな中、今日はママの声で起こされて・・・
起きてすぐママの笑顔が見れて・・・
幸せだ。
なんてたって、昨日の目覚めはヤツだったからな・・・
あぁ、思い出すだけで舌打ちなんぞしたくなる。
昨日のおぞましい記憶を振り払おうと、
ゴシゴシと目元を擦りながら、ママに向かって手を伸ばした。
「あらららら、ケイくん、甘えん坊だねー。起きてすぐなのに」
そんな風に言いながらも、結局は抱っこしてくれるの僕知ってるよ。
少し、恥ずかしそうに笑ったりしたら、ママなんかイチコロなんだ。
ほら、やっぱり。
俯き加減でにこりと笑顔を零しただけで、ママは蕩けそうな笑顔で僕を抱き上げた。
しっかりとママの胸の中に体を落ち着けると
自然と僕のライバルが目に入る。
「ほら、類も起きて。今日は忙しいんじゃなかったの?」
僕を片手に、器用にシーツを剥ぎ取るとライバルに向かって声をかけるママ。
ふん。ほっとけばいいのに。
大人のくせに一人で起きれないなんて。
そんなやつのことなんてほっといて、一緒に朝ごはんでも食べようよ、と一生懸命伝えるんだけど・・・
ママはちっともわかってくれなくて。
「あー・・・マンマ、マンマ・・・まーまー。マンマ」
「どうしたの?マンマ?お腹減っちゃった?ちょっと待ってね、パパおねぼうさんだから。パパがおきてから一緒に食べようね」
だから、違うって!
僕は、ママと二人で食べたいんだよー。
僕のことを床に座らせると、ママはさっきまでライバルが包っていたシーツを部屋の端に頬り投げる。
僕と視線が合うと、ぺろりと舌を出した。
(この間、その行為を家の使用人に見られて怒られたばかりなのだ)
「アー、マンマ・・・まーまー」
一生懸命訴える僕を見て、ママはキングサイズのベットに寝転ぶライバルの傍まで近寄るとそっと前髪を梳いたんだ。
そしてその手をゆっくりと左手で受け止めるライバルは・・・・・・
なんだかやけにかっこよく見えて。
「類、ケイがもう待ちきれないみたい。早く起きて」
そんなライバルを見るママの顔もすごく幸せそうで。
なんだかそれがすごく悔しい。
「んー・・・じゃ、キスして」
!!!!
なんだって?!
寝ぼけているようで、実ははっきりとしているライバルの声に
(僕は騙されないぞ!)
僕は、驚いて思わずベットにつかまり立ちをする。
あぁ、こんな時は歩けないのがもどかしい。
いらいらしながら・・・何度も転びそうになりながら・・・
(なんだってウチの両親はこんなにデカイベットを選んだんだ!!)
ようやくママの傍まで来ると、ベットによじ登った。
「ほら。ケイも見てる。そんなこと言ってないで早く起きなさいよ」
ゆっくりと腰を上げようとしたママの腕を男のクセにやけにキレイな指が引き止めたかと思うと
なんと僕の目の前でママに・・・
ママにキスをしたんだ!
しかも「ちゅ」なんていう可愛らしいものではなく、とっても熱烈なこちらが赤面しそうなくらいのやつで。
「んっ!」
バタバタと暴れてるママをよそに、なかなかそれは終わることがなく
ぼーぜんとする僕に、にっくきライバルはニヤリとした視線を送ってきた。
くっそーーーー!!!
ライバルの勝ち誇った視線に我に返ると、僕はハイハイでヤツに近づく。
そして、未だ続けられてる行為に
ペシペシとよだれのたっぷりついた手でライバルの頭を叩きまくった。
「めっ!!めーーーっ!!ぱー!メッ!」
やっと解放されたママは頬を染めたまま僕と同じように、何事もなかったようにすっとぼけているライバルのおでこをぺしりと叩いた。
「んもう!なによ急に!」
「いいじゃん、こんなに愛し合ってるんだよーってとこケイに見せておこうかなぁって思ってさ」
「ばか」
でも・・・そう言うママの顔はやっぱり、どこからどう見ても幸せそうで。
「ケイ、おいで」
スッと差し出されたライバルの両手に、僕はゆっくりと近づく。
そっとその手に、僕の手を差し出すとふわりとママとは少し違う、力強いものに抱きかかえられた。
上半身に何も纏ってない素肌はほんのりと温もりを僕に移してきて・・・
不本意ながら安心感、なんてものも抱いてしまって・・・・・・
僕はコイツが大嫌いだけど。
ママを僕からさらっていってしまうパパなんて大嫌いだけど・・・・・・
こんなにママに素敵な笑顔をさせられることができるとこは・・・認めてる。
くやしいけどね。
だから、たまにはこうやってパパにも抱かさせてやるんだ。
ほんとにたまになんだけどね。
ゆっくりとパパの白い頬が僕のほっぺに近づく。
僕にそっくりの薄茶のサラ髪が顔に触れてくすぐったい。
首をすくめると、パパはクスっと笑った。
「いいか?ケイ・・・つくしは俺のものだからね」
こっそりと耳元で囁かれた言葉。
むかーーーーーーーっ。
僕は、パパににっこりと天使の笑みを向ける。
それにつられて、パパの顔にも笑みが浮かんだ。
そして、その笑顔に向かって僕は思いっきり右手を叩きつけた。
やっぱり、僕はパパが嫌いだ!!
けどパパ。ひとつ言っておくよ。
僕がママのこと大好きなのは、パパ譲りなんだからね。
おしまい
2004,8,17 momota