欲しいものはひとつだけ
遅い・・・。
コーヒー取りに行っただけなのになんでこんなに戻ってこないわけ?
また使用人の誰かと話こんでるのかな?
牧野と付き合いだして3年・・・その間にすっかり使用人達と仲良くなっている
牧野。
誰とでもすぐに打ち解けることができる牧野の性格は俺も凄く好きなとこだけど
・・・俺が卒業して仕事を始めてからなかなか一緒に過ごせない・・・。
一分一秒でも無駄にしたくないのに・・・。
もう親公認の仲なんだから、俺が仕事でも泊まって行ってくれたら少しの時間で
も一緒にいれるのに・・・何度そう思ったかしれない。
牧野は変なところで頭が固くってさ・・・この三年間の間でも何回かしか泊まっ
てくれたことがないんだ。
何してるのかな?
いい加減待ちくたびれた俺は部屋を出て牧野の元へと向かった。
「可愛いーっ!!!ここに居たら食べちゃいたいくらい可愛いです!!!」
なんだかとっても興奮している牧野はやっぱり使用人の佐々木と話しこんでいた
。
佐々木は俺が子供の頃から居る使用人頭で、牧野のことも気にいっている。
「何が食べたいくらい可愛いわけ?」
二人の後ろから覗き込みながら手に持っているものを見た。
「あっ!る、類・・・。ご、ごめん。コーヒー取りに来てたんだったあたし・・
・」
俺の顔を見て部屋を出てきた用事を思い出したのかバツの悪そうな顔をする牧野
。
そうだよ・・・思い出してくれた?
俺は30分も待ってたんだよ・・・。
相手が牧野じゃなかったら確実に寝てたよ・・・。
「それ何?写真?」
牧野の手にある写真を覗きこむと生まれて間もないような仔犬が写っていた。
「類さま、牧野さまをお引止めしてしまってすいません。前に牧野さまが犬がお好きだって仰ってたのを思い出しまして・・・。私の息子の家で仔犬が産まれまして
可愛がってくれる人に譲りたいと申しております。牧野さまはどうかと思ってお声をおかけしたのです」
佐々木が牧野が戻ってこないのを探しに来た俺をおかしそうな顔でみている。
むっ・・・。
何がそんなにおかしいわけ?佐々木・・・。
牧野は俺に会いに来てるんだから俺と一緒にいないとだめでしょ・・・。
牧野は泊まって行ってくれないんだから時間に限りがあるんだからさ・・・。
「ふーん・・・。仔犬?それって・・・ダックスフントだっけ?仔犬は胴が長くないんだね?いつから伸びるんだろ・・・」
最近は忙しくて散歩ができてない俺だけど、学生時代はよく散歩に出掛けた。
牧野手作りの弁当を持って公園なんかに行ったりしてさ、都会ということもあっ て犬連れの大半が小型犬だった。
ダックスフントもよく見かけることがあって牧野は近くに寄って触らせて貰ったりしてた。
「いつから伸びるんだろって・・・類らしい発言だよね。ダックスだって生まれた時から胴が長いわけないじゃない、少しずつ伸びていくのよ、きっと!」
くすくすとおかしそうに笑う牧野・・・佐々木も笑いを堪えてるし・・・。
「まぁそれもそうだけどさ・・・見たことのあるダックスは長かったからさ・・・」
公園に来ているダックスは成犬ばっかりだったのか本当に胴が長くて足が短いダックスだったんだ。
「類と良く行った公園のダックスはみんな胴長かったもんね。短い足で一生懸命歩いてるの凄く可愛いかったよね?」
その時のことを思い出しているのか牧野が言った。
「ダックスフントの特徴でございますから・・・でもそこが可愛いんですよ、この犬種は」
佐々木が俺と牧野の会話を聞いて楽しそうに答えた。
「本当に可愛いですよね〜成犬も可愛いけど、仔犬は格別に可愛い・・・欲しい・・・欲しいんですけど・・・うち・・・ペット禁止のアパートだから飼うことできないんです」
仔犬の写真を見ながらキラキラと輝くような目をした牧野の目がだんだんと曇っていく。
小さい頃から社宅やアパート暮らしだから犬を飼ったことがないんだと犬達を撫でながら言っていた牧野を思い出した。
「そうですか・・・それでは無理でございますね。牧野様なら可愛いがって頂けると思っていたのですが・・・」
佐々木が残念そうな声を出した。
「か、可愛い写真、見せて頂いて嬉しかったです!ありがとうございます」
牧野がペコリと頭を下げた。
部屋に戻ってからも仔犬の可愛さを切切と語る牧野。
いつか絶対犬を飼うんだと鼻息を荒くしてるし・・・。
牧野が望むことで・・・俺が叶えてやることができることなら・・・。
・・・・・・・・・・・。
そうだ!
俺が叶えたいことにも繋がるかも・・・。
仕事が立て込んでいてやっと取れた3週間ぶりのまともな休み、牧野と逢えるのも久しぶりだ。
忙しくて声も聞けなかったし・・・禁断症状が出始めていた俺。
疲れてるんだから休んだ方がいいよって言われたけど牧野と逢うほうが心も体も休まるんだよ。
逢わないと言い張る牧野を何とか宥めて呼び出した。
「類、入るね・・・」
ノックの音とともに牧野が入ってきた。
「久しぶりだね。俺が居なくても部屋で待っててくれたら夜は一緒にいられるのに・・・」
逢えた嬉しさのほうが勝ってるのにグチを零してしまう俺。
「だ、だって、夜遅くお邪魔したら泊まることになっちゃうし、迷惑かけちゃうじゃない・・・」
もうずっと前からそんな関係なのに顔を赤くして言い訳をする牧野。
そんなこと言っていいの?牧野・・・。
今日はきっと泊まることになると思うけど・・・。
ドアの前から動こうとしない牧野を手招きしてベッドの横へ連れて行った。
「な、なに?どうしたの?なにかあるの?」
牧野が俺の指さす方へ目を向けた。
「えっ・・・ええっ!!!ど、どうしたの?る、類・・・こ、これって・・・」
ベッドの横には牧野が可愛いと食べたいくらいだと言っていた仔犬が寝ている。
「佐々木から一頭わけて貰ったんだ。牧野、欲しいって言ってたでしょ?あんまり小さいと可哀相だから少し大きくなって連れてきて貰ったんだ。
3日前から来てたんだけど俺も忙しくてかまってやれなくて可哀相でさ、牧野来てくれたら良かったのに・・・」
思ってた通りの反応を示す牧野に笑いが零れてしまう。
目をこれでもかってくらい開いてさ、口パクパクさせてるし・・・。
「さっきまで起きてたんだけどフード食べたら寝ちゃったんだ。もう少ししたら起きると思うよ」
仔犬を目の前にして触りたそうにしている牧野に告げた。
「そ、そうだね。寝てるの起こしちゃ可哀相だもん。る、類も早く教えてくれたら良かったのに・・・」
すぐに触れない不満を俺にぶつける牧野。
「牧野が俺がいつも言ってるみたいに家に来てくれてたらわかったんだよ。来ない牧野が悪い。それに・・・驚かせたかったしさ!」
ジロリと俺を睨む牧野・・・そんな顔してもちっとも怖くないし・・・。
「な、名前はなんていうの?決めたの?起きたら名前で呼んであげたい!」
バツが悪いのか話を逸らしてるし・・・。
「名前?んーまだ決めてないけど・・・そうだな・・・毛の色がチョコクリーム色だから・・・それでいいんじゃない?」
牧野が手に持っている袋を指さした。
「それ?それって何?この袋の中になんか入ってたっけ?」
袋の中の物をガサゴソとベッドの上へ出した。
「あ、それそれ!牧野の好物でしょ?いつも食べてるもん」
牧野は甘いものが大好きで俺は食べないけどいつもおやつ持参で来るんだ。
勿論、シェフが作るデザートも残さず食べるけどさ・・・おやつは別腹らしい。
「え、えっ・・・ポッキー?名前・・・ポッキーにするの?い、色は似てるけど・・・」
袋から出したひとつの箱を見つめる牧野。
「うん、それ!だって食べたいくらい可愛いって言ってたでしょ?牧野・・・」
自分が言ったことを思い出したのか頷いてる。
「ポッキー・・・ポッキーかぁ・・・うん!いいかも!」
寝てる仔犬の頭の上で手を叩く牧野。
ひっくり返って寝ていた仔犬がビクッとしてるし・・・。
「牧野・・・静かにしないと・・・ポッキー起きちゃうよ・・・」
小さい声で注意すると牧野は手で口を押さえた。
「ご、ごめん・・・」
「俺、明日も休み取ったからさ、牧野今日泊まっていきなよ。明日、ポッキーのものいろいろと買いにいこ?もう散歩もしていいんだってさ」
牧野が断れないようなエサをぶら下げて誘ってみる。
「と、泊まるの?め、迷惑じゃないかな・・・」
ふーん・・・いつもと違う反応・・・もう一押しだな。
「ほら、いろいろと買っとけば、俺がいないときでもポッキー散歩連れて行けるでしょ?」
ポッキーの寝顔見ながら考えてるし・・・。
「う、うん。そうさせて貰おうかな。明日はあたしもバイトないし・・・」
交渉成立だね。
じゃあ今日はたっぷりと牧野を堪能させて貰って・・・明日は楽しくデートだな・・・。
「ねぇ、類?今年のクリスマスって仕事なの?」
ポッキーが来てから、あんなに俺が頼んでも家に来なかった牧野が三日と開けず来る様になった。
三回に一回は泊まってくれるようにもなった。
作戦は成功したんだけど・・・なんだか少し面白くないような・・・。
「大丈夫だよ。その日はなんとか空けた。その前までは忙しいけどね。牧野も休めるんでしょ?」
去年もどうにか空けようとしたんだけど親父のかわりにパーティに出ろって言われてダメになったんだ。
俺にパーティを任せて・・・自分は牧野と食事したって後から聞いたときは本当に腹が立った。
牧野を気に入ってくれてるのはいいんだけどさ・・・俺と張り合おうって思ってるとこがあるんだよね。
「あたしは休みだから大丈夫だよ。プレゼント・・・何か欲しいものある?花沢でバイトさせて貰ってるからあたし・・・少しはお金持ちだよ。
そんなに高いものは無理だけど・・・類の欲しいものあげたいな・・・」
毎年聞かれるけど欲しいものはひとつだけで・・・買えるものじゃないんだ。
「欲しいものはないよ。その日、泊まってくれて牧野の手料理食べれたら俺は満足。外で食事でもいいけど、ポッキーひとりにしたら可哀相でしょ?」
ニッコリと天使の微笑みを貼り付けて牧野に言った。
「う、うん・・・そうだね。ポッキーも初クリスマスだし・・・一緒がいいよね。でも・・・あたしの手料理でいいの?クリスマスなのに・・・」
膝の上でおなかを出しながら寝ているポッキーに目を向けた。
膝枕・・・俺もしてもらった事ないのに・・・。
「いいんだよ、一緒にいられれば・・・。牧野の料理珍しいもの多いし美味しいし・・・。次の日はポッキー連れてドライブでもいこ?」
珍しいと言う言葉に少し眉間に皺を寄せたけど美味しいって言葉とドライブで機嫌が直ったみたい。
ぷっ・・・単純・・・。
「牧野は欲しいものなにかある?」
答えはなんとなくわかってるけど聞いてみる。
「ううん、何にもないよ。今年はポッキーに出会わせて貰ったしもう大満足だよ。あとはみんなで過ごせればそれでいいの」
・・・そう言うと思った。
翌日から俺はクリスマスに休みを取るべく不眠不休の勢いで頑張った。
去年のことも考えて、親父の行動はお袋に監視もさせた。
「ねぇ、散歩いこ?」
牧野が作ってくれた手料理とシェフが作ったケーキを食べて一息付いていた牧野に話しかけた。
クリスマスということで特別にポッキーも普段貰えないご馳走を食べて自分のベッドで寝ている。
前から思っていたことだけど・・・なんでお腹だして寝るんだろう・・・。
最初はうつ伏せで普通に寝てるんだけど気づけば仰向けになって寝ている。
外犬でこんな風に寝ているの見たことなかったから最初は驚いたよ。
牧野が抱き上げると必ずお腹を出して撫でて貰ってるのも影響してるのかな?
「えっ?これから?外もう暗いよ」
ポッキーじゃないけど満腹になってウトウトし始めている牧野。
「うん、暗いけど、いつも行ってるドッグラン・・・今日貸切にして貰ったんだ。クリスマスだしあんまり来る人もいないからすぐOKしてくれたよ。あそこなら電気もついてるし問題ないでしょ。ポッキーに俺からのクリスマスプレゼント」
ポッキーが家に来て牧野が頻繁に来てくれるようになってから、近くの会員制のドックランに申し込んだ。
花沢のバイトが終わってからの散歩は暗くて心配だったしね。
牧野は贅沢だ、住宅街なんだから大丈夫だって言うけどさ、俺が一緒なときはいいけどナイトがポッキーだけじゃ頼りないでしょ。
「ポッキーおいで・・・散歩に行くよ」
キャリーバッグを見せた途端、ポッキーが走ってきた。
「ほら、おやつもリュクに詰めたし、ポッキーも行きたがってるよ」
ポッキーが来た次の日、牧野と行ったペットショップ・・・噂では聞いたことがあったけど物凄かった。
店員にいろいろと勧められたけど、必要最小限のものしか買わなかった俺たち。
でも勧められたものの中で牧野がいらないよねと言いながらも手から離さなかったもの・・・それが犬用のリュック。
もの凄く小さくて一体なにが入るんだって感じのものだけど、犬のおやつとかを入れて犬に背負わせるらしい・・・ぷっ。
最初は嫌がっていたポッキーだけど、おやつが入っているとわかってから張り切って背負っている。
「他のわんちゃんいないなら、ポッキー張り切って遊ぶかな?」
ポッキーの張り切りように行く気になってきたみたいだな。
ポッキーは内弁慶なのかドッグランに連れて行っても俺たちの傍からあまり離れない。
ボールを投げてやっても他の犬が遊んでいる傍に落ちたら取ってこなかったりするんだ。
「うん、きっと遊ぶよ。いこ」
俺たちはドッグランに向かった。
思ったとおりと言うか・・・思っていたよりずっとポッキーは喜び、はしゃいだ。
ボールもいつもより遠くに投げてもきちんと取ってくるし、今まで来てても決して足を踏み入れない端のほうまで走った。
「はぁはぁ・・・ポッキーはしゃぎすぎ・・・こんなに早く走れるなんて知らなかったよ、あたし」
息を切らしながら遊んでいるポッキーをそのままにして牧野が戻ってきた。
「誰もいないから楽しいんだよ、きっと。ほら、ジュースでも飲みな」
牧野達が遊んでいる間自販機から買ってきたオレンジジュースを渡してやった。
「あ、ありがと。もう喉渇いて死にそうだよ・・・運動不足かな?」
ゴクゴクと喉を鳴らしながら飲み干す牧野。
しばらくすると一人遊びに飽きたのかポッキーが戻ってきた。
「ポッキー楽しい?楽しいよね・・・いつもよりすんごく動いてるもんね」
戻ってきたポッキーに牧野が話しかけると尻尾が千切れんばかりに振られた。
「ポッキー、良かったね、楽しいね」
抱き上げながらポッキーを撫でるとますます尻尾が振られた。
「・・・あっ!おやつ?おやつ食べたいんだね?ちょっと待って」
ポッキーの背中にあるリュックを開けた。
「今日のおやつは何だろうね?ポッキー。あ、あれ?これ何?」
牧野の手の中には俺が入れたおやつともうひとつ大事なものがあった。
「指輪だよ・・・。クリスマスプレゼントじゃないよ。エンゲージリングのつもり。俺と結婚して・・・」
牧野の手から指輪のケースとは思えないおやつ袋に入った指輪を取り上げて、指に嵌めた。
「な、な、な、なんで急にど、ど、どうしたの?」
声を上げた牧野に驚いてポッキーが牧野の上からすべり落ちた。
「急じゃないんだ。夏頃からずっと考えてた。俺、4月から北海道支社に移動になるらしいんだよ。いずれ海外にも行くけどその前に地方都市も視察しとけって親父に言われてさ。たぶん・・・2年は帰ってこれないと思う。傍にいられるならまだ結婚できなくても我慢できるけど離れなきゃいけないなら我慢できない・・・」
フランス出張のとき突然告げられた親父からの移動命令。
牧野は卒業したら親父の秘書見習いになる。
当然、俺の傍で働いてくれると思っていたからその決定に唖然としたけど、付き
合っていることを公にしていない今、牧野も働き辛いかと思って親父の提案を快
く受けた俺。
同じ本社で働いているんだから牧野の様子もわかるし・・・そう思ってたのに・・・。
「えっ・・・ほ、北海道支社?で、でも、け、結婚なんて急に言われても・・・。類と付き合えてこのままずっと一緒にいれたらって思ってるけど、来年からおじ様・・・し、社長の秘書見習いにって言われてるし・・・。でも・・・あたしも類と離れるの嫌だ・・・どうし
よう・・・」
さっきまでの笑顔が曇った。
「そのことなら心配ないよ、親父には伝えてある。牧野が結婚を承諾してくれる
なら俺の秘書にしても良いっていってくれたよ。返事は?うんって言ってくれな
いの牧野?」
俺と離れたくないって言葉が嬉しい。
親父からの移動命令を知ったお袋からの助言。
いい話があるんだけどの言葉に続いた話は・・・お袋の友人が北海道で結婚式場
をオープンさせる。
宣伝も兼ねて、第一号はそれなりの夫婦が希望・・・と言っている。
今までの結婚式場とは違う、アットホームな雰囲気をコンセプトにしたところら
しくて。
そこで結婚式を挙げるなら協力するわよと。
俺は牧野と結婚できるんなら別にどこだってかまわないし、牧野も派手なことは
嫌いだしきっと問題はないはず・・・そう思ってお袋の提案に乗ることにしたんだ。
何をどうやって説得したのかはわかんないけど・・・牧野が承諾するのなら結婚
してもいいとあの親父が言い出したんだ。
それまでは、3年は花沢で働いて貰ってからじゃないとダメだって頑固に言って
たのにさ。
「あ、あたしでいいの?類・・・。仕事して自分に自信が持てたらって思ってた
んだけど・・・今のあたしでいいの?」
不安そうな目で答える牧野。
「それはOKって思っていいんだよね?俺は牧野がいいんだ・・・牧野じゃないと
ダメなんだ」
不安がっている牧野を安心させたくて抱き締めた。
愛しい唇にキスをしようとしたら邪魔が入った・・・。
ワン、ワン!!!
滅多に泣き声なんて出さないポッキーが吠えた・・・おやつ袋を口に咥えて尻尾
を振ってる。
「「ぷっ」」
俺たちは同時に噴出した。
「今日は楽しかったね?ポッキー。次の休みはどこに行こうか?」
遊び疲れたのか、俺が風呂から上がるとポッキーはいつものように膝の上で寝て
いた。
『やっぱり動物は大自然が似合うよね〜』
つくしと結婚して半年、東京にいるときにつくしが良く言っていたセリフ・・・
。
動物好きの牧野はテレビを見ながら言ってたんだ。
ポッキーが来てからはポッキーを自然の中で遊ばせてあげたい・・・そんなこと
を言ってた。
結婚するまでは北海道観光にも全く興味がなかった俺だけど、つくしと結婚して
から毎週のように高速を飛ばして走り回っている。
「ポッキー交代しよ」
膝の上で気持ち良さげに寝ているポッキーを抱き上げて膝の上に頭を乗せた。
「る、類・・・。ポッキー寝てたのに起きちゃうじゃない・・・」
結婚して半年も経つのにこんなことで真っ赤にならなくてもいいんじゃない?
「大丈夫だよ。ポッキーは誰かさんと同じで寝つきがいいからさ」
一瞬目を開けたポッキーだけど俺の横でスヤスヤ寝てる。
「北海道にいるうちにいろんなとこ行けたら良いね?」
俺の髪を撫でながらつくしが言った。
あーなんだか凄く幸せ・・・このままでいると寝ちゃうかも。
ウトウトしたところに耳障りな電子音が・・・。
「類!類の携帯鳴ってるよ!」
全く・・・人がいい気持ちでいるのに誰だよ・・・。
立ち上がって少し離れたところにおいて置いた携帯に出た。
げっ!親父・・・。
「うん、変わりないよ、元気でやってる。わかってる、それはこっちから連絡するから」
ふーっとため息をついてつくしに目をやるともうひとつのため息が漏れた。
ポッキーがつくしの膝の上に乗ってる・・・。
親父からの電話の内容・・・それは結婚して以来いつも同じ。
『孫はできたか?』
俺が電話することなんてないから痺れを切らした頃に連絡が来るんだ。
お袋が親父をどうやって説得したのか・・・それは、つくしが可愛いのはわかる
けど孫ならもっと可愛い・・・そう言ったらしいんだ。
自分の傍において置いて可愛がるのもいいけど、俺が見張ってないところでつく
しに悪い虫が付いたら元も子もない・・・とも言ったらしい。
花沢でバイトをしているつくしは評判が良かったしね。
そんなわけで親父は俺からの良い連絡を待っているわけなんだけど、しばらくは
良い連絡はできそうもないんだ。
だって、これ以上ライバル増やしてどうすんのさ!
俺がつくしの傍に寄るとポッキーがつくしによりくっついた。
仕方ないな・・・今夜は譲るよ。
ポッキーの頭を撫でるとチラリと俺を見てまた眠りについた。
fin.
以前、サイトを運営していたときに40万打のお祝いで頂いた、お話です。
にししー。
ももしゃんから頂いちゃいました!!!
おまけにおまけに、ポッキーまで登場させてもらっちゃって。
違和感のない登場に、鳥肌がたったのですよ!まーじーでー!
感激で、うるうるするほど嬉しかった!!!
ももしゃん、掲載の許可を快くしてくださり、ありがとうございました。
大事に、飾らせていただきます←自慢。
類×つくし+ポッキー(笑)デス!
2007,1,29 momota
→text →nijitop →gifttop
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