波戸ちゃんの予想


≪あったら恐い最終回≫

「今日のニュースです。アメリカが第3次世界大戦を計画していたことがフランスによって暴露され、株が急暴落。世界的な恐慌が予想されます!」
顔面蒼白のアナウンサーの横には、「世界の道明寺グループ倒産!」とのテロップが。
朝から騒然となる道明寺家。
それは、花沢家、西門家、美作家にも同様に襲った大地震のような出来事であった。


美作家編

泣き喚くかと思われていた妹達は、意外としっかりしており、オロオロするあきらを叱咤する。
「こうなったら仕方ないじゃない。ねぇ芽夢」
「さっさと別の方法を考えるだけよね、絵夢」
「別の方法って?」
青ざめた顔をあげるあきらに、微笑む双子。
「もちろん、歌って踊れるご令嬢アイドル、芽夢&絵夢のデビューじゃない!!」
あきらのプロデュースでもって、双子はアジアはもちろん、世界を股にかけるタトゥ顔負けのアイドルに成り上がってしまった。
                    

西門編

家財道具一式持ち去られ、殺風景な西門邸宅。なぜ世界恐慌が茶道の家元まで震撼とさせるのか、その謎はさて置き、部屋のなかで泣き濡れた母親がはっと顔を上げる。
「そ、総二郎どこへ?」
「旅に」
強引に洗いざらしたような着物、その帯に荒削りの木刀を差し総二郎は漫然と微笑んだ。
「もとより、質実剛健なるは茶道の道・・・」
「それは『わび、さび』ではないのか?」
兄、祥二郎はたまらず尋ねた。
「いいえ兄上、わたしはより強くなるために旅に出るのです!」
白い歯を光らせて笑うと、総二郎はだだだと庭を横切って屋敷をでていく。
はた、と思いだしたように立ち止まり、きっと後ろを振り返った。
「ちゃんと『武蔵』の録画しといてよ、頼んだからね!」
一目散に門を出てゆく総二郎の後姿を見つめながら、母親はわっと泣き崩れた。
「そうじろうぅぅぅ、それは剣の道です〜〜〜」
 
                                     
花沢家

何事もなかったかのように、カフェオレとクロワッサンの優雅な(これが優雅か?)
朝食の時間を過ごしている。
花沢家は平和主義、フランスよりの商売をしていたので家業が傾く事はない。
これは、ルイルイ至上主義の波戸の贔屓ではございません。
「ぼっちゃま、お電話が」
新聞から眼を離さず、電話を受け取るルイルイ。
「花沢類!あんたの家は大丈夫なの?」
「・・・ああ、あんたか」
電話の声にふわっと柔らかい笑みがこぼれる。
「なにのん気な声出してるのよっ」
「んー。大丈夫といえば大丈夫なんだけど・・・でも俺も花沢物産辞めよっかな」
「え?」
「みんな倒産するんだったら、俺もやってて楽しくないし」
「ちょ、ちょっと楽しくないってそんな、ちゃんと聞いて・・」
プチッ。ツーツーツー・・・
微笑みながら通話ボタンを切ると、ルイルイは茶色の髪を揺らして立ち上がった。
窓辺に立ち、道路の向こう側に建設中の建物に眼をやる。
影のように付き添った執事が、ルイルイの足元に膝をついた。
「ねえ、いつ完成するの?」
「はい。明日にはもう」
緑色の防音シートの隙間から、建物の看板が見える。
――― 「バーバー花沢」
かにさんがハサミを持っているイラストが可愛い。
「じい。あのかにさん、ハサミじゃなくてカッター持ってることにしてよ」
「は?」
「だって俺、カッターでしか切った事ないし」
チキチキとカッターの刃を出して見せると、ルイルイはにっこりと天使の微笑みを見せた。


                            
道明寺家

「こんな最終回があるか!」
つぎはぎだらけの服をきた司は、牧野家からも放り出された。
つくしママは、貧乏人になってしまった司に用はないらしい。
怒りまくりの司の横で、妙に嬉しそうなつくし。
「ラオウと魔女はどうしてるの?」
「ラオウは、最終回だからと言って出てくるつもりはないって言ってたし、
ばばあは、悲惨なラストに顔出すほどプライドが低くねえ」
「ご尤も」
「くそっ。このままじゃ終れねえ」
司はつくしを質屋につれていく。
「こいつを質に入れて、俺はばくちをする!」
割と古典的な司の思考回路。質屋のご亭主、眼鏡をかけ直して二人を見比べる。
「うーん、これだったら男の方が価値があるねえ」
「なんですって!」
そう言われたらひっこみがつかない。つくしは何が何でも質屋に収まろうとする。
なんとか二束三文でつくしを引き取ってもらい、そのお金を掴んで司は宝くじ売り場へ。
しかし詳しいルールがわからず、結局スクラッチにしてみたのだが、これが大当たり♪
あれよあれよという間に、財布はふくらみとうとうサマージャンボも当ててしまった。
これを元手に株を買いに走り、野生の感と勢いで、司は道明寺家を再興することができたのである。
「がーはっはっは!ざまあみやがれ!俺様にはこれぐらいゴージャスな最終回がお似合いなんだぜ!」
万札が舞い踊る中、仁王立ちで豪快に笑う司の足元に「お・わ・り」の文字が。
(質屋に入れられたままのつくしは・・・汗)

                                


なーんて、これでは目が点なので、もういっちょ予想させていただきます。


≪まじでこれになる最終回≫


プロムの衣装を着て頬を染め、一人たたずむつくし。
会場からは、オーケストラが演奏するクラシックが漏れ聞こえる。
「あれ?司はまだ?」
びしっと決めた総二郎が優紀を連れて現われる。
「うん・・・ここで待ち合わせなんだ」
二人を笑って見送って、つくしは小さくため息。
そのころ・・・
道明寺家を出た司は、なーぜーか、徒歩で学校に向かう。
目の前に、なーぜーか、子犬が飛び出してくる。
タイミングよく大型トラックが猛スピードで走ってきて・・・「あぶない!」
―――― ピーポーピーポー・・・
「司のやつ、どんな顔してくるのかな?」
こっそり司を待ち伏せしていたルイルイの横を救急車が走りすぎる。
「??」
気になって追いかけると、血まみれの男が救急車に運び込まれるところであった。
「・・・司!」
駆け寄って手を取るルイルイ。
やっと首を動かして、ルイルイの姿を認めた司が一言。
「類・・・つくしを・・・たの・・む。ガクッ」
会場は華やかに盛り上がり、そろそろラストの曲となる頃。
あきらが桜子の手を取り軽やかなステップを踏んでる隅で、和也は一人もくもくとご飯を食べている。
一方、つくしはずっと会場の外で、来ぬ人を待ちつづけていた。
不安に飲み込まれそうになりながら、気丈に待つつくしの肩に、暖かい手がそっと置かれる。
見上げると、そこにビー玉みたいな茶色の瞳。
「・・・花沢類」
「行こう」
「ううん。あたしまだ待ってる」
「・・・司に頼まれたんだ。牧野と踊ってやってくれって」
「・・・うそ」
「嘘」
「もーう、冗談・・・」
「だったら、よかったよね。俺もそう思う」
なぜか悲しげなルイルイの瞳に何も言えず、つくしは会場の中へ。
ラストの曲が流れ始める。
「Shall we dance?」 (もうコレしかないでしょう!決め台詞!)
類の手を取って踊り始めるつくし。
超キラキラの絶ビューチフルな絵をご想像ください。
次のコマで、写真が2枚。
一枚は類とつくしと二人の子供の楽しそうな家族写真。
その後ろに、F4とつくしが制服姿で笑っている、ちょっと古びた写真が・・・。

――― 完結!!―――

いやー、よかったですねえ♪
間違いなくこうなると、わたしは断言いたします!
司ファンの皆様には袋叩きに合う気がしますが、ルイルイ至上主義の私にはコレしか考えられません!
朝からこのことばっかり考えてました。(仕事しろーー!)
とっても楽しかったです。やっぱり花男って面白い・・・(≧m≦)ぷっ!
ありがとうございました。
長くなってしまってごめんなさい。m(_ _